21話 過労死の支配者・黒影のゼノス
生徒たちの魔力を吸い上げる悪徳地下施設へと向かうため 俺たちは水上魔法学園の巨大な時計塔の下へやってきた
街の華やかな雰囲気とは裏腹に 地下へと続く重々しい鉄扉からは ドス黒く濁った不快な魔力が漏れ出している
「ひどい……こんな場所で若い生徒さんたちを働かせているなんて……!」
ルナが胸の前で手を握りしめ お怒りの表情を浮かべる
「レン殿 扉の鍵は頑丈に封印されているようです 私の一撃で破壊しましょうか?」
シルフィアが剣に手をかけるが 俺は「大丈夫だよ」と笑って指を鳴らした
『思考:封印の解除および地下構造の全自動スキャン』
ピピッと一瞬電子音が鳴り響き 頑丈な鉄扉がすーっと全自動ドアのように滑らかに開いた
「相変わらずの全自動無双ですニャー!」
ミーナが嬉しそうに耳をピコピコ跳ねさせ 俺たちは地下へと足を踏み入れた
薄暗い地下大空間には 無数の巨大な水晶が並べられ そこに繋がれた数百人の生徒たちが目をうつろにしながら魔力を流し込まされていた
その中央の豪華な椅子にふんぞり返っていたのは 黒いローブを纏ったガリガリの男——七大幹部の一人『過労死の支配者・黒影のゼノス』だった
「ヒヒヒ……素晴らしいぞ! 休まず吐くまで魔力を差し出せ! 我が『ブラック七大幹部』の計画に必要な巨大魔力電池となるのだ!」
ゼノスが下品な高笑いを上げながら 生徒たちに容赦なく魔力吸出の負荷をかけていく
「労働時間? 休日? そんなものは我が学園には存在せん! 若者は倒れるまで働くのが当然なのだぁぁ!」
「うわぁ……前世のブラック企業の社長より酷い発言だな」
俺はあきれ果ててため息をついた
「誰だ貴様らは!? 許可なく我が地下労働場に立ち入るなッ!」
ゼノスが俺たちに気付き 漆黒の呪いの鎌を構えて襲いかかろうとする
「みんなを苦しめるブラック理事長……全自動でお仕置きタイムだ」
俺は指をパチンと鳴らした
『思考:地下環境の全自動ホワイト改修およびブラック理事長の全自動マッサージチェア固定』
【全自動学園改革プロセス:起動】
シュババババッ!!
「なッ……なんだこの光はぁぁぁ!?」
ゼノスが呪いの鎌を振り下ろす間もなく その背後に巨大な『全自動超強力全身マッサージチェア』が一瞬で出現した
ガバッとメカニカルなアームが伸びてゼノスをがっちり捕獲し 強引にシートへ座らせる
「な……離せ! 我が呪いの魔力が……座り心地の良さで霧散していくぅぅ!?」
【全自動リフレッシュモード稼働:肩こり・腰痛・ストレスを強制除去】
ウイーン! トントントントン!
「あひぃぃぃ!? 肩の凝りが……腰の痛みがぁぁ……気持ち良すぎて力が入らぬぅぅぅ!!」
あまりの極上の揉み心地に ゼノスは白目を剥いてヨダレを垂らしながら完全に無力化された
「「「「……えぇぇぇぇぇ!?」」」」
繋がれていた生徒たち全員が呆然と口を開けて固まる中 俺は地下空間全体へ全自動スキルを広げた
ゴゴゴゴゴ……!!
【地下労働施設を全自動最新学習ルーム&全自動ドリンクバーカフェへ改修完了】
【過剰吸出魔力の全自動逆流充填:全生徒の魔力および体力を100%回復】
パッと地下空間が眩しいほどのホワイトな温かい光に包まれた
暗く湿っていた地下室は 一瞬でふわふわのソファや最新の魔術書が並ぶ『豪華な全自動学習ラウンジ』へと大変身した
さらには無制限でタピオカミルクティーやココアが飲める全自動ドリンクバーまで完成する
「「「う……体が軽くなって……疲れが全部消えた……!?」」」
「何このカフェ!? すごすぎるんだけどーーーっ!!」
生徒たちが一斉に歓喜の声を上げ 美味しそうにドリンクを飲み始める
「ふぅ これで学園のブラック環境も完璧にホワイト化できたね」
俺が微笑むと 生徒たちから「全自動の神様だー!」「ありがとうございます!」と大歓声が巻き起こった
マッサージチェアの上でふにゃふにゃになったゼノスを全自動で警察へ転送し 俺たちの学園都市ホワイト化作戦は大成功で幕を閉じた
「レン様のおかげで 若い魔法使いさんたちの未来が守られましたね」
ルナが嬉しそうに俺の隣で微笑み エルナも「レン様……最高に格好良いです……!」と瞳を輝かせた
——だがその夜
学園の屋上で夜風を浴びていた俺の前に 漆黒の羽を持った謎の美少女がすっと舞い降りてきた
『七大幹部のふたりをあっさり倒すなんてね……やるじゃない『全自動の男』』
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