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この謎多き異世界で  作者: いくよ
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27.用事とは何か?

「あっ……」


 俺が起きて1階へ降りる頃には、既にリュウセイが家の中にいた。


「遅いカイザ」

「マジで遅いぞカイザ」

「カイザはいくら寝ても伸びないよ」


 最後に聞こえたのは、言う必要もない言葉が聞こえたのでそこはスルーした。


「カイザ時計見た?」


 サーモンに言われたので俺は疑問に思いながら時計を見てみると、


「うそっ」


 午後1時を回っていた。俺は完全に8時くらいだと思っていつもより気持ちよく起きたというのに。


「なんなら1日中寝てりゃよかったのによー」

「いや……それはない」


 テーブルの上にラップにくるまれた皿が置いてあったのでそこへ座る。


「おかずは冷めちゃったぜ。米はそんなことないけど」


 そう言って米を持ってきた。

 サーモンは俺に「リュウセイが待ってるんだから早くしろ」と急かしてくるので、できる限り素早く食べ終えるよう専念した。


 5分ちょっとで食べ終えることができたので、リュウセイと共に外へ。何も持たなくていいと告げられたので、俺は手ぶらだ。


「じゃーん」


 トーンの低い声でゴムを取り出した。前に使ったやつとは違う気がする。


「これ……」


 グッとゴムを左右に引っ張る。


「すごく固いから」


 はぁ、と疲れたように溜め息をついてゴムをもとに戻して俺にゴムを渡してきた。


「今から……3時までやってれば軽くなる、うん」

「何が軽くなるの……」

「よし、始めー」


「ちょっと」と思ったが聞く耳も立ててくれないので仕方なくゴムを引っ張る……と思いきや、全然伸びない。固すぎる。これ本当にゴムか? と疑うほどだ。

 くねくね曲げることはできるのだが、引っ張るとなると相当の力が必要になってしまう。その力を付けるために今こうして頑張っているのだが。


 うーん、と引っ張ること早20分。1番伸びて5cmも満たすか満たさないかくらい。


「ちょっとリュウセイ!」


 俺は苛立ちのあまりリュウセイに八つ当たり。


「ゴム伸びないよ!? これはおかしいと思う」

「俺が伸ばすことできたんだからカイザも伸ばせる」


 お前と俺を一緒にすんな!

 前回使っていたゴムでいいと思うのだが。いきなりハードルを上げすぎだと俺は思う。


「文句言ってたら本部長に見向きもされないよ」


 今更ながら俺の弱さが身に染みる。最初の頃に興味をしめさなかったから、サーモンの世界最強の夢を貶してたから出遅れのスタートを切ってしまっているのだ。憎むなら自分を憎まなければ……。


「んなこと言ったって伸びないもんは伸びない……よっ!」


 うぐ~、と歯を食い縛りながら、射つ体勢など関係なしに引っ張る。


「うおっ!?」


 突然さっきよりも少し伸びたのでびっくりした。

 これを軽々しく引っ張ることができなければ、顔を真っ赤にして引っ張らないといけなくなるが。


「もういっちょぉ~」


 あぁー! と叫びながら引っ張る。


「あべっ」


 右手からゴムが抜けてしまい左手にビターン! と当たってしまった。


「痛い……」


 当たった患部を擦りながら言った。腫れてはいないが赤くなっている。


「離すからいけないんだろ」

「わかってるけども……」


 離してしまうものは仕方ない。

 

 それから時間になるまで引っ張り続けたが、コツも力も何も付かずに練習が終わってしまった。初日はこんなものなのかなと少しポジティブに考えてみる。

 大体弓を素早く飛ばして本当に威力が上がるのかといつも疑問に思っている。


「また明日」と一言置いて帰ってしまった。コツを教えていただきたい次第だ。




「うっわ……」


 昨日の全然進歩しなかった練習を終えた次の日の朝、俺は起きて伸びをすると主に右腕に痛みが。戻すとまた痛みが走る。これは完全なる筋肉痛だ。しかも前回起こった筋肉痛よりも更に痛い。


 この状態でまたあの硬いゴムを引っ張らないといけないのか……。

 今日なら1mmも伸ばせない自信がある。筋肉痛になった次の日くらい筋肉を休ませてくれたって良いのではないか?


 内心でグチグチ言いながら腕をあまり動かさずに階段を降りた。何もしなくても痛い。


 ドアを開けるとリビングに誰もいない。あれ? と思った俺は時計を見るとまだ7時にもなっていなかった。俺の中ではとっくに9時過ぎでいたのだが……。痛すぎて時間感覚でもなくしたか。


 2度寝しようかとも考えたが、2度寝したあと起きるのが億劫になるので、止めて俺はテレビを見る。朝といえばニュースと根付いているのでニュース番組を探す。

 ほぼ全部のチャンネルがニュースなので、適当にチャンネルを入れてニュースに集中。リュウセイについての話題も少しあるようだが、名前だけ出しておいて中身は触れないスタイルか。


「続いてのニュースです」


 ○○さんお願いしますと言ってから画面が切り替わると、リポーターが映った。その後ろには大勢の戦闘服を着た人の姿。


「ここは北海道戦士協会本部なのですが、戦争を始めるかもしれないとのことなのでインタビューをしたいと思います。本部長に直接聞けたらいいのですが……」


 リポーターが辺りをキョロキョロしていると、出口から出るいかにも偉そうな人が出てきた。案の定リポーターはその存在に気付いたらしく、駆け足で歩み寄る。


「すみません」


 声をかけると、偉そうな人は普通に反応した。


「本部長による戦争開始はどう思われますか?」

「……あぁ、それですか。私は認めたくありませんね。仲間同士での争いは誰も望んでいませんから」


 この偉そうな人は否定をしている。本部長の信者ではなさそうだ。


「そうですか。本部長に会うことってできますか?」

「いや……こういう質問は一切受けないと思われますが……もう少ししたらここへ来ます」

「本当ですか?」


 そう言った瞬間、出口からまたもや偉そうな人が出てきた。次は結構派手な格好をしている。ロングスカートかと思わせる程の長くてヒラヒラした長いズボン。上は鎧を装着しており、マントが風でなびいている。


「あっ、本部長殿。おはようございます」


 ビシッと敬礼をした。


「本部長さんですか。おはようございます、日本テレビのものなのですが……」


 するとここで画面がノイズがかかった。

 何事だろう? それを考えていると、画面がニュースキャスターへと替わっていた。


「大変申し訳ありませんでした。画面が乱れてしまいました。それでは続きをどうぞ」


 画面が替わると思いきや、ノイズのまま何も映らない。


「なしたんだ……」


 それから画面内では生放送で尚且つ視聴者がいるにも関わらず数人集まって話始めた。マイクが声を拾っていないので何を話してるのかわからないが、切迫とした空気が感じられる。


「ういーっす」

「あ、サーモン」

「起きるの早いな、珍しい」

「俺も珍しいと思ったわ」


 サーモンがおっさんのようにどっこいしょー、と言いながらソファへ座った。


「何してんのあれ」

「あぁ、あれは急にノイズがかかってパニックになって」

「なんだそれ」


 そう言ってサーモンはリモコンを取ってチャンネルを変えた。


「え、今の気になってたんだけど」

「はぁ? 編集部のミスだろあんなの」

「何でミスなんてするかな……絶対違うと思うけど」


 見たかったのにと少し拗ねながらもテレビを見る。ニュースではなく料理番組なので興味がなかった。


 きっと料理の参考にでもしてるんだろうなと思いながら、俺はその場に寝転がる。


「今日の晩飯はチャーハンだな」


 今テレビでやってるからって決めたなこいつ。

 ぶっちゃけ何でもいいが。


「あ、そうだ。カイザ、お前弓強くなったー?」

「全然」

「なんだよこの」

「1日、2日で強くなると思うなよ馬鹿っ」


 はぁ~と溜め息をついて、テーブルに肘を付く。


 ブーブーとバイブの音がテーブルの上から聞こえた。何だと思って見てみればサーモンの携帯ではないか。

 サーモンは携帯を手に取ると、眉を上げて驚いた顔を見せる。


「今日と明日は確実に来れない。って書いてるぞ」

「え」


 どうしたんだろう。用事なら仕方ないが……。

 少々がっかりしているが、筋肉を休ませるいい機会かと思った。


「何でだろう」

「聞いても“ちょっと用事が”しか行ってこないわ」


 言えない用事って何なのだろう。

 今日は休息日となるのかな?

イラスト投稿する言ったけど、構図浮かばねぇぜ。止めておこう


誤字あったらすんません

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