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12話 商業都市ルキア(2)

露店での大繁盛を全自動システムで完璧に乗り切った俺たちは そのまま商業都市ルキアの賑やかな大通りへと足を踏み出していた


「レン様! 見てください! あそこにかわいいリボンが売っていますよ!」

「本当だニャ! ミーナはこのお肉の串焼きが食べたいニャー!」

シルフィア ルナ ミーナの3人は 過去の奴隷のような生活をすっかり忘れたように 目をキラキラと輝かせて街を楽しんでいる


その横で フードを深く被った銀髪の竜姫エルナが どこかおそるおそる俺の服の袖をチョンチョンと引っ張ってきた

「あの……レン様……」

「どうしたのエルナ? どこか気分でも悪い?」

「いえっ……そうではなくて……こんなに温かくて楽しい場所にいていいのかなって……私 追われている身なのに……」

エルナは自分の小さな手をギュッと握りしめ 申し訳なさそうに視線を落とした


故郷を教団に滅ぼされ ずっと孤独に逃げ続けてきた彼女にとって この賑やかな街の風景はあまりにも眩しすぎるのだろう

俺は優しく微笑むと スキルで作った温かいキャラメル焼きの果実を エルナの手の上にポンと乗せた

「エルナ もう君は一人で怯える必要なんてないんだよ 美味しいものを食べて みんなで笑って過ごすのがここでのルールなんだからさ」

「レン様……」


エルナはおそるおそる果実を一口かじると その甘さに目を丸くし やがて溢れるような満面の笑顔を咲かせた

「甘くて……とっても美味しいです……! 私……こんなに幸せな気持ちになったの 生まれて初めてです……!」


【好感度上昇:エルナディア】

【全自動スキルの防衛同調率が向上しました】


脳内にひっそりと流れる通知を聞きながら 俺も誇らしい気持ちで胸を張った

……だが その穏やかな雰囲気をぶち壊すように 周囲の空間が不気味に歪み始めた

ヒュオオオオ……と不快な風が巻き起こり 大通りを行き交っていた街の人々の動きが まるで時が止まったかのように一斉にピタリと止まる

「な……なんですかコレ!? 体が急に重くなって……!」


シルフィアが即座に剣の柄に手をかけるが 全身にまとわりつく紫色の怪しい霧に苦しげに膝をついた

ルナとミーナも「息が……しづらいニャ……」と苦しそうに倒れ込みそうになる

「くくく……見つけたぞ 白竜の生き残りの小娘……そして奇妙な魔法を使う男よ」


路地裏の影からゆらりと姿を現したのは 全身を不気味な黒い鱗で覆った男だった

その首元には ザガンやギルバートが持っていたものとは比べ物にならないほど禍々しく光る『巨大な黒蛇の紋章』が刻まれている


「我が名は『黒蛇の教団』大幹部 影蛇のシェルバ! この街全体に広げた『結界・魔力搾取の陣』からは誰一人逃げられん! 貴様らの魔力も命も すべて我が教団の糧となれ!」

シェルバが手を掲げると 街中の建物や地面から無数の黒い蛇のような影が吹き出し 逃げ惑う人々やシルフィアたちへ襲いかかろうとした

「ひっ……! 私のせいで……みんながまた……!」

エルナが恐怖で身体を震わせ 涙を浮かべて縮こまる

だが——


「人のせっかくの食べ歩きを邪魔するなんて 本当にいい度胸だね」

俺は冷ややかな視線をシェルバに向け 静かにポケットから手を出して指を鳴らした


『思考:街全体における敵対結界の完全上書き および敵対対象の全自動即時迎撃』

【全自動領域展開:ホワイト・ガーデンを起動します】


俺の声が響いた瞬間 街全体を覆っていたドス黒い紫色の空間が一瞬で青く美しい光の粒子へと塗り替えられた

「な……なにィ!? わが教団の極大結界が……一瞬で消滅しただと!?」

シェルバが上をむいて驚愕した時には すでに遅かった


シェルバの頭上および足元の空間がパカッと開き そこから巨大な『全自動はえたたきアーム』と『超強力粘着罠』が超スピードで飛び出したのだ

ドカンッ!!

「ぐへあッ!??!?」

カマキリのように威張っていた大幹部シェルバは 虫のように一瞬で巨大なアームに叩き潰され 強力な粘着シートにぐるぐる巻きにされて地面に貼り付けられた


「な……なんだこのバカげた威力とスピードはーーー!? 俺は大幹部だぞ!? 教団の重鎮だぞーーー!?」

「大幹部だろうが何だろうが関係ないよ 周りの迷惑を考えない奴は反省してね」


【全自動集荷プロセス完了:最寄りギルドの牢獄へダイレクト転送】


シュンッ!という音とともに 身動きの取れないシェルバは粘着シートごと空間の裂け目へと吸い込まれ 一瞬でどこかへ姿を消した

結界が解除された街には再び賑やかな雑踏が戻り 倒れかけていたシルフィアたちも一瞬で元気を取り戻す

「レン様……またしても一瞬で……!」


ルナたちが呆然と息をのむ中 俺は固まっていたエルナの頭を優しく撫でた

「ね? 言ったでしょ 俺が全部全自動で解決するから大丈夫だって」

「……はいっ……! レン様……大好きです……!」

エルナは涙を拭うと ギュッと俺の腕に抱きついて微笑んだ

こうして俺たちの「はじめての街」は 大幹部を一瞬で撃退するとともに無事に幕を閉じた


……だが 全自動スキルの内部画面には 俺たちには見えない文字で着々と『ある数値』がカウントアップされていた

『幸福度の上昇を検知:指定閾値まであと70%』

『条件達成時:世界の因果崩壊イベント『全自動の代償』が発動します』

星やブクマなどをつけてくれると嬉しいです!

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