幕間 世界王者 RagnarokWarriorX
遂にこの時が来た!
世界最高のフルダイブ型剣戟対戦ゲーム「|Eternal Edge: Arena《エターナル エッジ アリーナ》」のワールドチャンピオンシップ2112、その決勝戦の時が!
優勝すれば、俺は前人未到の世界大会四連覇だ。
「カイル!マーカスが…」
「ん?なんだよジュディ。
マーカスがどうかしたのか?」
カイル・アンドリュー・モリス。
俺の本名だが、あんまり人前で呼ぶなよな。
マーカスは、決勝戦の相手だ。
正直、技術は高いし戦術もよく組み立てている。
だが、流石に俺の相手じゃないね。
マネージャーのジュディは、長い赤毛を乱して息を切らし、何か言いたげだ。
「マーカス、つい一昨日に、お母さまが亡くなったみたいなの…」
んん?マーカスのママが死んだ、と。
「…あー、それって、俺に何か関係あるの?」
「…まあ、そう言うと思った。」
なんの報告なんだよ、まったく。
決勝戦は、俺の圧勝だった!
マーカスのやつ、相当調子が悪かったみたいだけど、それは言い訳にならないよなあ。
ともあれ、四連覇を果たした俺に、運営から記念の称号が贈られた。
その名も、ゼロ・リスポーン!
超クールだぜ!
これまで使っていたハンドルネームの、RagnarokWarriorXも、かなりクールで気に入ってたけどな。
ラスベガスの会場から帰宅して、早速称号を確認してみた。
おお、称号がゼロ・リスポーンに設定されてるぜ!
最近飲みすぎて、ちょっと嫌いになりつつあるエナジードリンクを一気に呷り、また朝までランクマッチに潜る。
どうだどうだ、こんな時間にランクやってる奴なんて、決勝戦の配信を見てたような奴らに決まってる。
金色に輝くゼロ・リスポーンの文字を見ろ、恐れろよ!
うお、もう外が明るくなってるな。
…あー、ちょっと根を詰めすぎたかもな。
気分がちょっと悪く――
あ、れ……いっ、てえ……
くる、し………なん、だよ……
は?どこだここ?
あれ、HUDは?
まーたサイレント修正しやがったのか、マジでムカつくわ。
……ははーん、さては。
なるほど、またテストプレイしろってか。
あーあ、世界王者は辛いねえ。
新マップか、新ルールか、どっちでもいいけどよ。
お、NPCか?とりあえず、殺しとくか。
フォトンエッジのエフェクト、地味過ぎだろこれ…
リアル志向に舵を切るつもりなのか?
これじゃあ、配信映えしねーよ、炎上させてやるからな。
で、今のスコアは…どこに表示されんだよ、マジで。
未だにこんな不親切なゲームねえっての、世界王者をナメてんのか。
なんかこの辺り、大昔のジャパンのアニメで見たような間取りだな。
今さら百年前の流行りを反映するかよ、センスねえー。
ん?アニメ…
おお!もしかしてこれって、異世界転生ってやつかよ!
そうかそうか、なるほどなあ。
この世界で最強を目指すため、俺は女神サマだかなんだかに呼び出されたってわけだ。
このまま狩りを続けていれば、なにかイベントみたいなのが起きるかもな。
もうちょっと纏まって出て来いよな、ザコ共がよ。
…お、増援か?
「ん?あれ、先制してこねーの?」
「あ、なた…何年から、来たの…?」
お!?もしかして同じ転生者か!?
なーんだ、女神サマもこんなに可愛い子を俺のために用意してくれるなんて、粋なことするじゃねえの。
世界観に合わせて、ジャパンのスクールガールの学生服姿のアバターだし、同行してるNPCもキモノを着たサムライがいるな!
は?なんだよコイツ。
あーあー、わかりましたよ。
コイツ、どうせ後で「ざまあ」展開にハマるモブだろ?
そうなったら死ぬほど煽ってやるからな!
もう二十匹は殺したけど、イベントの開始条件なんなんだよー。
この暗いエリアも飽きてきたし、他のマップを目指してみるか。
おお!屋根の上にニンジャがいるぞ!
女ニンジャだ!
黒髪ポニーテールか、わかってるねえ~。
こっちに気づいてるっぽいけど、手を振っても降りてきてくれないな。
登っていって、捕まえてみるしかない、か―――
は?消えた?
おいおいチートかー?
隠密系のスキル構成とか、マジで卑怯なだけだから、それ。
「い゛っ」
は!?いってえ!!
おい、アラート鳴ってねえだろ、ふざけんな!
んだよザコ共、殺すぞ!
「い、ってえな!死ね!」
ザコが二匹、ナメられたもんだぜ。
俺に不意打ち決めたからって、調子乗ってんじゃねえぞ。
思い知らせてやる!
「オラ!来いよザコ!」
「うるせえよ、お前。」
は?だ、から、アラート…?
もう一匹、いたのか、よ…
あー、マジで…これ、リスポーンどこからだ?
めんどくせー…
あ、次は




