表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/38

2人のおっさん

屋台を巡り終わり約束の時間になったところで噴水前に戻ってきた。


「も〜!アリアは可愛いな〜」


噴水前に着くとTKGに酷似したプレイヤーが女王に酷似したモンスターを愛でていた。


「……。」


目を合わせない様に噴水の腰掛けに腰をかけるが、大勢の前であんなことをやっているので気になってしまい二度見をすると運悪く、女王(仮)を抱き抱えようとしているところでその人と目が合ってしまう。


「よう!シルヴァ。」


TKGらしき人はシルヴァさんの名前を呼びこちらに近づいてきた。

おーいシルヴァさーん、呼んでますよ?

それにしても自分と同じプレイヤー名の人がいると紛らわしいな。


シルヴァのそうであって欲しいという願いとは裏腹にTKG(仮)がシルヴァの方はと近づいていく。


「ユウスケとロバスト遅いな。」


公衆の面前であんな恥ずかしいことをしていた人の正体は、

…………残念ですがTKGでした。


「うん、そうだね。」


シルヴァはTKGから少し距離を取りそちらを見ない様に全力で他人のフリをしながら答える。



周りの商人や通行人の声をBGMに待つこと数分こちらに向かってくるロバストとユウスケの姿が見えた。


「待たせたな。」


「ごめん、遅くなった。」



4人が揃ったので早速新しい仲間のレベルアップに向かう。

ユウスケとロバストはTKGの奇行に一切触れなかった。



先程のアドバイスを生かし初陣の草原の進み森と草原の境目へ向かう。

その間モンスターが出ることも忘れTKGはアリアを甘やかし続けた。


「そういえばロバストとユウスケは名前決めた?」


「あぁ、俺は決めたぜ!アロスって名前だ。」


ロバストが何故だが自信満々に答える。


「太郎。」


ユウスケはいつものローテンションで答えるがその名前に少し動揺する。

太郎!……うん、うん、ユウスケらしいな、プレイヤー名もカタカナにしただけだし。心の中で思いそれ以降は触れないことにした。



森境へ着くと早速モンスターが現れた。


背丈は2メートルほど、くりっとした目に2つの異なる鎌を持つ巨大なカマキリのモンスター。


リリィが早速、ギフト アクセス を使い敵の情報を調べる。


[双異鎌の蟷螂]


「動くものを全て獲物とみなす。

片方は獲物を捕まえる為の内に向かい沢山の刃があり、もう片方は捕まえた獲物の息の根を一瞬で刈り取る為の鋭利な刃。

弱点は腹部への攻撃と炎系の攻撃です。」


「ありがとうリリィ。」


蝙蝠たちのレベル上げで来た予定だけど蝙蝠たちの初戦にしても僕たちの相手としても流石に強すぎる。



みんなで戦闘態勢をとると双異鎌の蟷螂は翅を広げ鎌を上げ威嚇の態勢をとる。


ロバストは盾を構え、TKGは炎系攻撃の準備、ユウスケは詠唱準備、蝙蝠たちは置かれている状況がわかっておらずあっけらかんとしている。


双異鎌の蟷螂が上げていたはずの鎌が眼前へと迫る。

一方の鎌はロバストへもう一方はシルヴァへと襲い掛かる。


ロバストは盾で受け止めようとしたが受け止めきれず、地に跡を残しながら後退させられた。

シルヴァはと言うと間一髪、槍の柄で防いだが遠く後方へ飛ばされる。

鎌の攻撃を防いだのにも関わらずその一撃でロバストはHPの15%、シルヴァは40%も削られた。


敵はそのままユウスケとTKGへと攻撃を仕掛けようとするがその攻撃は飛んできた複数の黒い塊によって防がれた。


「パパをいじめるのは許さない。」


初めて聞く声だった。

幼いながらもしっかりと意思のこもった透き通る様な声。

声のした方を見てみると右腕を肩ほどまで上げ、TKGへ攻撃を仕掛けたものに対する怒りを抑えきれずにいるアリアがいた。


「いけ。」


アリアがそう言うと空中から黒い塊が複数現れ敵へと向かっていく。

黒い塊をよく見てみるとそれは小型の吸血蝙蝠の群れだということがわかった。だがその姿は半透明で実体がある様には見えない。


黒い塊は敵へ触れるとその場所にまとわりつく。すると敵のHPはごく微量ながらも着実に減っていった。


だが敵もやられてばかりではなく鎌や身体を大きく振り回す。そうしていると黒い塊はさらに薄くなりやがては消えた。


「行け。」


アリアが再び、黒い塊を呼ぶ。その姿は勝利のためなら敵地へと無情に兵を送り込む者の様だった。


アリアの妨害により十分に時間が稼げられ、TKG、ユウスケの準備が整った。


「聖火の落槍」


ユウスケが唱えると天高くから数本の青い炎に身を包んだ槍が敵を囲む様に落ちてきた。


槍はそのまま地面に突き刺ささりここからでも感じ慣れるほどのほどの高熱を発して、その槍から発せられる熱により敵は錯乱し暴れている。


鎌を大きく振り回しながら暴れている所に追い討ちのようにTKGが高熱包丁を投げるがその鎌に阻まれてしまう。


巨大蟷螂はそのまま鎌を振り回し槍を破壊すると素早く槍の包囲網から逃れる。

だが槍の熱で体の至る所が黒く焼け焦げている。


鎌を大きく開き威嚇をすると数歩ほどこちらへ向かって歩きそのまま倒れてしまった。



「よしっ!」


「やったなっ!!」


「なんか、物足りないな。」


「やりましたね!シルヴァ様!」


「……うん。」


みんなは敵を倒したと思い込んでいる。だけど敵は消滅していない、敵はまだ息があるもしくは他にも敵がいる。


「みんな、多分まだ何かあるよ。」


何故だかわからない不安、違和感を消化しきれずにいるとその思いがいつの間にか声に出ていた。


「敵は倒れただろ?ほら?」


TKGが倒れた蟷螂を指差しながら言う。


「それはそうなんだけど……。」


歯切れが悪く倒れた蟷螂の方を見てみると先ほどのとは違う違和感を感じた。


さっき倒れた時って、こんなに焦げてたっけ?


「ねぇ!やっぱり変だよ!」


みんなに違和感を伝えて無理矢理説得をする。

そのおかげでみんなも多少の違和感を持ってくれたようだ。


「まぁ、確かになんかいつもとは違うような感じはするな。」


みんなでこの違和感の正体を突き止めようと周りを見渡していると先ほどの蟷螂がより黒くなっていることに気がつく。


「なぁ、やっぱりまだ生きてんのかな?」


そんなことを話していると蟷螂の体にいきなり火がつき完全に丸焦げになったかと思うと立ち上がり声にならない雄叫びを上げる。


すると火は消え、タンタルを思わせるような黒く美しいその姿が現れた。

翅は銀色に輝き体は黒く光沢がある。その目は赤く怒りに満ちているのが分かる。


シルヴァ達はその変貌具合に警戒して十分すぎるほどの距離を取る。


姿は変わって見るからに強そうになっても混乱しているのか当たるはずもない距離で鎌を振る。


「まだ混乱している、やるならいまだ。」


ユウスケの言葉を聞きできるものは遠距離攻撃を行う。


「ぐぁっ!」


その直後、念のため先頭で盾を構えていたロバストが吹っ飛んできた。

ロバスト自身は大丈夫そうだったが、その盾は大きく切り裂かれていた。


「……………なんなんだ?」


見ていた僕たちはもちろん攻撃を受けたロバスト自体も何が起きたのか理解できていないらしい。


その後は先ほどのロバストを吹き飛ばした不可視の攻撃に当たらないように動き回って攻撃をしているがこちらの攻撃は全く効いている様子はない。


「リリィ!何か情報ない?」


最後の頼みの綱、リリィのアクセスによる情報。


「すみません、シルヴァ様!今の私ではあのモンスターの情報にアクセスできません。」


綱が切れた瞬間だった。


何かしら情報があればまだ健闘できたかもしれない。

今までの炎系の攻撃は効かず物理攻撃も効かない。それに敵のあの素早さ、攻撃力……まるで勝てる気がしない。



ドンッ


どこからともなくそんな音が聞こえた。

そして目の前の蟷螂の頭がぶっ飛んだ。


ユウスケでもTKGでも、ましてやロバストでもない。

皆がこの状況を理解できず互いに顔を見合わせている。


「おーい!大丈夫かー?」


声がした方を見てみると二人組のおっさんが立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ