30.お怒り
本部長に聞きに行った門番を待って何分経ったのだろうか。かなり長いこと待っているような気がする。
待つのに疲れている時、隣にいたサーモンが俺とフワワの前に立った。
「ここの入れる基準とか、その後とかあの門番に聞こうぜ」
__ん?
俺とフワワの腕を掴んでもうひとりの門番の元へ行く。
足を止める様子もなく、フワワも抵抗する様子もない。
確かに侵入するために必要な力など知っていれば役に立つとは思えるのだが、その後って何なのだ。その後に従えば本部長の元へ辿り着けるというなら俺は拒否しないのだが。
「すみません門番さん」
サーモンの声に振り向いた門番。
「ここって簡単に入れるものなのですか?」
「いいや、無理だ」
「ですよねー」
「本部長が見てる前で、ここの頂点に立つ戦士と戦ってもらう」
「へ?」
サーモンはアホみたいな顔をした。
「それで本部長がある程度の実力を認めなければお前らは没となるのだが…」
「なるのだが?」
門番は敷地内をチラチラと見やる。それにつられて俺達も見てみると、先程の門番と豪華な格好をした男の人が歩いてきた。
「お前らは入れてくれるかどうかだが……」
「どういう……」
豪華な男の人が俺達の前に立った。
見上げてしまう程の長身の男に圧倒されてしまう。
「なぜお前らがいる?」
「……と、言いますと?」
「お前らが来るべき場所ではない。帰れ」
「ちょっ……それはないでしょうよ!」
サーモンが明らかに怒っているのが目に見える。
「何が見学だ。お前らがここへ入門すればお前らの市はどうなる? 空っぽではないか」
「あっ……」
もうボロが出てしまった。俺はもう知らない、そんな嘘を付いたサーモンに責任を取ってもらいたい。
「ち、違う! これはだな……」
「何しにここへ来た? 部外者は帰れ」
「このクソジジィ……」
歯を食い縛りながら拳を強く握る。
「……あっ」
フワワが声を発したのでフワワの顔を見ると、ある一点を見つめていた。俺に「あれあれ」と指してくるので俺も見てみると、やはりここにいたか、という人物が目に見えた。
「本部長殿」
本部長の肩を叩くのは、お馴染みの人物……
「り、リュウセイ!? ……それにシュンレンも……」
そう、リュウセイだ。おまけにシュンレンとやらもいる。
あまりの驚きに本部長は目を大きく見開く。
「なぜだ……お前は逃げたのではないのか……」
「もうここで活動することはないと思われますが、あなたにお話があってここへ参りました。あと……」
リュウセイは俺達の方を向く。
「サーモン、メールは読んでくれたかい?」
「へ? メール?」
サーモンが携帯を取り出し画面を見ると、サーモンは「あっ」と声を出して画面を見つめ続ける。
「ごめん、読んでなかったわ。……で、こんな短文じゃ何もわからないんだけど?」
「後で説明しよう」
「おう」
一体何が書かれていたのだろうか。気になるが、今はそれを聞く空気ではないので、皆本部長に集中した。
「本部長、私共の話を聞いていただけないでしょうか」
「…………なぜだ」
「話がしたいこと以外何もありません」
「手短に頼むぞ」
リュウセイの問いになんとか応えてくれた本部長。すると、リュウセイは俺の方を見て一言。
「後は頼んだよカイザ」
「…………はい?」
俺の肩をポンと叩くと、リュウセイは俺の後ろへ回った。
「ちょっと、どういう事!?」
「そういう事だ」
「は!?」
そういう事ってどういう事!?
俺が本部長と話をしろと、そう言いたいのだな。……だがしかし、なぜ俺に頼む? 俺じゃあ説得力ないと、まだ出会って日が浅いリュウセイでもわかりきっていることなのに。
「なんだね小僧」
眉間にしわを寄せて、鋭い目付きでこちらを睨み付けるように見てくる本部長。
何から話せばいいのやら……。ここはもう、遠慮はなしに思いをぶつけてしまった方がいいのだろうか。リュウセイも俺に任せてしまったのだから、どうなってもいいという事になるであろう。
「俺は……」
睨まれていると思いながらうつ向いていたが、下を向いたまま話すのは無礼なので顔をあげる。
「戦争を反対いたします! 今すぐに撤廃していただきたい所存であります」
「……はっ、もう遅いんだよ。いいかい? 我々は道内3つの地域以外全てを支配済みなのだよ。そんな我々に逆らえるとでも?」
「えっ……」
俺は愕然とする。もう戦争は始まってしまっているのか? 残り3つの地域が支配されるのも時間の問題ではないか。
しかしここで、逆らえません。と言ってしまえば負けてしまうので、答えは……
「逆らえるに決まっているじゃないですか」
こう答えるしかないと今の俺は判断。
「ふはははっ、そうかそうか。逆らえるのか。いい度胸だ、そこは認めてやろう。だがな、軍力数千万を超す我々に対してのお前ら3人では叶うわけないだろう」
「いいや、5人だ」
後ろからリュウセイが言った。
「この3人と俺とシュンレンを含めて5人だ」
「なっ……シュンレンも含むだと!?」
「ごめんなさいね本部長。私もあなたのその腐った思考は気に入らないの。今回ばかりはこちらに付くわ」
絶望と化した表情を浮かべる本部長。
「裏切り者め……どいつもこいつも私を裏切りやがって」
ただ者ではないオーラを漂わせながら俺達を睨み付ける。
「潰す……お前らを潰すっ! お前らだけは私の元へ来させない……つまりは」
手を前に出して指すと、
「殺すっ!!」
歯ぎしりをしながらしばらく俺達を睨み付ける。
「……シュンレン、お前はもうここへ来るな。雑魚たちと一緒にいるがいい」
俺達に背を向けて、門へ潜った。
「説得できなかった……」
「カイザ、お前は悪くない。俺に考えがあるから、とりあえずカイザ達の家で説明をしたい」
「そ、そうか……」
そう言ったあと、「行くぞ」とサーモンが仕切った。
今思えばここに着いてから今までの時間は大して長くないと思われる。分単位しか経っていないだろう。
俺達は駅へと歩いて向かう。
最終回全然近くなかったですすみません。
そうそう、とあるアプリゲームで「一番最後」は二重表現だって言ってた。初耳でした……知識なさすぎでした自分。




