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ラクがしたい冒険者~誰か俺を養って~  作者: あさまえいじ
第二章
48/50

第47話

よろしくお願いします。

俺達はユーグ村に馬車で向かっている。ケルヴィオンから西に行くのは初めてだな。

初めて行くのが、こんなことじゃなければ良かったのにな。

「おい、キッド。今の内に俺の策を伝える。お前もよく聞いておけ。」

ブランド―がデスファルコンとの戦いにおける策があるらしい。俺もユーノから聞いていることを伝えておこうもしかしたら、作戦に加えられるかもしれない。

「ブランドー、俺も知らせておくことがある。ユーグ村の村長の息子、ユーノからいくつか情報を貰った。それも今回のことに役に立つかもしれない。」

「おお、それはいい。情報は少しでもあればそれだけ勝利に近づく。まずはそれを聞かせてくれ。」

「ああ、ユーグ村の戦力は狩人と王都で騎士をしていたゲイルという男だ。」

「---!ゲイル、ゲイルだと!」

ブランド―は驚いている。それほど有名な男なのか?

「なにか知っているのか?」

「ああ、有名な男だ。王都で騎士なんてとんでもない。元グランガイア王国騎士団所属、近衛騎士筆頭、金雷のゲイル。先代の近衛騎士団団長だ。そんな男がユーグ村にいたとは・・・」

「右足を怪我しているらしいが。」

「ああ、そうだ。それが理由で近衛騎士を辞した男だそうだ。手紙でそう書いてあった。」

「手紙?」

「ああ、今の近衛騎士筆頭とは昔の仲間でな。」

「昔の?ああ、リオン達に言っていたA級冒険者、最後の一人か。」

「ああ、ちなみにB級冒険者はマーキスだ。今回、あいつにとって兄貴の弔い合戦になるはずなのに、あのダメ後輩は・・・」

ブランド―は悔しそうだ。仲間を殺された、その心中を俺には察せることはできない。

俺はまだ、仲間を殺されたことがない。いや、仲間と思ったものを失ったことがない。

俺にとって今、仲間と言えるのはミラ、リオン、キールだ。この三人を失うことは俺には考えたくない。

ブランド―にとっても失った仲間は本当に大事な仲間だったんだろう。そのことだけは分かる。


「・・・すまん。時間が無いのに話を止めた。キッド、他にはあるか?」

ブランドーは気を取り直し、話を続けた。

「いや、俺の方はそれだけだ。」

「分かった。では俺が当初考えていた策を話す。これはゲイルがいない上での策だ。現地で作戦を変えるかもしれないが、それを念頭に置いて聞け。」

ブランド―は俺とミラにそう言った。

ゲイルという男が今も無事か、それはまだ分からない。

無事と想定して作戦を立てれば、ゲイルがもうすでにやられていたら、その時点で作戦が破綻する。

「いいか、まずクビを刎ねるというのが俺達の目指す結果だ。それはいいな。」

「ああ。」

「クビを刎ねる、とは言うが、厄介なのが硬いこと、そして攻撃が当たらないということ、この二点だ。」

ブランド―は俺達に言い聞かせるように俺とミラを見ながらいい、俺達は頷いた。

「硬いことはキッドのカタナで対応する。これを斬れるか?」

ブランド―は懐から一枚の黒い羽根を取り出した。

「これは?」

「・・・デスファルコンの羽根だ。昔の戦利品・・・いや、仲間の形見だ。」

俺はブランド―から羽根を渡され、手に取って、その異様さに驚いた。

「これは、軽い。」

「ああ、軽いんだ。これで紙と同じくらいの軽さだ。だがそいつはもっと恐ろしいんだ。その羽根、折れるか?」

俺はブランド―に言われ、折るために力を入れた。そして、またも驚いた。

「なんだこれは!」

硬い、その一言に尽きた。

「ああ、恐ろしく硬い。そしてそいつは魔法が通りにくい。俺の魔法がまるで効かなかった。炎で焼いても焼き目がつかず、水に効果がなく、石で体に傷はつかず、風はまるで意味がない。」

ブランド―は羽根を睨みながら、結果を教えてくれた。

魔法が効かないという結果を。

俺は試していない魔法があるため、その結果を聞いてみた。

「ブランド―、雷と氷魔法は試さなかったのか?」

「雷と氷?いや、試していない。・・・氷、雷、光、闇はとても珍しい属性だ。どれか一つでも使えればその価値は相当上がる、だがその魔法は珍しいから教える人間がいないんだ。その結果、早々その4属性の魔法使いは生まれない。」

「そうなのか?キールは氷魔法を使っていたが、あれは珍しいのか。」

「なに!それは本当か!」

「ああ。魔法使いになってまだ一月経っていないが、『氷の槍』を使っている。今日は雷魔法の『雷の槍』を使っていた。」

「なんで、それをもっと早くに言わない!」

ブランドーが俺に掴みかかってきた。だが、俺にも言い分がある。

「ブランド―が二人を止めたんだろ。」

「う!そ、そうだが・・・ああ、俺が止めたな。でもそれに間違いはなかったと思っている。氷と雷の魔法使いだ。育てばどれほど優秀な魔法使いになれるか想像がつかない。凡才だった俺とは違う、生まれながらの天才だ。ここで散らしていい命ではない。」

「ああ、まだ子供だ。俺が守らないといけない命だ。だから止めてくれて感謝している。」

俺とブランド―はその話を終えることにした。


「羽根が硬く、また魔法が効かないことは分かった。だが、これなら。」

俺は『カタナ』を握りしめ、答えた。

「その武器の噂は聞いている。辺境伯からもらったそうだが、大層な切れ味のようだな。ダイクのところで作らせているのも聞いている。」

「ダイクのことも知っているのか。」

「当たり前だ。俺は商人だ。商人は耳が命だ。それよりも、いけるか。」

「丸太とお前の家の扉が真っ二つになるくらいの切れ味だ。それならどうだ。」

「・・・現状、その武器以外は効きそうにない。頼むぞ。」

「ああ、だが空を飛ばれては届かない。方法はあるのか?」

「昔、あいつの動きが乱れたことがあった。風魔法を使った時だ。」

「さっき、風は意味がなかった、と言っていたが。」

「ああ、風魔法で攻撃したときにダメージはなかった。だが、動きが乱れた。これを見ろ。」

ブランド―が風魔法を使い、デスファルコンの羽根を浮かせた。

「これがなんだ?」

「こうやって浮かんでいる状態、デスファルコンは飛んでいるときにこの状態になっていると思われる。」

「下から風魔法を使って浮かんでいるのか?」

「いや違う。デスファルコンは魔法を使っていない。いやおそらく使えない。体がこんな魔法が効かない羽根で覆われているんだ。自分でも使えないはずだ。風魔法を使って浮かんでいるんではなく、風そのものに乗っているんだ。動くから、風を切っているから浮かんでいられるんだ。」

「風を切る?」

「キッド様、こういうことです。」

俺が疑問に思っているとミラが実演して見せた。

「このナイフが羽根と考えてください。それをこうやって風に乗せると・・・こうやって上に上がり、風を上から当てると、下に下がる。風の向き次第で、動きが制限されます。」

「そういうことか。だが、デスファルコンにどう使うんだ?」

「俺が考えていたのは、デスファルコンは一度上空に上がる、そして地上に急降下して獲物に攻撃をしてくる。その攻撃を躱す、そうすると地を這うような低空で持ち直す。地面に激突しないようにするわけだ。そのタイミングで上から風で押しつぶして、地面に叩きつける。そこを・・・」

「俺が斬り倒す、そういうことか。」

「ああ、昔は前衛二人、後衛一人で負けた。でも今回は俺とミラが後衛であいつを地面に叩き落とすから、キッド、お前がトドメだ。いいな。」

「ああ、任せろ。」

「よし、では基本はここまで、後は現地の状況次第で、変更を加える。いいな。」

「ああ。分かった。」

俺の返事で、ミラも頷いた。


ユーグ村までもう少しだ。


ありがとうございました。

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