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第8話
……激しい雨音と、人喰いたちが爆散した硝煙の臭い。システムが強制解除され、地面へ崩れ落ちた僕の薄れゆく意識のなかで、誰かが僕の身体を無造作に掴み上げる感覚があった。
「烏丸さん、何をっ!?」
夜さんの悲鳴のような驚きの一声が遠くで響く。 あの漆黒の詰襟の青年は、冷徹な眼差しのまま、僕の胸ぐらを掴むと、そのまま人間離れしたバカ力で僕の身体を自身の右肩へと担ぎ上げたのだ。
「……何を勘違いしている。コイツを家まで運ぶんだろ。ここで死なれては困る」
青年はフンと鼻を鳴らし、驚く夜さんを急かすようにして如月邸への道を歩き出した。徹底的な効率主義に見えて、その行動には奇妙な義理堅さがある。屋敷の玄関口で石動に僕を任せた青年は、そのまま背を向けて真夜中の雨の中へ消えようとした。その背中に、夜さんが心からの感謝を伝える。
「烏丸様、本当に……ありがとうございました!」
青年は足を止めず、ただ左手を小さく挙げて応えた。
「剣だ。烏丸剣。その男が目を覚ましたら、そう伝えておけ。……俺の邪魔だけはするなよ」
冷たい雨の向こうから響いた彼の名。それが、僕と彼の宿命が本格的に交錯した瞬間だった。




