第154話 きっしょ! キショモンス!!
ざざざざざ、否、もはやドザザザザザ~!! だ!
森の奥から、そんな音がドンドン聞こえてくる! 1匹や2匹じゃない!
今ボクたちがいるのは木こりさん達がいる場所よりも奥だし、この場だと一斉に来られるとヤバい!
「見晴ラシガイイ所マデ撤退スルヨ! ミンナ下ガッテ! ダッシュ!!」
「わがりやんした!」「ん! わかった!」
ロロンもマーヤも、すぐさま振り返って走り始めた。
『アカ! 合図したらビリビリ撃ってね! 肩につかまって、後ろ見てて!』
「あいっ!」
アカが肩につかまると同時にダッシュ開始!
トモさん! ごめんけどアカに合図したげてください!
『了解です、よろしくアカちゃん』『あい~!』
ロロンとマーヤを追いかけつつ、叫ぶ。
「――魔物ガ出タゾオオオオオ! 数ガ多イ!! 一旦撤退ヲオ願シマアアアアアアアス!!!!」
これだけ叫べば聞こえるでしょ!
さて背後の連中は……まだザザザザ音がする! するぅ!!
『アカちゃん、正面に来ますよ!』「みゅみゅ~!」
林がパッと明るくなった! アカサンダー!
「――GGGGGYANANANNANANNNN!?!?!?!?」
ヒィイ!? なんだこの悲鳴!? ガラスをひっかいたみたいだ!
トモさんさっきのキショイのなーに!? 見たことないんだけど!!
『データベース検索中……アレは『クローマ・ワーム』。ステルス迷彩付きのミミズみたいな魔物です。 地を這う速度は速く、獲物に巻き付いて溶かしながら食べる肉食系ですね』
ヒィーッ!?!?
キショい上に嫌すぎる!!
『ちなみに、食べられなくはないですがとっても不味いそうです。魔石はありますが死んですぐに摘出しないと体液で溶けます。さらにその魔石もそれほど価値が高くありません』
より魅力がない! チキショーッ!!
『連中の最高速度ならこのまま走れば追い付かれませんね。かといってこのままだと危険なので……そのまま真っ直ぐです、開けた所がありますのでそこで迎撃しましょう』
了解ですう! あ、ヴァルにも言っとこ!
『ヴァル! 現在透明になるキショくて長い虫に追われてる! この先の広場まで誘導して戦うから……アルデアには木こりさんたちの避難誘導をお願いしたい!!』
『あい分かった! そう伝える!』
頼れる相棒ですこと! 念話って本当に便利!!
「ロロン! マーヤ! コノ先ノ広場デ迎エ撃ツヨ! ゴンザサン達ハアルデアニ誘導シテモラウ!」
「わかった!」「合点でやんす!」
前方に、伐採された木がチラホラ見えるけど木こりさんはいない! ってことはもう逃げたのね!
よーし、これで安心だ! ダッシュダッシュ&ダッシュ~!!
・・☆・・
『前方から来ますよ、迎撃準備!』
しばらく走って広場に到着し、息を整えていたらトモさんからのお知らせ!
「見えにぐいのが問題だなっす! ワダス、戦うのば初めてでやんす!」
「私も。ラーガリにもワームはいたけど、透明なのなんて知らない」
ふふーん、任せておきんしゃい!
「大丈夫! ボクニイイ考エガアルヨ! アカ! 上ニ飛ンデテ!」
「あいっ!」
魔力循環開始……ムム、足音が大きくなってきた……!!
――今ッ!! 衝撃波速射! 速射速射!!
ボクが撃ったのは地面! 衝撃波でめくれ上がる土砂! それが森の方へ吹き飛んでいく!
「――見エタ!」
土が長い棒状のワームにへばりついている! さっき見た時テカテカネトネトだったからピンと来たんだよねえ! これで見えるようになったぞ!
「デエエエリャアアアッ!!」
近付いて来たワームに、ヴァーティガフルスイング!
あっ……脆い! 真っ二つになっちゃった!?
「コイツ脆イヨ!」
「合点!」
いつの間にかロロンが土鎧を展開させてる! そのまま――
「どっせい!!」「――GGGGUGAA!?!?」
岩を纏わりつかせたアルマジロパンチ! ワームが千切れた! 強い!
「にゃっ!」「――GGGYYYAAA!?!?」
マーヤも投げナイフで問題なく相手ができてるみたい!
よっしゃ、やるぞやるぞ~!
『補足情報です。血液に溶解する成分が含まれていますので、返り血に注意してください』
オワーッ!? 接近戦しようとしとった!
「――血ニ毒ガアル気ガスル! ミンナ気ヲ付ケテーッ!!」
ヴァーティガで殴った感触だと……速射衝撃波でカタが付きそう!
ってことは……!
『アカ! ミサイルよろしく! いっぱい密集してたらビリビリで~!』
『あーい! まかして、まかしてぇ!』
その瞬間、頭上から次々と飛来するアカミサイル!
それは、ワームに直撃すると体を引き千切って吹き飛ばしていく! ウチの子分つおい!
おやびんも負けておられんな!
「オラオラオオラオラオラァ!!」
速射散弾衝撃波の嵐! 嵐!! 嵐ィ!!!
「「「GGGBAGAGGAGAGAA!?!?!?」」」
吹き飛ぶワーム! 千切れるワーム! 飛び散る体液! ヒィイ危ない!? 地面から煙がァ!!
威力を下方修正するか、それとも……
「にゃっ!?」
ああ! 土がちょっとしか付いてないワームがマーヤに飛び掛かって――ナイフで斬られたけど、あのままじゃヤバい!
アフターバーナー起動ォ! ワームとマーヤの間に挟まる虫になる!
「アジジジジ!?」
割り込むのに成功したけど、右手に体液がァ! 熱い! 刺激臭! 表面が溶けちょる!!
「ムーク!」
「大丈夫! 丈夫ガ取リ柄ナノデ! コンナモン軽イ軽イ!」
ボクの怪我は寿命を墓地に送れば即治るのでね! 進化して頑丈になったからこんなもん大丈夫ですよ!
「――肩、貸して!」
マーヤがボクの肩を足掛かりに上空へジャンプ。
「――みゃッ!!」
次の瞬間、凄まじい勢いでナイフが降り注ぐ! すっご!? 腕一振りで4本のナイフ投げてる!!
指の間に全部挟んでるんだ!?
「「「GGGGGBBABBAAAAA!?!?!?」」」
どんどん死んでいくワーム! っていうか数多いな!?
でも、ボクも頑張らないと――!
「テイリャーッ!!」
唸れ魔力! 速射衝撃波乱れ打ちじゃ~!!
「えーい! えいえいえい~!」
アカのミサイルも絶好調! 後で魔石を山盛りたべさせてあげるからね~!
「――シュートォ!!」
肩からの雷撃が、ワーム4匹に命中!
「「「GGAGAGGABABAB!?!?!?!?」」」
相変わらずのキショい悲鳴を上げて、痙攣しながら吹き飛んだやつらが……地面で成仏ッ!
トモさん! おかわりは!?
『半径100メートル内に反応ナシ。やりましたねむっくん』
やりました……ちかれた!
「ムーク! 手、見せて!」
マーヤが右手に飛びついてきたけど、もう戦闘中に完治しております。
「よかった……痕、残ってない」
なんと優しいネコさんであることか!
マーヤに傷ができる方が大惨事だもんね! 女の子だし!
「ダイジョブダヨ~。ア、ロロンモ怪我シテナイ?」
「問題ねがんす~!」
土鎧を解除したロロンは、両手をブンブン振って無事をアピール。
「ジャアコッチハ大丈夫ダカラ、ゴンザサン達ヲ合流シヨウカ~」
魔石をボリボリ……うん、亀さんのは混じってないな……
「おやびん、あーん、あーん!」
働いたアカにもポイポイ~!
「あむむい……おいし、おいし~!」
無味無臭なのにねえ……
・・☆・・
「ムークさん、お疲れ様。いやあ……凄い光景だね」
合流して戻ってきたゴンザさんは、死屍累々ワームを見て驚いている。
後ろにいるお弟子さんたちも、うわぁ……みたいな反応だ。
「新手ハイマセンカラ、マタ作業シテクダサイネ。ボクハ警戒シツツアイツラヲ燃ヤスノデ」
「そうかい、それじゃああと少しやるかね……しかし、この魔物は初めて見たよ」
ムン? そうなん?
「珍シインデスカ? ボクモ初メテデスケド」
「話には聞いたことがあるが……コイツはもっと北の方で出る魔物だったはずさ。少なくとも、儂がこの仕事をするようになってから見かけたことはないね」
ほう……なーんか、黒化騒動が関係してるんかね?
むーん、身近に研究者さんとかいたらわかるんだけどな~?
「よーし、とっととやって帰るぞ!」
「「「はいっ!」」」
……あ! 研究者じゃないけどテオファールいるじゃん!
トモさんトモさん! ホットラインお願いします~!
『呼び出し中です……おや、就寝中のようですね』
あ、そうなんだ。
じゃあいいよ! 折角寝てるのに起こしたらかわいそうだからね~!
今回のお仕事、進化の恩恵をあんまり感じなかったけど……でも、肩のアレは大活躍だったな。
衝撃波もいいけど、やっぱり雷って便利だねえ……これからもお世話になりそうだな~!
「ムーク、疲れたの? 大丈夫?」
「おおかた飯のことでも考えているのだろうナ~?」
「アルデア正解!」
さーてさて、何食べようかな~?




