6話 謎の黒い紋章
「……で この人たちどうしようか」
ぐるぐる巻きに縛られて庭の隅に転がされているギルバートたちを見下ろしながら 俺はぽりぽりと頬をかいた
「レン殿……彼らは一応王国の騎士です このまま放置すればさらなる追手が来るやもしれません」
シルフィアが心配そうに剣の柄に手をかけるが 俺は「まあまあ」と手で制した
『思考:侵入者の自動搬送および最寄り警備窓口への無傷引き渡し』
【全自動運送プロセスを開始します】
俺が念じた瞬間 庭の土が盛り上がり 大きな木製の全自動リヤカーが一瞬で完成した
そこにアームが勝手にギルバートたちをひょいひょいと積み込んでいく
「な 何だこの乗り物は!? 降ろせ! 俺を誰だと思っている——」
叫ぶギルバートを無視して 全自動リヤカーは無音で街の方角へと爆走していった
これで追手の問題も一発解決だ
「……レン様……本当に何者なんですか……?」
ルナが目を丸くして呆然と立ち尽くし ミーナも「すごすぎるニャ……」と尻尾をパタパタ振っている
「よし! 邪魔者もいなくなったことだし みんなで最高のお茶会にしよう!」
『思考:特製スイーツセットおよび極上紅茶の全自動用意』
【調理プロセスを開始します】
テーブルの上には一瞬でふわふわのパンケーキと甘いイチゴのタルト そして芳醇な香りの紅茶が並べられた
「おいしい……! こんなに甘くておいしいお菓子 生まれて初めて食べました……!」
「あたたかいお茶と甘いもの……まるで夢みたいだニャ……」
ブラックな職場で虐げられていた3人は 一口食べるたびに感動で涙を浮かべながら笑い合っている
その笑顔を見ているだけで 前世で社畜だった俺の心もじんわりと癒やされていくようだった
「ここでなら みんな好きな時に起きて好きな時に休んでいいからね」
「はい……! レン殿 本当にありがとうございます……!」
こうして俺たちの平和で快適な『全自動ホワイト生活』が本格的に始まった
……だが ギルバートを回収した際 俺のスキルが彼の懐からひとつだけ『奇妙なアイテム』を自動拾得していた
それは 禍々しい紫色の光を放つ『黒い紋章の入ったペンダント』
『警告:未知の呪導魔力を検知 解析を保留します』
脳内に一瞬だけ響いたスキルの無機質なアナウンスに 俺はまだ不穏な気配を感じつつも 温かい紅茶を口に運ぶのだった
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