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蒼と紅  作者: 久村悠輝
125/130

第125話

 せっかくのGWなのでゲリラ投稿です。5月3日から6日まで連続投稿するので是非読んで下さい。

 レベルが53になりサファイア達は狩場を霧の渓谷へ移した。

 暴れ川が岩肌を削り幾度も流れる場所を変えて複雑に入り組んだ渓谷だ。身を潜める場所が多いがそれはモンスターも同じ事。不用意に進もうならば手練れの冒険者でも奇襲を受けて即全滅すらある。

 安全な街道から外れルビーのサーチスキルを頼りに少しずつ奥へ進む。


「初めて来たけれど想像以上ね」

「早く安全な場所を見付けてキャンプするですヨ」

「アメちゃん慌て無いの。慎重に選ばないと不意打ちを受けて瓦解するハメになるわよ」

「ルビーさんが潜んでいるモンスターを見付けてくれてますから助かりますね」

「楽に進める」

「そんな事よりお腹空いた!」


 ルビーが索敵をしているので不意を突かれる事は無いが、道中のモンスターを片っ端から倒しながらなので歩む速度は遅くなかなか思う様に進めていないのが現実だ。


「けど霧が出る前にキャンプ地を決めたいわね」

「あそこの岩肌に窪みがありますけど調べてみますか?」


 ペリドットがパールに尋ねる。


「そうね。念のためシトリンさんも付いて来てくれるかしら?」

「了解」


 鼻の利くコボルト族のシトリンを護衛代わり連れ警戒しつつパールは窪みへ近付く。残ったルビーは耳に意識を集中し周囲の音を拾う。しかし聴こえてくるのはサファイアのお腹の音ばかり。思わずギロリと睨んでしまうが、当のサファイアは舌をペロリと出して悪びれた様子は全く無い。

 パールとシトリンはすぐに戻って来た。


「安全そうよ、焚き火の跡を見付けたわ」

「って事は前にどこかのパーティがキャンプしてたんだな」

「ええ、奥行きもあって広さも問題無いしここを拠点に狩りをしましょ」

「その前にお昼!」

「賛成」


 放っておいたらこのまま狩りを始めてしまいそうなパールにサファイアは異議申し立てをする。シトリンも同意らしい。

 空腹の弱体(デバフ)を受けるのも面白く無いのでパールは昼休憩を承諾した。


「今日はお寿司なんだね!」

「どうして寿司をチョイスしたんだ? レベリングなら肉料理を食ってSTR()を強化した方がやりやすいだろうに」

「ここまで来る時、狩ったモンスターを覚えてる?」


 パールに質問を返されルビーは慌てて記憶を遡る。


「確か山羊とかカモシカみたいなのが多かったな」

「そう、ここみたいな岩場は彼らの独壇場よ。力を上げても当たらなければどうと言う事はないわ。お寿司でDEX(器用さ)を上げて命中率を上げた方が良いと思うの」

「成る程、その為の寿司って訳か」


 ルビーとパールが話しているウチにサファイア達が黙々と食べていた。残ったネタはイカ、タコ、玉子焼き、いなり寿司、太巻きだ。

 嫌な予感しか無いいなり寿司を警戒するルビー。それを見たアメジストは。


「心配無用ですヨ。この世界にHKは居ないですヨ」


 とは言え神出鬼没のHK、どこに潜んでいるいるか判らない。ならばといなり寿司に箸を突き立て無事かどうかを確かめる。箸を突き立て5秒、何も置きなかったのでいなり寿司を口に運ぶルビー。

 残されたネタに不満はあったが、全て食べ終わるとパールの淹れた緑茶を啜る。いつもならばコーヒーなのだが今日は和食だから緑茶なのだろう。


「それにしてもやたら風が強い谷だな」

「土の精霊はもちろんですけど、風の精霊も元気です」

「土埃が舞って顔がザラザラよ」

「ミーも関節に砂が入り込んで動きが多少悪いですヨ」

「奥まで入れば土埃はあまり気にならないよ?」

「けど逃げ場が無いから魔法で一網打尽にされるぞ」

「そこはパールが頑張るですヨ」

「もちろんルビーさんもサファイアさんもヘイト管理には協力してくれるわよね?」


 そう言ってにっこり微笑むパール。サファイアに対してはやんちゃするなよ? との圧が込められていた。


「水の精霊の力が高まって来ました。霧が発生しそうです」


 ペリドットの一言で全員が窪みの奥へ退避しモンスターからの不意打ちに備える。


「丁度良いし、このまま狩りを始めるぞ?」


 得物を片手で弄びながらパールへ言うルビー。タイミングも良かったのでそのまま頷きを返す。崖の中腹に居たカモシカへ手裏剣を投げるルビー。

 敵対行動を受けたカモシカは急斜面をものともせず駆け降りて来た。その目は怒りに満ちている。前足で地面を蹴り威嚇している。今すぐにでも飛び掛かって来そうだ。


閃光(フラッシュ)!」


 パールは睨み付けてくるのを逆手に取り強烈な光を浴びせる。カモシカは猛然とパールへ突進する。それをすんでの所で躱しカウンターで喉を斬る。だが分厚い毛皮に覆われている皮膚には届かずダメージは殆んど与えられていない。


「サファイアさん!」

「解ってる!」


 パールの言葉に阿吽の呼吸で応えるサファイア。侵食・深淵(エクスイロウジョン)で毛皮もろとも皮膚を爛れさせる。


「ペリドット、ヤツの足を止めてくれ!」


 ルビーの声にペリドットすぐさまティターンを喚ぶ。


重力波(グラビトンウェーブ)!」


 重力魔法でカモシカは地面に縫い付けられたかの様に動けなくなる。それを見て勝利を確信したサファイア達の気が緩む。その隙を逃さずカモシカは魔法詠唱を始めた。


「ちょ、ヤバいヤバい!」

「コイツ魔法使えるのかよっ」


 慌てて魔法の射程外へ逃げるサファイア。ルビーは地面を蹴って一気に肉薄し鰐顎砕牙(クロコダイルファング)を放つ。シトリンはねこだましで詠唱の中断を狙う。

 しかし詠唱は終了してしまいカモシカから凄まじい魔力が放出され大気に吸い込まれる。刹那、カモシカを中心に巨大竜巻が発生しかまいたちがルビー達を襲う。サファイアはギリギリ範囲外へ逃げられたが、吹き荒れる暴風に味方の回復すらままならない。


「このっ、調子に乗りやがって!」

「こんどはこっちの動きが封じられたわね」

「この風じゃ狙いが定まらないですヨ」

「重力波で押さえ込んでる以上はこの風を止める気は無さそうです」

「狙いが定まらないなら狙わなければ良いですヨ!」


 アメジストが弾倉(マガジン)を交換し狙いの定まらないカモシカへ向けて発砲する。


「切なさ乱れ撃ち! ですヨ」

「だったら…暗黒太極拳!」


 アメジストは装填した散弾を雨の様に降らせる。その様子は刹那に五月雨の如く、だ。アメジストのウェポンスキルに反応したのはシトリンだ。黒いオーラを纏い連撃をカモシカへ打ち込む。


「切なさ炸裂…じゃない、マジックボーナス炸裂ですヨ」

「風魔法使ってるヤツに風属性とかマジかよっ」


 疑問に思いつつもルビーはカモシカへ風遁の術を掛ける。風の刃がカモシカの全身を襲い切り刻む。


「エリアルバースト!」


 圧縮された大気がカモシカの体内へ送り込まれ炸裂する。

 怯んだカモシカは竜巻を止めてしまう。


「チャンス!」


 一瞬の隙を見逃さなかったルビーの不意討ちを乗せた鰐顎砕牙(クロコダイルファング)が急所にヒットしカモシカは倒れた。


「皆集まって~、エクスヒーリング!」


 掲げられた頭のおかしい武器(メテオストライク)の先端から放たれた淡い緑の光がパーティを癒す。


「素早いから足を止めれば全体攻撃が来るなんて、いやらしいモンスターね」

「こんな狭い場所で竜巻を連発されたら落石しかねません」

「時間は掛かるけどチマチマ削るしか無さそうだな…。カモシカは避けて他のモンスターを釣るか?」

「それが良さそうね。他に何が居たの?」


 ルビーの案を受け入れ戦い易そうなモンスターが居ないか問うパール。


「戦い易いか判らないけど、サーチで引っ掛かったモンスターにミストフロッグってのが居たな」

「霧の蛙?」

「ぬめぬめしてそうじゃ」


 首を傾げるサファイアと率直な意見を言うシトリン。


「1度戦ってみてレベリングに使えそうか判断しましょうか」

「解った、それじゃ釣って来る」


 そう言ってルビーは霧の中へ消えて行った。

 蛙なら楽に戦えそう。パールがそう考えていると、ルビーが慌てて(とんずらで)キャンプ地へ戻って来た。直後、ズシン…ズシン…と地響きを立て霧の中から姿を現したのは、パール二人分くらい大きなヒキガエルだった。


「呆れたデカさですヨ」

「アングラーフロッグが可愛く思える」


 その巨体に構える事も忘れ見上げるアメジストとシトリン。そんな中、モンスターとの距離を縮め攻撃に移る影があった。


「サファイアちゃん、1番槍ー!」


 自分の仕事そっちのけでミストフロッグへ突貫する。しかし両生類の特性は理解して置かないといけない。ヤツらは目の前で動くモノをとにかく口に入れる。それがリリパット族でもだ。

 デジャヴだ。サファイアが丸呑みされた。慌ててシトリンがミストフロッグの脇腹へ正拳突きを打ち込む。


 ゴェッ!


 急所に一撃を入れられたまらずミストフロッグはサファイアを吐き出す。何とか救出されたサファイアはぬちゃぬちゃのぬとぬとだ。粘液まみれで臭いもキツい。そんな様子を見てルビーはぶんどるを躊躇う。が、アメジストと目が合い顎をくいっとミストフロッグへ向けられ腹を括る。半分ヤケクソでミストフロッグの口へ手を突っ込み、そこにあった何かを掴み引き摺り出す。


 これが災難の始まりだった。

 今回も読んで下さってありがとうございます。コメントや評価を貰えるとモチベーションが向上する…かもしれないので気が向いたらお願いします。

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