第83話 時空監察官シズカ!? 〜銀河最強の戦士が異世界に転生?①〜
目が覚めると。
「うわ、マジ知らない天井だよ!」
『本当に人間は騒がしいな』
シズカさんの背後で声がした。
女性とも男性とも、若いともそうでないとも。よく分からない声だ。
「ケンタウリ標準語?」
『ん?お主はよその星の者か』
「私はシズカ。時空監察官シズカ!死ぬ前に、神への祈りの時間をあげる」
『なんじゃお主は!物騒じゃの!』
声の方に振り向き、指差して決めポーズをすると、シズカの目の前にいたのは、例のアレだった。
「うわ~。のじゃロリ神?」
定番だった。
『何を言うておるか。シズカよお主は死んだのじゃ』
「のじゃ……」
のじゃロリめ、訳の分からないことを言う。この地球で自分を殺すことができるのは、山田くらいだ。山田がナニしてくれたら即死する自信はある。
しかしこの流れは、アレだな。死んで異世界転生するパターン。
シズカは今日のことを思い出してみた。
魔界都市《TOKYO》。
現地時間の朝7時起床。公園の水飲み場で顔を洗い、爽やかな目覚め。
普段着に変身して、モグラバーガーへ。
朝食はビッグモッグのセットで済ませ、探索を開始。
騒がしい街だ。こんな所にはお姉ちゃんは来ないなと、早々に見切りをつけた。
信号が青になり、お利口に待っていた子猫が道路に飛び出した。
そこにやって来たのだ、信号無視暴走(SMB)トラックが!
そのままではSMBトラックに轢かれてしまう。そう思うと身体が勝手に動いた。
子猫をかばった私は、トラックと衝突した。
子猫は無事。道路にそっと下ろしてやると、学習しないのか、また左右確認もせずに駆け出した。今度は運よく通り抜けられたけど、次は助けられないよ。
そう考える私を光が包み込んだ。
『例え子猫のような小さな命でも、自らの命と引き換えに守ろうとする清らかな心に、わしは感動したのじゃ!だから特別にお主を生き返らせ、別の世界で気ままに生きる人生をプレゼントしよう、という企画じゃ』
まあ、人類の未来を切り開くはずの少女が、何らかの妨害に遭い死ぬはずだったところを守って代わりに死ぬ、ということではなかったようだが、とにかくシズカは神のもとに招へいされたというわけだ。
『それでは転生のギフトを授けよう!』
「……待ってよ」
『そうじゃな、少し急ぎすぎたの。説明を……』
「じゃなくて、私って死んじゃったの?」
『そうじゃよ。全力トラックにはねられて生きているものなどおるまいて』
「……あの程度で、どうやって死ねるの?」
地球人もケンタウリ人も、あの程度で死んでしまうのはシズカも知っている。
強化されたシズカの柔らかボディは、生身であってもあの程度では滅びない。
シズカは服に付いていた汚れを払うと、のじゃロリ神が着ている貫頭衣のような服の胸ぐらを、そっと掴んで絞め上げた。




