7話 新たな決意
シルフィアたちが最高の休日を体験します
ギルバートたちを全自動リヤカーで追放してから数日が過ぎた
俺たちの生活は 前世の社畜時代からは考えられないほど穏やかで贅沢な時間に満たされていた
毎朝好きな時間までぐっすり眠り 全自動スキルが作る極上の朝食を全員で囲み 午後は庭でのんびりお茶を飲む
「あ〜……本当に幸せだなぁ」
日当たりの良いテラスのソファで横になりながら 俺はしみじみと呟いた
「レン殿! 今日も庭の警備と薪割りを行おうとしたのですが……すでに全て綺麗に終わっていました……!」
シルフィアが困惑した表情で走ってくる
彼女の手には何も持たれておらず 庭の薪は全自動で綺麗に割られて規則正しく積み上がっていた
「シルフィア 言ったでしょ? ここでは働かなくていいんだよ」
「ですが! 元騎士としてただ飯を食べるわけには……! 何か役に立たないと落ち着かないのです!」
「私もですレン様……! 何か魔法の触媒作りでも手伝わせてください……!」
ルナも不安そうに袖を引っ張ってくるし ミーナも「体を動かさないとお腹が減らないニャ!」とウズウズしている
ブラックな環境に長く居すぎたせいで 3人とも『休むこと』に罪悪感を抱いてしまっているみたいだった
「よし わかった! それなら今日はみんなで『最高の休日』を体験しよう!」
『思考:敷地内における天然温泉の掘削 および最高級露天風呂の全自動建設』
【全自動掘削および建築プロセスを開始します】
俺が念じた瞬間 敷地の裏手が地鳴りを立てて揺れ始めた
ドゴゴゴと地面が割れ 地下深くから温かい湯気がモクモクと立ち上る
土や岩が一瞬で綺麗な岩風呂へと成形され ヒノキの香りが漂う豪華な脱衣所と露天風呂があっという間に完成した
【全自動温泉施設:効能(疲労回復・魔力急速充填・肌の美容効果)完成】
「な ななな何ですかこれはーーー!? 地面から温かいお湯が湧き出て……しかもお風呂が一瞬で!?」
シルフィアたちが目を見開いて叫ぶ
「これが『温泉』だよ! 疲れを癒やすには一番だ! さあ入ってきたみなよ!」
最初は戸惑っていた3人だったが おそるおそる湯船に浸かると その顔が一瞬でとろけていった
「ふあぁぁぁ……! 温かい……! 全身のコリと疲れが嘘みたいに消えていく……!」
「すごい……魔力がじわじわ満たされていくのを感じます……!」
「極楽だニャ〜……体がフワフワ浮いてるみたいだニャ〜……」
脱衣所越しに聞こえてくる3人の幸せそうな声を聞きながら 俺も男湯の露天風呂に浸かって深く息を吐いた
前世ではシャワーだけで済ませて 眠るだけの毎日だった
それが今では こんなに綺麗な世界で 誰かを笑顔にしながら過ごせている
「全自動スキル……本当にお前は最高だな」
俺は湯気を見つめながら笑顔を浮かべた
だが 幸せな気分のままポケットの中に手を伸ばすと 先日ギルバートの懐から回収した『黒い紋章のペンダント』が冷たく手に触れた
お風呂から上がった後 俺はリビングのテーブルにそのペンダントを置いた
『解析結果:該当の紋章は隣国の禁忌組織『黒蛇の教団』の呪具と判明』
『思考:教団による大規模な魔力奪取計画を検知』
脳内に響いた全自動スキルの機械的な通知に 俺は息をのんだ
どうやらギルバートはただのパワハラ騎士団長ではなく 国を脅かす恐ろしい組織と繋がっていたらしい
そしてその教団の狙いは この世界に生きる人々から無理やり魔力を奪い尽くすこと——つまり世界全体を『超ブラックな奴隷社会』に変えることだった
「……ふざけるなよ」
俺は静かに拳を握りしめた
前世で社畜として苦しみ この世界でもブラックな環境に怯えていたシルフィアたちの顔が頭に浮かぶ
誰もが安心して休めるホワイトな世界を あいつらに壊されてたまるか
「よし……全自動スキルでこの世界のブラック組織を全部潰してやる」
俺の心に かつてない強い決意が芽生えていた
それがやがて 自分自身とこの世界の運命を大きく狂わせていく『悲しい戦い』の始まりだとは この時の俺はまだ知る由もなかった——
今回は、世界のブラック組織を潰すという大きな決意が芽生えました
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