31.新たなる作戦
駅に着いたのはいいのだが、電車の発車時刻が1時間は軽く待たなければいけない状況になってしまった。
とりあえず待合室で固まって待っている。
どうしたものかと皆は考えるが、サーモン以外盛り上げ役と言える立場ではないので、これといった暇潰しも見当たらず……。
サーモンもサーモンでなんとかしようと必死に考えているが、見当たる様子は見られない。
俺も考えてみるが、俺はこういう時ずっと黙ってしまうもので……
「あ」
俺は短く声を漏らしてしまった。それに気付いた皆は俺の方を一斉に向いた。
「何、どうしたカイザ。トイレか」
「いや、違うけど……。ただリュウセイから来たメール内容が気になるな~と思って」
「あぁ~、俺もあれ気になるわ。だってさ、[もう時期攻めるんで]ってメールされても何言ってるかわかんねーじゃん」
「せ、説明なさすぎよリュウセイ」
「ごめん」
簡単にしすぎて内容が伝わってこない文章ではないか。主語がない時点でアウト。以外と天然なところもあるようだな。
「じゃあ……説明するけど、天下統一するために道内を俺達が占領する。的な感覚で攻めようって話」
「う、うん……?」
とても困ったようにサーモンは頷いた……と思いきや首をかしげた。
「いや、だからさ。天下統一……」
「馬鹿っ」
シュンレンはリュウセイの頭を結構強く叩いた。
「そんなに説明下手くそだとは思わなかったわ。私が説明する」
軽く溜め息をついてから、真っ直ぐな瞳でこちらを見やった。
「本部長が道内ほとんどを占めたって話はしたでしょう? その占められた所は戻さなければいけないの。その為には私達も戦わなければいけないのだけれど……結局は戦争を行わなければいけなくなる……けど…………」
途中で話が止まった。どうしたのだろうか?
シュンレンは困ったように顎に手をつく。
「いや……」
うーん、と何かを掴もうと考えている。
「戦争反対してるのに自分等で戦争起こすっておかしな話よね、自分で言ってて笑っちゃうわ」
ははっ、と目が笑っていないが口元だけ笑う。
だが、確かにそうなる。何を考えていたのだろうか。
「予定を大幅変更しましょう。戦はせずに取り戻すわ」
「シュンレン大丈夫? 変更なんてして」
「やってみせるわ。皆、この暇な時間は領土を取り返す作戦を立てましょう」
背もたれのない椅子なので皆向かい合って座れるのが有難い。
「戦争なしでどうやって戻すの……」
「そこよね。私もまだわからないわ」
「えっ」
目を点にしてシュンレンを見るサーモン。サーモンだけではない、皆驚いた様子でシュンレンを見る。
「今さっき私が言っておいてなんだけど、間違ってるって気付いたから……。さぁ、案を出して」
急すぎて何も浮かびやしない。
「嫌だけど、戦争しかない気がするんだけど……」
「だよねー、結局は力だよねー」
俺の意見にほぼ棒読みでフワワが言った。
「どうしたものかなぁ~。世の中は力なり? うるせーバカヤロー」
腕を組んで考え込むフワワ。
「威嚇して相手を黙らせようか……」
「あんな本部長聞く耳持たないだろうね」
俺はサーモンの案を否定。頑固そうな人だったので意味がなさそうだ。
「だよなぁ。……大体さ、何で自分の物にしたがるかな、馬鹿なのか? そんなに目立ちたいか!」
目立ちたいのはお前も同じだろ。
そうツッコミたかったが、今ツッコんでも場違いな気がするので止めておく。
「目立ちたいというか、あいつは自己中心的思考だからああなるんだよ。多分意味は無いと思われる」
自己中……。どうしようもない人間だ。
自己中を黙らせる方法など知ったこっちゃないのだが、それを見付けなければ話は進みやしないだろう。それを踏まえて再度考える。
「自己中死んでしまえ……」
「自己中って自覚してないから腹立つんだよね~」
「自覚……」
シュンレンは何やら考え始めた。
「どうやって黙らせようか」
「私はもうわからないよ。カイザ、何か案を」
「それを今聞いたんでしょうが!」
「自覚させましょう」
シュンレンがそう言った。
「どうやって自覚させるんすか……?」
「話し合いをするわ、もう一度本部長と」
つい先程負けたばかりなのにまた話し合いをするのか。俺は勝てる気など更々ないのだが。
「正気ですかシュンレンさんや」
「いつでも本気よ。あの馬鹿を黙らせるなら私は全力を出すわ」
「……そんなこと言っていいのかい。アンタ本部長と付き合い長いんだろ」
敬語と思いきや、もうタメ口で話始めるサーモン。これだからサーモンは打ち解けが早いのだろうか。
「うわべだけの付き合いよ。本部長に賛成してる人ってまず少ないはずなのよ……」
「マジで……?」
多分、今サーモンも俺も同じ気持ちなのではないか。人間って恐ろしい、なんて思ったのではないか。
「賛成してる人少ないの?」
「そうよ」
「ならその賛成してない人を味方につけて本部長に特攻してしまえばいいのでは……」
フワワのゲスの部分が表れた。確かにそうすればかなり有利になるが、それはそれでズルをし過ぎてしまっているのでは……と思ってしまうのだが、この件に関してはそんなこと関係ないのだろうか。
「そうね……味方につければ相手も動揺を隠すことは難しくなりそうね」
「反対派にどうやって協力貰うの?」
ふとした疑問を俺はシュンレンに訊ねてみた。
「それは……」
「俺がなんとかしよう」
リュウセイが割って入ってきた。
「俺の唯一の親友は反対派だ。その親友にも協力してもらう」
「おぉ、リュウセイ太っ腹!」
「ここに札幌のエリート戦士がいて助かるね」
唯一の……って、友達1人しかいないのだろうか。親友が1人で友達は複数人いるのだろうか。
そんなことはどうでもよいだろう。協力者が増えるのだから。
「……っと、そろそろ時間だわ。行きましょう」
もうそんな時間になっていたのか。最初は暇だったが、いざ夢中になって話せば時間も忘れてしまう。
俺達は忘れ物がないかチェックして、駅のホームへ皆で向かった。
「私ら勝ったら有名になれるかもね、サーモン」
「そうだよな、絶対有名になれるわ! いや~、楽しみだわ」
「緊張感持てよ」
「有名になりたいのか……」
「あまり騒がしくしないで、恥ずかしい」
ホームには結構な人数人が立っていた。電車の中が満員じゃなければいいのだが……。
周りに迷惑がかからない程度に俺達は楽しく会話をした。今の時間だけ本部長のことは忘れ、今話題になった有名になりたいという話に。「それを今聞いたんでしょうが!」
「自覚させましょう」
シュンレンがそう言った。
「どうやって自覚させるんすか……?」
「話し合いをするわ、もう一度本部長と」
つい先程負けたばかりなのにまた話し合いをするのか。俺は勝てる気など更々ないのだが。
「正気ですかシュンレンさんや」
「いつでも本気よ。あの馬鹿を黙らせるなら私は全力を出すわ」
「……そんなこと言っていいのかい。アンタ本部長と付き合い長いんだろ」
敬語と思いきや、もうタメ口で話始めるサーモン。これだからサーモンは打ち解けが早いのだろうか。
「うわべだけの付き合いよ。本部長に賛成してる人ってまず少ないはずなのよ……」
「マジで……?」
多分、今サーモンも俺も同じ気持ちなのではないか。人間って恐ろしい、なんて思ったのではないか。
「賛成してる人少ないの?」
「そうよ」
「ならその賛成してない人を味方につけて本部長に特攻してしまえばいいのでは……」
フワワのゲスの部分が表れた。確かにそうすればかなり有利になるが、それはそれでズルをし過ぎてしまっているのでは……と思ってしまうのだが、この件に関してはそんなこと関係ないのだろうか。
「そうね……味方につければ相手も動揺を隠すことは難しくなりそうね」
「反対派にどうやって協力貰うの?」
ふとした疑問を俺はシュンレンに訊ねてみた。
「それは……」
「俺がなんとかしよう」
リュウセイが割って入ってきた。
「俺の唯一の親友は反対派だ。その親友にも協力してもらう」
「おぉ、リュウセイ太っ腹!」
「ここに札幌のエリート戦士がいて助かるね」
唯一の……って、友達1人しかいないのだろうか。親友が1人で友達は複数人いるのだろうか。
そんなことはどうでもよいだろう。協力者が増えるのだから。
「……っと、そろそろ時間だわ。行きましょう」
もうそんな時間になっていたのか。最初は暇だったが、いざ夢中になって話せば時間も忘れてしまう。
投稿ペース遅れてます、はい