第97話 ミツルがゆく 〜時空監察官シズカHMS!②〜
「えっと、お姉さん誰ですか?」
「はじめまして、エムちゃん」
「は、はじめまして!(オトナのお姉さんだ〜!声はすっごい可愛いけど!)」
ミツルちゃんを伴って現れたスコップ。
何が大変かって?ミツルちゃんが裏でコソコソしないこと!
ミツルちゃんはシズカさんの姉だ。
騒動の黒幕にして、実は色々考えるのが苦手で飽きっぽいという困ったちゃんなのだ。
赤茶色の髪は相変わらずショートで、理由が不明な黒と白の二房もいつも通り。ただ今日はいつも着ている略章ジャラジャラな紺のタイトスーツと違い、白の長袖ブラウスと紺のロングスカートで清楚系に化けている。ちなみに紺が彼女のカラーだ。
猫達は化けようと思えばいつでも清楚系になることができるのだ!
いきなり登場したオトナな美女に、キャラティーのエムは恥じ入った。
つぶやきが聞こえたのだろう、シズカとスコップとハルナがすごい形相でエムを睨んでいる。そういうトコだぞ、御三方。
「だって、母さんは母さんだし、スコップさんは落ち着きないし、ハルナちゃん先生はちっちゃいし……な、何だよだってホントのことでしょ!あ、スコップさん、薬はダメ……!」
キャッキャしだした4人に、少し羨ましそうにしながらも、ミツルちゃんは語る。
「私はミツル。いいこと?エム。そこのシズカちゃんとハルナちゃんの姉妹には、真ん中がいるのよ、聞いたことなかった?それが私、この銀河に唯一人!甲種時空監察官監査官のミツルちゃんだよ!」
「え?」
「うわ……やっぱり」
「え?」
「こんなに可愛い姪が出来て、嬉しいわ〜。あ、私のこと叔母ちゃんって読んだら消すからね?ミツルちゃんとか、ミツルお姉ちゃんとか。可愛く呼ぶのよ」
「ミツル!……今なんて言った?」
「あ、甲種時空監察官監査官の事はご内密に。一応、家族にも知られちゃまずいので」
ミツルちゃんは右の人差し指でエムの唇をそっと突いた。はわわ〜。
そういうトコだぞ、ミツルちゃん。
「じゃなくて、お姉ちゃん!私とハルナちゃん」
「……言ってたよね?」
あれ〜って顔してるミツルちゃん。
そういうトコだぞ、ミツルちゃん。
「シズカがあなたの特別大事な子とは聞いたけど……」
「私、そもそも……そういやハルナちゃんはお姉ちゃんを知ってるようなこと、OKINAWAで言ってた」
「あの時は……そうそう、シークワーサー星人のことでうやむやになったっけ。私、そこの三毛猫に拉致されたのよ。3327年のトレジエムから」
見つめ合い、動かなくなる3人。
こうして並べば、本当によく似ている。
そして10分ほど経った頃、エムとスコップが動いた。
「私、お茶淹れてくるから。3人で最初から話したほうがいいよ」
エムは台所に行くと、まずは電話をする。
「ゆうきちゃん!うち来れる?ちょっと大変なことが……」
そして、ミャウドライバーで海高セーラーにチェンジ。たぶん真面目な話になるだろうから、今の服装は少し可愛すぎると思ったのだ。
「僕、トイレ……」
スコップは、トイレに行くふりをして考えた。
3人が姉妹かもしれないということは、何度か考えたことはある。
だが、ハルナが異質なのだ。
ミツルとシズカはよく似ている。同じ家庭で育ったのだろうということは一目瞭然だ。
しかしハルナは見た目はシズカよりかなり幼いが、精神の成熟度はシズカよりもかなり上だろう。そして彼女の言葉を信じるなら、ハルナはケンタウリ育ちではない。さっき言っていたトレジエムという星に家族がいるということは彼女の口から何度か聞いている。
「ミツルさん、なんだろうな。おかしくしちゃってるのは」
二人がリビングに戻ると、部屋の様子が一変していた。なんか、裁判所っぽい。
エムは2人いる裁判官と、被告人席のミツルの前に冷たいお茶とお煎餅を置くと、スコップと急いでやって来た山田とともに傍聴席に座った。
「あんなに焦っているミツルさんは初めて見るよ」
バリバリと部屋中に響く音を立て、スコップが軽く感想を述べる。姉妹がこうなった経緯に興味はあるが、基本他人事だから。
猫達も、バリバリとお煎餅をかじる。
まじめに音を気にしているのは地球人の2人だけ。
そして、終わりが始まった。
「さあ、お姉ちゃん!正義の前に跪きなさい!」
「シズカちゃん!?それ、お姉ちゃん滅ぼされるやつ!」
始まりは、シズカがどれほど可愛いのかというミツルの独白だった。
全く興味のない白い方の裁判官が制止しようとするが、傍聴席から待ったがかかった。
次に、シズカが潜入捜査を開始してしばらく、どのように見守っていたかを語ろうとし始めたので、今は三姉妹の事についてのみ話すよう、白い方の裁判官が強く求めた。
「子供の頃から、私の上にお姉ちゃんがいることは知ってたのよね。父さんたちはあんなのだから、もう諦めてたみたいだけど」
そして、銀河世直し旅をしていたら偶然に見つけたのだ。シズカによく似た白い子猫を。
「すぐさまスキャンかけて、間違いないとわかったから、この時代に連れてきたの!」
犯罪だ。
元の時間に戻せばいい?そういうものではない。
「お姉ちゃん、それでは説明になっていないわ。このままじゃ私、お姉ちゃんを裁かなきゃならなくなる」
シズカはどこからともなく取り出したミャウドライバーを構えてみせた。
「へぇ……時空監察官が私を裁く?できるものなら……」
対するミツルがマジックのように手からカードを出してみせると、彼女の腰回りにミャウスキャナが浮かんでくる。
「やってみなさい!」




