第152話 爆誕、木こり護衛虫。
「アカちゃん、おいちゃん、おはよ~」
「おはよお! おはよお!」
「オハヨ~」
今日もいい天気な朝、校庭の隅でアカと一緒に日向ぼっこ虫をしている。
そうしたら、朝食までの合間にヘレナちゃんがやってきた。
「ふあふあ、ふあふあ~!」
「あはは! きゃははは~!」
けもんちゅのモフモフが大好物のアカ。
あっというまにヘレナちゃんのふわふわヘッドに抱き着いてモフっている。
ちょっと羨ましくはあるけど、我がボディに毛が生えても新種のバケモンと化してしまうのでどうしようもない。
「あははは~! ねえおいちゃん、おいちゃん!」
「ナンデショ?」
「おそら、もっととべるようになったの~?」
ああ、進化のことね。
そりゃね、見たらわかるからね。
「ウン、マダ練習中ダケドネ~」
だっこして~! みたいな体勢のヘレナちゃんを抱え上げる。
うーん、フワフワでポカポカ!
「またのせてね~?」
「フフン、任セテオキンシャイ!」
もうちょっと待っててね、今はまだちょっと速度調節が不十分なので……昨日最高速を試したら、補助翼が千切れて体がバラバラになりかけたので!
今までよりも格段に速度が上がったし、加速性能も凄いからね……使いこなせたら強力なんだけど。
おや、鐘の音!
「みんな~! 朝ご飯ですよ~!」
ムムム、あの声はサチさん!
「おやびん、ごはん、ごはーん!」
「行コウ行コウ、コノママイックゾ~!」
「わぅう! はやい、はやーい! あははは~!」
朝ご飯は大事だからね! いっぱい食べますよ~!!
・・☆・・
「イリュシム先生、例の件ですけど……ちょっと今は難しいようです。今回は本家の方にお願いしましょうか」
「そうねえ……まだ暖かいからそれほど困ってないし、無理しなくてもいいんじゃないかしら?」
モグモグ……今日のパンも美味しい!
「でも、この先はどうしましょう。ゴンザさんの所にはいつもお世話になっているので、この先もお願いしたいのですが……」
「そうねえ、相手が相手だし……ミカーモの口利きでいい冒険者を雇えないかしら?」
ズズズ……パンに味噌汁は合わないと思ったけど、これはこれで……白ご飯が最高だとは思うけどね!
「今は南が稼ぎ時なので、中々首都に逗留している冒険者さんがいないんですよね……特にベテランだと」
「ああ、そうねえ……どうしようかしら」
バリバリ……相変わらず美味しいな、このクソデカセロリ! 今日のドレッシングはレモン的なお味がして素敵!
……っていうか今冒険者って言わなかった?
「アノ、冒険者ヲオ探シデスカ?」
「ええ、ちょっと問題がありまして……」
サチさんが、困ったように言う。
……これは!
するぞ、気配が! 恩返しの気配がするぞ~!!
「ヤリマスヤリマス! 大地竜デモ水晶竜デモナンデモ叩イテ伸バシテラーメンニシテヤリマスヨ~!!」
「アカも! アカも~!」
「もふぁふぁ! もももも! むごごむぐ~!!」
あああ、ロロンが喉を詰まらせてしまった! レスキュー!
「ナルホド……オ任セクダサイ! 頑張リマスヨ!」
ロロンにお水を飲ませて、『お客様に面倒をかけるわけには……』と恐縮するイリュシムさんに虫土下座をかましつつ、お話をしてもらった。
「ソノ護衛任務、見事ニ達成シマスヨ~!」
お話はこうだ。
ミカーモ孤児院に、薪を納品している業者さん。
その業者さんに、元となる木を卸している木こりさんがいる。
お名前はゴンザさん。
結構なお年寄りだけど、元気で頑張っている木こりさんだそうだ。
んでんで、その木こりさんがピンチだとのこと。
なんでも最近都の近くで魔物がちょいちょい増えているとか。
別に大騒ぎになる程の数じゃないけど、ゴンザさんたちが木を切りに行っている場所は今まで魔物がほとんどいなかったそうだ。
だけど、最近になって森狼とかか出没するようになってきて……危ないらしい。
じゃあ別の場所に行けばいいんでない? と思ったボクだけど……そこは異世界。
この世界は伐採をやり過ぎるとスタンピードが起こる激ヤバな環境のため、特に首都周辺では木を切っていい区画っていうのはかなり厳密に定められているらしい。
だから、ゴンザさんたちは木が切れなくて困っていて、冒険者を雇おうとしたんだけど……さっき言っていたように、南には黒い魔物とかがいて護衛にしろ討伐にしろ、お仕事が増えている。
なので、腕に覚えのある方々はあんまり首都にいないんだって。
何人かいるにはいるんだけど、そういう人はでっかい家のほぼ専属なんですって。
というわけで、リスク承知で新人冒険者を雇うか、実入りが減るけどいくつかの木こりでまとまって行動しようか……と言っていたというわーけ!
そこに拙者が立候補したわけでゴザルよ、ニンニン。
『また出ましたね、サムライニンジャ』
これからもたまに出るかもしれないよ~?
「恩返シデスヨ! オ世話ニナッテルシ……ボクノ体慣ラシニモナリマスカラ!」
「アカも! アカも~!」
「ワダスもでやんす~!」
ムンムム? なんですかマーヤ、肩を掴んで。
「ムーク、私も行きたい」
「ドウゾドウゾ! ガンバロウ!」
ムンムムムギャーッ!? なんですかアルデア! マントを引っ張って!!
「私も手を貸してやるのナ」
「アリガトウ……助カルヨ……」
そして、ヴァルは当然ですという顔。
ってことはフルメンバー……ではないね、イセコさんおらんし。
彼女はオルクラディ関連のアレで朝からザヨイ家に行ってるんだよね……大変だなあ、影衆さんは。
そして! おのれオルクラディとアーゼリオン! ムギー!!
・・☆・・
「コイツはまた……強そうなヒトが来たもんだね」
ダンゴムシっぽいむしんちゅさんが、そう言ってパイプをふかした。
声の感じから、結構なお年寄りなんかね。
「ムークデス、頑張リマス! ヨロシクオネガイシマス!!」
ビシーッ! と頭を下げるボク!
「アカ、でしゅ! よろしく、おねしゃ!」
肩に乗ったアカも同じように! カワイイ! カワイイ生き物~!
「おうおう、これはご丁寧に……はは、こんなに近くで妖精さんを見たのは久しぶりだよ」
この人は、ゴンザさん。
今回護衛する木こりさんだ。
んでんで、ここは三の街の西にある門。
ゴンザさんとはここで合流することになっていたんだよね。
イリュシムさん経由で話はもう通っております。
時刻は昼すぎってところかな? 首都って大きいから移動が大変だ……そりゃ、冒険者さんはみんな三の街に拠点を置くわけですよ……
ゴンザさんの後ろには、竜車と何人かの大工さんがいる。
みんなゴツくて強そうだけど……魔物相手はしんどいのだろうか?
それにしても全然動かないね、大工さん達。
「しかしまあ、随分と綺麗なお仲間さんたちだねえ……これは目も楽しいね」
「ふふん、よく言われるのナ~?」
アルデアは自然体ですわ……言われ慣れてるんでしょうねえ。
ロロンは赤くなってる……大丈夫! とってもかわいいから!
「さて、それじゃあ行くかい。泊まりになるが構わんね?」
「ハイ! 皆野宿ニハ慣レテマスノデ! 準備万端デスヨ!」
なんたって旅旅&旅の毎日だったからね!
「ははは、頼もしいねえ。それじゃ、よろしく頼むよ……乗っていくかい?」
「歩キマス! ミンナハ?」
振り向くと、揃って首を横に振る皆。
歩くのね、了解~。
「はいよ、それじゃあ出発だ……行くかい皆」
「「「はい!」」」
うおびっくりした!
ゴンザさんは荷台が連結された竜車の御者席に乗り込み、今しがた返事をしたひいふう……6人のむしんちゅさんたちが一斉に荷台へ乗り込んだ。
「ギャルルル!」
走竜ちゃんが元気よく吠えて、竜車が動き出す。
さーあ、頑張るぞ~! お仕事もできて、孤児院の手伝いもできて! これぞまさに一石二鳥ってやーつ!
・・☆・・
「ムーク様、正面でやんす!」
「任セトイテ~!」
ざざざ、と草むらが揺れて――影が次々飛び出す!
周囲に仲間はいない! よーし、肩ハッチオープン!!
「――喰ラエッ!!」
『肩部雷撃散弾砲』――発射ァ!!
「「「ギャンッ!?!?!?」」」
肩から放たれた稲妻が、ボクに飛び掛かろうとした森狼3匹に直撃。
そいつらは、空中で痺れた後に発火して即死した。
お、おおお……高威力!
「ムーク、それで最後」
了解、マーヤ!
「周辺に敵影なしだナ」
アルデアが肩に着地! ビックリした!!
「ウナッ!? ピリっとしたのナ!」
「ア、ゴメン」
……ボク悪くなくない? ま、いいけど。
いやー……森につく前に襲われるとは思わなかったなあ。
これからも気を引き締めないとね!
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