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第5話「サークル加入の決意」

読んだらコメントください。後、ブックマークと評価をお願いします‼️

 生徒指導が終わり、俺たちは解放された。あの話があって以来、俺は考え方が一変する。それは真の青春を謳歌する日常の幕開けだった。


「え? 急に気が変わったの? 嘘でしょ⁉︎」

「ごめん! 本当に急な話で申し訳ないんだけどさ! 俺で良ければサークルに入れて欲しいんだよ!」

「分かった分かった。そんな頭まで下げなくて良いからさ」


 朝一番に三人を尋ねた。あくびをしながら投稿して来た三人に話しかけた時は驚かれる始末だ。


 目の前で俺は深々と頭を下げた。それを智子は軽く頭をバシッと叩いて了承してくれる。


「良いけどさ。ちゃんと原稿は仕上げて欲しいんだよなぁ。もし頑張れたらご褒美あげちゃうよ」

「ご、ご褒美……? ま、まさかセッ––––」

「––––はぁっ!」


 ベチンッ


「いてっ⁉︎」

「バカじゃないの! 誰がヤらせるかぁああ!」

「ごめんなさい⁉︎」


 何だか思っていたのと違ったみたいだ。けど、サークルに入れたのは確かだと断言できる。後はサークルで活躍すれば三人のうち一人は恋人に迎えられるはず。


 俺が内に秘めた願望は卑猥だが、それでも頑張れる理由になった。これからはギャルたちとサークル活動するんだと前を向く。


 取り敢えず気持ちは伝えられて安心した。三人と別れた後、余った時間を机に突っ伏して休憩する。ふと、顔を上げた瞬間、横から愛乃が顔を出した。


「よっ! さっきは大好評の女子たちと何を話したの? 気になるんだけど」

「うわっ⁉︎ あ、愛乃かぁ。びっくりさせるなよ」

「別に登場は普通だったけどね。ま、それより話したいことがあるんだよ。放課後とか空いてないかな?」


 あれ以来、愛乃は積極的に声掛けて来る。まだ一日しか過ぎていないが、本当に話し掛ける頻度が増えていた。しかも上機嫌そうな様子から問題は起きてないのが分かる。


 ただ、何度か呼び出されて話を聞き、今度は放課後に余裕があればとか言い出して不可解だ。一体、何を考えているんだか理解不能だった。


「まぁ、少しだけ空いてるかもな。すぐ済ませてくれるんだろ?」

「それはどうかなぁ。分かんないけど、一応努力はするね! 頑張る!」

「そうか。ま、良いや」


 この時はあんまり重要視していなかった。それが後から支障を来たす結果になるとは想定外だ。


 特に放課後は急用が出来たりしていない。取り敢えずやるべきは済ませておいた。だから、約束していた後は愛乃に付き合うだけ。


 少し謎にソワソワして来た。あの時みたいなノリだったらと考えるだけで緊張する。また泣き出すような事態は避けたい。泣き顔には弱いんだ。


 ちゃんと事前に待ち合わせ場所は二人で決めてあった。お互いに探し回って疲れるのも面倒だから事前約束が一番手っ取り早い手段だと思ったんだ。


 そして約束した場所に到着。何と一足先に愛乃が待っていた。


「良かった! ちゃんと来てくれたんだね!」

「あぁ。もちろん約束は破りたくないからさ」

「にひひっ! それは大変感心しますわ!」


 もう半分ほどイタズラ笑顔っぽい感じが滲み出ていた。愛乃は意外に“ザ・女の子!”みたいなノリと雰囲気で話して来るタイプだ。過去はどんな人間だったとか分からないほどの魅力はある。


 それより本題に入りたかった。愛乃との話が終わったら三人と初めて同人誌制作を始める会議が控えている。


 そんなお楽しみを抱えながらも愛乃に用件を尋ねた。割と軽めを期待していた俺は衝撃的な話を突きつけられる。


「はぁ⁉︎ 一緒に配信して欲しい? それ本気なのか?」

「うん。実は変装しながら同級生の男子と動画配信とかどうかなぁって思ったんだわ。我ながら良い発想だと思いました」

「え、えーと。俺がその同級生なのか?」

「当然でしょ! 尾賀と共同作業してみたい。それで結ばれたら万々歳なんだ……」


 何故だか気づいたら愛乃から信頼されているのが分かった。それも“恋”に近しい感情があるような気がする。


 俺に期待を込めた眼差しが向けられた。愛乃はキラキラと輝かせた瞳で必死に訴えて来る。これだと断りにくくてしょうがなかった。


 ただ、お互いに配信など経験がない。それを踏まえると時間が掛かってしまうのは当然ながら考慮したかった。それと機材を集めるのも不可欠だろう。


「取り敢えず配信するにせよ問題は金だろ。俺も多少は小説を投稿して稼いでいるが足りない。そこで愛乃は幾らぐらい貯金してる?」

「えーと……貯金って言うかさ……手持ち三百円ほど……かな?」

「圧倒的に壊滅的じゃん⁉︎ そんなんで配信とか無理だろ⁉︎」


 思わず驚愕の声を上げてしまう。愛乃もがっくりと肩を落としていた。すっかり落ち込んでしまっている。


「まぁ、少しぐらいは……だな」

「……え? それって出してくれるの!」

「うーん。まだ何も言えないけど。ただ、俺は鈴莉たちのサークルに入ったからさ」

「ええっ⁉︎ あのサークルに入ったのぉ⁉︎」


(やべっ⁉︎ つい口が滑った……)


 本当は隠そうと思っていたんだ。何かと騒がれるのは勘弁して欲しかったのもある。だが、これ以上は隠せないとたかを括った。


 正直、気は進まない。愛乃でも明かしたくなかった秘密だ。俺にとってサークルは居場所だからなくしたくない。


 明かす代わりに条件をつけ加えた。これだけは守ってもらわないと先が心配だからである。


「ここだけの内緒だぞ。それが守れるか?」

「う、うん。守れば良いの?」

「あぁ。せっかく築き上げたのに崩れたら嫌だからな」


 愛乃の眼差しは信じても良いような気がした。その瞳にはしっかりと“守る”と言う意思が伝わって来る。


 深呼吸を一つ。気持ちを落ち着かせてから愛乃に秘密を告げた。


「実はサークル入りしたんだよ。知らないと思うけど、俺は無料投稿小説サイトで少し稼いでいるんだけどさ。その作品が良かったらしい。だから、今後は共同制作しようって話になった」


 ちょっとばかしモヤモヤが晴れた。何だか負担が軽減されたような感じだ。話して正解だったかも知れない。


 少し考えてみたことがあった。それは配信活動に関する話である。配信活動は同人誌の宣伝にも役立つ要素は満載だった。つまり、宣伝を兼ねた配信を行っていけば良い。


 そう思い立った瞬間、愛乃が喜びそうな決心を抱いた。


「じゃあ、愛乃を三人に紹介してみないか?」


 突然すぎる提案だと十分に分かっていた。けれど、誘ってみるのも悪くないような気がしたんだ。試す分には問題ないと思ってしまった。


「え、ええ〜。どうしようかなぁ。自分がどう思われてるのか心配なんだけどぉ……」

「それは確かめれば分かるだろ? 勇気を出して踏み出せば未来が変わるかも知れない」


 そっと手を差し伸べる。愛乃は差し出された手を見つめながら不安を言葉にした。


「傍で見守っててくれるの? 私、怖いんだからね?」


 本当に不安が募っているんだろう。愛乃が窺わせる表情は嘘を吐いていなかった。そう思えて仕方ない気持ちを起こさせた時点で問題じゃない。


 愛乃はゴクリと唾を飲み込んだ。そして差し伸べた手を取る。


「よろしくお願いします……!」

「こちらこそよろしくな!」


 俺たちは握手して互いを信じ合った。愛乃も三人に紹介される覚悟が出来ているようだ。それを決して疑っていなかった。


 最終的に愛乃とは特別な関係を築く。お互いに同意の握手を交わして関係が成立した。


 あの時、愛乃の手は小さくて柔らかいことを知ってしまう。何だか愛乃と握手する必要があったのかは後々で疑問が残った。


 取り敢えず愛乃とは校門前で別れる。今回は三人と会わずに話だけ俺からする約束を交わした。


 そんな訳で鈴莉の自宅にお邪魔する、意外に来るのが遅くて三人から怒鳴られた。


「ふーん? 愛乃ちゃんって言うんだな?」

「確かクラスメイトだった気がする。あんまり目立ちたがらない雰囲気の子でしょ?」

「ってか、堂々と約束して来て遅れるのは論外だよ。私たちはずっと待ってたんだからさ」


 俺は中に入った瞬間から正座させられた。これほどだとか予測していなかったが故に言い訳も出て来ない。


 一番睨みつけて来るのが鈴莉だ。スカートはギリギリ限界で中身は見えなかった。けど、チラッと見えてしまう危険性に期待を抱いてしまって顔が上がらない。、


「何か言うべきことはないの?」

「本当にごめんなさい。もう遅れないので、今回は許してもらえませんか?」


 真剣に謝罪するのは恥ずかしかった。でも、許されたくて仕方なく我慢する。


 そしたら、鈴莉が文句を垂らし始めた。それは自分たちの行為が思わぬ最悪な印象を持ってしまっている不満である。


「はぁ。何だか私たちがいじめっ子みたいじゃんか! 一方的に悪いのは猛雄なんじゃないの?」

「それも言えてるな。猛雄は反省させられている感じを醸し出してやがるんだけど」

「ええっ⁉︎ そこ上部扱いなの⁉︎」


 思ってもみない評価を受け、情けない声が響き渡る。


 そこに黙々と何か書き留めていた美羽が一言だけ正直に告げた。


「三人とも時間ない。早く打ち合わせするよ。時間は有限なんだから意識しなさい」


 ノートから少しも目を離さず、俺たちを纏めて注意して来る美羽。もの凄い大人っぽいようなセリフに鈴莉は話を合わせながら負け劣らない感じで修正した。


「そ、そうだよね! 少しぐらい遅れたからからと言って責めるのは良くない。取り敢えず遅れた分はスピード意識で取り戻さないと!」

「ったく、分かったよ。ほら、猛雄もこっち来てくれ。これからサークル会議するからさ」

「は、はい……」


 急に優しく声を掛ける智子。美しい肌色の手を差し伸べる姿は天使そのものだった。


 彼女の手を取り、引っ張り過ぎないように立ち上がる。しっかりと握られた手の感触は愛乃と同じ女の子特有の柔らかさがあった。


(智子から手を握る行為に向かって来たんだよな? 何気なく智子の手を握れてしまった俺はラノベ主人公だったりするのか?)


 本来ならあり得ないとばかり宣って可能性を考えなかった俺とは思えなかった。こうして女子三人と男子一人で集まる空間に新鮮味を感じる。もはや、天国と言っても過ぎた表現ではなかった。


 そして俺を輪に加えた四人で話し合う。今回は四人で制作する初同人誌の内容について意見を交えた。それは言わばプロット会議と称する行為だと思う。


 俺は初めて本格的に他と創作活動するんだと緊張して来た。それも相手は全員女子だから話しは合わせないといけない。それを踏まえて俺が役立つのか不安も伴っていた。


 大体、話し合いは一時間で切り上げる。明日も学校があることを考慮した上で俺から提案した。


 今回は各自の得意ジャンルと好きな属性などを挙げて終わっている。実際に共同制作するんだったら必要だと理解していた。


「また明日ね!」

「先に帰宅しても良いのか? もし良かったら二人とも自宅まで送り届けるけど」

「私たちは泊まってくから気にしないでくれ。ちょっと秘密の女子トークもしたいからな」


 何か怪しげな会話でもするんじゃないかと脳裏に予測が過った。実際に三人は大の仲良しだから大人の会話が交わせてしまう。


 そう思いつつも、思ったことを誤魔化すように本音混じりの一言を残した。


「本当にマイホームとか羨ましいわ。俺も稼げるようになれば持てるのかなぁ」

「きっと大丈夫だから心配しないでよ。私たちベテランが色々と教えてあげるんだからさ」

「じゃあ、今後もよろしく頼む。またな!」


 こうして俺は一人だけ帰路に着いた。まだ三人と過ごしたいと言う心残りはある。けど、明日になれば三人とは話せると言い聞かせながら帰宅した。

読んで頂きありがとうございます。

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