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ラクがしたい冒険者~誰か俺を養って~  作者: あさまえいじ
第二章
46/50

第45話

よろしくお願いします。

俺はギルド長の部屋から出ると、受付にいるエリーに告げた。

「エリー、ユーグ村には俺が行く。必要なものを用意してほしい。」

「はい、すぐに手配します。キッドさん、これを。今聞いている情報だけですけどここに書いてあります。」

エリーは準備のために走っていった。後は任せよう。

俺はエリーのメモに目を通すことにした。

メモには、デスファルコンが確認されたのは今日の早朝。教えに来た男は早馬を飛ばしてきたから、3時間程で着いた。村人は全員避難しようとしているが、何人かはもうすでに、殺されたようだ。


俺はこの連絡をしてきた男に話をしてみるために、探してみた。

「キッドさん」

俺に気付いて声を掛けてきたのはキールだった。

「キール、デスファルコンの連絡をしてきた男はどこにいる。」

「あそこです。」

俺はキールが指した方向を見ると、男が椅子を並べて横になっていた。相当必死だったんだろう。今も息が絶え絶えだ。この状態で聞くのは心苦しいがこちらもこれから必死だ。情報を得るため我慢してもらおう。


「デスファルコンのことを伝えに来たのは貴方か?」

俺は努めて、威圧しないように柔らかく問うた。

「ヒ、ヒィ、あ、ああ、そ、そうだ。」

どうやらこれでは話にならないな。

「キール、こっちに来てくれ。」

「あ、はい。どうしましたキッドさん。」

駆け寄ってきたキールにこの男から情報を聞いてもらうことにしよう。

「キール、この男と話してほしい。質問は俺がキールに伝える。回答もキールが伝えられたのを俺に伝えてくれ。」

「はい、分かりました。」


side ユーグ村村民

ビックリした。寝ていたらデカイ熊のような大男が現れた。

心臓が止まるかと思った。

大男が子供を呼んでいる。この子供は全然怯えていない。強い子だな。

大男が子供に何かを伝えると、大男は去っていった。

悪いことをしたな。

「あの、デスファルコンのことでお伺いしたいことがあるんですがいいですか?」

さっきの男の子が俺に話しかけてきた。

「ああ、いいが、君は?」

「あ、申し遅れました。私、キールと申します。冒険者です。」

「ぼ、冒険者!君みたいな小さい子が!」

「ええ、あ、それより質問があります。いいですか?」

「あ、ああ、何だい?」

「デスファルコンは今日の朝出てきたんですね。」

「ああ、そうだ。」

「はい。次にデスファルコンはもうすでに誰かを殺したんですか?」

「・・・ああ、村を出るときまでに5人、殺されていた。」

「・・・ありがとうございます。・・・その・・・」

「いや、君が気にすることではない。質問は他には?」

「少し待ってください。」

キール君が走って行った。さすがに子供に死んだことを言うのは心が引けた。

もう戻ってこないかと思ったら、すぐに戻ってきた。

「お待たせしました。次の質問なんですが、」

「すぐに戻ってきたけど、一体?」

「ああ、先程質問しようとしていたキッドさんに伝えてきたんです。後追加の質問も聞いてきたんです。」

「キッドさん?さっきの男の人か?」

「はい、キッドさんが聞こうとしたけど顔が怖いから怯えて話しずらいだろうから、僕に聞いてくれって言われて。」

私は彼の気遣いに、己を恥じた。

彼は俺が怯えたことを気にして、怯えなくていい子供をあてがってくれた。

いい歳した大人のくせに、気を使わせるとは・・・情けない。

「いや、さっきの彼を呼んでもらえるか。直接説明したい。」

「はい。分かりました。」

キール君が駆けていく。小さい彼もモンスターと戦う冒険者か。私もせめて恥ずかしくない大人の振る舞いをしなくては・・・顔が怖いくらいなんだ。いや、でも、あれ、怖すぎじゃない。


side out


俺はキールに追加の質問を伝えると、すぐに帰ってきた。早いな。簡単な質問ではないはずなんだが・・・

「キッドさん、直接説明したらしいので、来て下さい。」

さっき怯えていたのに、もう大丈夫なのか。

まあ直接質問したいことがあったし、何よりキールの口から言わせるのはためらった質問もある。直接答えてくれるなら俺から聞こう。

「ああ、分かった。」


「先程は失礼な態度をとって申し訳ない。」

「いや、構わない。こちらも大変な状況ながら配慮が足らなかった。改めて、俺はキッド。冒険者だ、等級はC級だ。よろしく頼む。」

「ありがとう。私はユーノ。ユーグ村の村長の息子だ。C級冒険者とは知らず、失礼なことをした。」

「もう謝罪は結構だ。ユーノ、こちらも準備が出来次第急ぎ向かうことになる。それまでに可能な限り情報を知っておきたい。答えにくい質問もあると思うが、可能な限り答えてくれ。」

「!!ああ、何でも答える。聞いてくれ。」

「では、まず村の住人はどれくらいいる。」

「全員でおよそ300人くらいだ。」

「そうか、キールこの都市にそれだけの人間を収容できると思うか?」

「不可能ではないと思います。ユーグ村はケルヴィン辺境伯の領地内ですから、しがらみはありません。それにブランド―商会もありますから、物資に不足はありません。」

キールの回答に俺は満足した。これなら一時的にケルヴィオンに避難させ、その間にデスファルコンと戦える。よし、次の質問だ。

「次の質問だ。現在のユーグ村の戦力はどれ程だ。」

「ユーグ村にはギルドはありません。狩りをする狩人くらいです。後は道場があるくらいです。きっと、ゲイルさんが指揮していると思います。」

「ゲイル?」

「はい。ユーグ村の道場で剣術を教えています。元々王都で騎士をされていたんです。怪我をして、騎士を引退した後、故郷のユーグ村で剣術道場を開きました。」

「そうか、ではユーグ村に向かったら、まずその人と合流しよう。その人の特徴は?」

「歳は40くらいで、体型は傍目には普通です。髪の色は金、顔に傷があります。こう、右頬に切り傷があります。」

ユーノが自分の右頬をなぞり、場所を教えてくれた。

「あ、あと右足を怪我しているので引きずるような感じで歩きます。武器は大剣です。」

「分かった。キール、今ある情報を急いでギルド職員に伝えてくれ。それとギルド職員にはけるケルヴィン辺境伯とブランド―商会にも連絡してもらってくれ。その際、俺の名前を出していい。急いでくれ。」

「はい!」

キールは急いで駆けて行った。

これで本題に入れる。


「ユーノ、ここからが本題だ。今から言うことは他言無用に願う。」

「一体なんだ?」

「・・・冒険者ギルド、いやギルド長は今回冒険者は派遣しないことを決めている。」

「!!!!」

「どうやらそれほどのモンスターのようだ。実際に見てきたユーノに聞きたい。デスファルコンの動きは見えたか?」

「・・・いや、気付いたら周りに死人が出ていた。デスファルコンが死を告げる翼、と呼ばれていることは知っている。本当にその通りだった。現れて、あっという間に何人も死んでいった。みんな心臓を貫かれて死んでいった。」

「・・・そうか。」

「・・・俺も次期村長になるものとして、もしユーグ村以外だったら、こんなに必死にならない。冒険者ギルドがそういう判断を下しても、・・・仕方がないで済ます。・・・でも、頼む・・・こんな願いをすることは酷だと思う、分不相応な願いだということは重々承知している。だけど、頼む。ユーグ村を救ってくれ。」

「・・・確約はできない。」

「・・・すまない、酷なことを頼んだ。」

「・・・俺に出来ることはしよう。それだけしか今は言えない。」

「よろしく頼む!」

ユーノは俺に頭を下げた。


「キッドさん、馬の用意が出来たようです。急いでください。」

エリーが俺を呼んでいる。

「行ってくる。ユーノ、情報提供感謝する。」

「・・・・」

ユーノは俺に頭を下げ続けている。

「全員を救うことはできない。だが、デスファルコンのクビを亡くなった者たちの墓前に供えてやる。俺に出来ることはそれだけだ。すまないな。」

「ああ!頼む!」

俺はユーノの願いを背に受けてギルドを後にした。


エリーが外で待っている。

馬車が11台ある。小さい馬車と大きい馬車が10台だ。そして、

「どうしてお前がここにいる。ブランド―」

「馬車を届けに来た。ブランド―商会に用意できないものはないからな。だから必要なものも一緒に届けに来た。」

「必要なもの?」

一体なんだ?馬車で村人を避難させる以外は特に必要なものはないと思うが。

「デスファルコンとの戦闘経験がある指揮官だ。」

「なに?誰だ。」

俺の問いにブランド―を笑みを浮かべながら、指を刺した。

「俺だ。元A級冒険者魔法軍師ブランド―、デスファルコンを倒すため、力を貸してやる。」


ありがとうございました。

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