第95話 勇者召喚! 〜銀河最強の戦士が異世界に転生?③〜
召喚陣の輝きが消えてしまう前に、シズカは周囲をスキャンした。
海辺高校の体育館程度の広さ、石造りの部屋、出入り口は……2つ。
隠し部屋か?中には10名ほど待機している。配置からして、戦力なのだろうが……魔法使いだ。シズカは静かに興奮した。
「……成功だ」
光が消えた時、周りのギャラリーから声が上がった。
「勇者召喚が成功した!」
「勇者召喚?」
シズカの隣りにいた若い男が、オウム返しにつぶやいた。
「左様。そなたたちは迫りくる脅威から世界を守るため、女神の助力のもと異世界から召喚されし勇者!」
その時、召喚陣の外の床が一部せり上がり、玉座と共に老人が現れた。
被召喚者以外の人々がひざまずく。恐らくこの中で最も地位の高い人物のようだ。
「よくぞ召喚に応じてくれた、異世界の勇者達よ」
老人は良く通る声でシズカ達に語りかけた。
座ったまま、偉そうに。
「ちょっと待ってくれよ!いったい何が起こって……」
対して地球人の4人は、何が起きたかわからず混乱している。物語でよくあると有名なシーンだが、まさか自分が当事者になるとは思うまい。
「陛下の御前であるぞ!控えよ!」
「何だよ!勝手に召喚?なんかしておいて説明もなしかよ」
良いぞ、勇者っぽい青年。
あまりにも勇者っぽいので、彼への期待は全くしていなかったシズカ。むしろ隣に佇むメガネのサラリーマン風の男の方を評価してさえいたのだが。
ここで能動的に世界に関与するかどうかで、ストーリーのあらすじは決まる。とりあえず、「言われたまま進んで破滅系」は回避した。
「なるほど、まだ事態を理解しておらぬようじゃな。宰相よ説明してやれ」
「陛下の仰せのままに」
偉そうなオッサンは、王や皇帝それに類するものらしい。地球ではそれらにはっきりした区分けがなされているのだが、ザッツファンタジーのこの世界では名乗れば勝ちなのだろう。
しかし、偉そうなのは気に入らない。シズカは偉いさん5人ほどに殺気を飛ばしておいた。
「さ……、さて、4人の勇者が召喚されるとの神託であったが?」
「宰相閣下。直前で女神の神威を感じ取れしました。恐らく、女神直々に追加の勇者を召喚していただいたのかと」
ステータスプレートにはそれぞれの職業が表示される。
勇者っぽいのは『滝沢』君。炎の勇者だった。
聖女っぽいのは『原瀧』さん。ヒロインって職業なのか?
お下げの女の子は『早乙女』ちゃん。拳闘士。そのまんまじゃないか。
サラリーマンは『レオナルド・田中』君。農民。微妙に変えてきてるな。
そして私『シズカ』は、
「『猫?』あ、。この石牢から出たあとは勝手に消えるから、安心して」
「相わかった。まあ、食事くらいはしていくいくが良い。このまま突き放すのも、外聞が悪いからの」
そして、王宮での豪華な食事の後、シズカは宣言通り勇者パーティーと別れたのだった。




