おっさんのありがたいアドバイス
「ありがとうございました。」
先ほど助けてくれた渋めのカッコいいおじさんは ヴィルヘルム というらしい。
「手を出すつもりはなかったんだけど、ついな。まぁ、たまたまだ。」
ヴィルヘルムは照れ隠しをするように少し下を俯き帽子で顔を隠すように答えた。
「この人も言ってるようにね、基本的に手出しはしちゃダメなんだけどね、君たちの戦いぶりを見てたらつい手が出てしまったんだ。こっちが勝手に干渉したんだからもちろん見返りはいらないよ?」
この爽やかな……おじ?いや、お兄さんは ソウタ と言うらしい。
「勝手ついでにもう1ついいかな?」
ソウタはそのまま爽やかな笑顔で話してきた。
「は、はい。」
「君たちの…なんて言うんだろう。公開情報が少し多すぎると思ったんだけど……。」
先ほどのとは爽やかさが一転、少しばかり気まずい顔になり歯切れも悪くなった。
「公開情報ですか?」
今まで誰からも指摘がなかったが少し気まずそうにしているから結構大事なことなのかな?
「本当は最初のサポートしてくれる妖精から教わるはずなんだけど……もういないみたいだね。」
ソウタさんは僕たちの周りにサポート妖精が居ないことを確認し、シルヴァ、ユウスケ、TKG、ロバストの4人は一斉にリリィの方を見る。
「忘れちゃってました。」
リリィは舌を出し可愛く顔を傾ける。
「ちょっと待って!君がサポート妖精?」
シルヴァたちの一連の動作を見ていたソウタさんは驚きと好奇心を隠し切れなかったのか、食い気味に質問してくる。
「はい。元、ですがサポート妖精をしていました。」
僕たちはもう気にしていなかったがやっぱり今の姿だとサポート妖精には見えないようだ。
別に隠す理由もないのでリリィがサポート妖精を辞めた経緯を話す。
「そんなこともあるんだね、ありがとう。面白い話を聞かせてもらいましたねヴィルヘルムさん。」
「あぁ、ほんとに面白いな。」
面白いと答えたヴィルヘルムは何か気になることがあるのか、心ここに在らずという様だった。
「…喜んでもらえて良かったです。……それで公開情報の方は?」
「あぁ、ごめんごめん脱線してしまったね。まず僕の方を見て僕のことを知ろうとしてごらん?」
「はい。」
言われた通り見てみると名前が出てきた。
「名前が出てきました。」
「だろ?でも君たちの場合はそれだけじゃない、名前の他に称号や種族、職業とかいろいろ出ちゃってる。気をつけたほうがいいよ。……でも、普通にみるだけじゃ名前までしか表示されないから、ってなんの慰めにもならないよね。」
今まではそんな気にしなかったがよく考えてみるとデメリットだらけだ。幸い目をつけられない限りここまでの情報は表示されないらしい。
「ありがとうございました。」
「自分で公開する情報を選べるからいろいろやってみるといいよ。」
早速表示変更をする。
公開情報をプレイヤー名のみにするが特に変わった様子はない。
「大丈夫!ちゃんと設定できてるよ!」
ソウタさんがグッド!しながら爽やかに教えてくれた。
その他にも話をしていると2人は前回の作品もやっていたようでアドバイスや気になることを聞くことができた。
まずは、古城で起きたステータスの異常上昇について聞いてみる。
古城での話を聞いたヴィルヘルムには先ほどの様な様子はなくしっかりと自分の中で何かが整った様なしっかりとはっきりと答えてくれた。
「そこの妖精が願ったらお前さんのステータスが上昇したのか……………多分だがそれはあれだ。」
話を聞くに前作品にも似たようなことがあったらしい。
プレイヤーがピンチの際、その存在と引き換えに一定時間その状況を乗り越えられるだけの力を与える。
前作ではサポート妖精がつくのが二日間だけ。
画面表示されない隠しステータスの絆を一定レベルまで上げる。
この難易度の高さから体験できたプレイヤーはほとんどいなく都市伝説とまで言われていたらしい。
今考えると絆の結晶を貰っていなかったらあそこでリリィを失っていたことになっていたかもしれない。
「大丈夫ですよシルヴァ様、私はここにいます。仮定はあくまでも仮定、今ここにあることこそが真実です。」
「リリィ………………少し怖い。」
完全に心を読まれていた。え?新しいギフトでも授かった?
「え!ここは、リリィッ!!!って言って抱きしめることじゃないですか?!」
それを見ていたヴィルヘルムが思わず吹き出してしまう。
「はっはっはっ!やっぱり面白いなお前たちは!!」
「ヴィルヘルムさん失礼ですよ。」
大声で笑うヴィルヘルムをソウタが小声で嗜める様に注意する。
「いや、ごめん。笑いすぎてしまった。……お詫びに古参プレイヤーからありがたいアドバイスをしてやる。しっかりと称号の効果を把握して使用中の称号と相性の良い武器を選べ、あとあんま職業のことは話さないほうがいいぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
職業のこと話してないはずだけど…前の作品で知ってたのかな?
最後にはしっかりとフレンドになって別れ、帰路に着く。
「そういえば、何しに来たんだっけ?」
何かを忘れている気がる。
「レベ上げ。」
ユウスケが淡々と答える。
「「「っ!!!!!!」」」
濃い内容だったこともあり頭から抜けてしまっていた。
「どうする?」
「「「また今度。」」」
みんな色々あって疲れているのか、excellentと言うアナウンスが聞こえてきそうなほど見事なハモリだ。
始まりの村に着いた。
「じぁなあ。」
「また。」
「また明日。」
「バイバイ。」
今度は先程とは真逆で各々が適当に挨拶し別れる。
「リリィ、どうしよっか?」
つい、いつもの癖でリリィに聞いてしまった。
「そうですね。先ほどのアドバイスに習って武器でも見に行きますか?」
最適解だった。
「そうだね。良い武器屋とか知ってる?」
リリィは眉間にシワを寄せながら何かを考えている様だ。アクセスかな?
せっかくの可愛い顔が台無しだ。とそんなことを思っていると出たみたいだ。
「わかりましたよ。一級品の武器武具販売店、つくも。もしくは個人で作った武器具を集めて販売している、大衆武器具店花火はどうでしょうか?」
良い武器揃ってそうだけどかなり高そうだな。大衆武器具店は掘り出し物とかもありそうだ!
「花火にするよ、リリィ。」
「わかりました。それではお店はあちらです。」
そう言うとリリィはナチュラルにその小さな手を繋いでくる。
それを解く様な無粋な真似はしないが、が!なかりの羞恥プレイ。
早く着いてくれっ!!!
数分歩くと無事に着いた様で、
「着きましたよ。シルヴァ様。」
その店は思っていたよりも大きく様々なプレイヤーで賑わっていた。




