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ラクがしたい冒険者~誰か俺を養って~  作者: あさまえいじ
第二章
45/50

第44話

よろしくお願いします。

キールと一緒にギルドに戻ると、リオンとミラがいた。

リオンは目をタオルで押さえている。

「リオン、どうした。目をやられたのか?」

俺はその様子を見て、駆け寄り状態を聞いた。するとミラが笑いながら答えた。

「ふふ、リオンは目を動かし過ぎて、疲れているだけですよ。」

「なんだそうか。でもどうして、そんなことになったんだ?」

「リオンに目線だけで情報を集めることを教えました。昔キッド様がキアラ姉さんに教えられてできなかったっやつです。」

「ああ、そういえばやったな。今でもできない。ミラは出来るんだったな。」

「はい。それに、リオンもできました。今日のブルーウルフを倒した時にも顔を動かさないで不意打ちも躱したんです。」

「そうなのか、それで目が疲れたのか。」

「・・・いいえ、目が疲れたのはギルドに帰ってくる道中、顔を動かさずに目線だけで情報を集めることをして、この有様です。」

「そうか・・・」


俺はそれよりもギルドに戻ってきたことを尋ねた。

「ミラ、こちらはレッドボアを倒した。そちらも先程の話から察すると、」

「はい、こちらもブルーウルフを倒しました。三体いましたが、リオンが二体、私が一体を倒しました。」

「そうか、レッドボアを倒せたのはキールが頑張ってくれたおかげだ。トドメを俺が刺したが、ほぼ一人でレッドボアを追い詰めた。」

「そうですか、キールも頑張りましたね。リオンも前衛を全うしてくれました。二人ともこれからもっと強くなっていきますよ。ミラたちも頑張らないと。」

ミラが二人が戦果を上げたことが嬉しいのか、上機嫌だ。それにミラが言うように二人に負けてられないと思った。


「ところで、ミラたちが戻ってきたのは他にモンスターがいなかったのか?」

「はい、どうやら上位種がいたから怯えて出てきていなかったんです。」

どうやらミラたちも同じ状況だったようだ。

「では仕方がないな。エリーに報告して今日は終わりにしよう。まだ昼になってないけど、帰るか。」

「そうですね。リオン、行きますよ。」

「は、はい~」

「リオン、大丈夫?」

「な、なんとか。」


エリーの受付まで、足を運んで、エリーを呼んだ。

「エリー、いないのか?」

「はーい。どうしましたか?」

エリーが奥の方から出てきた。

「休憩中だったか?」

「いえ、あまりこの時間帯だと冒険者の方が来ないので奥で資料整理を・・・どうしたんですか?」

「レッドボアとブルーウルフの討伐が終わったので、報告に来た。」

「えええ!もう終わったんですか。まだお昼前ですよ。それにいつもなら夕方までは帰ってこないのに、他のモンスターの討伐もクエストの中に入れていましたけど、それも終わったんですか?」

「いや、終わったのはレッドボアとブルーウルフの討伐だけだ。他のモンスターは出てこなかった。どうやら上位種がいたから、怯えて出てこなかったと思われる。」

「そうですか・・・すいません、こちらの調査不足でした。」

エリーが頭を下げて謝罪してきた。

「謝ることは何もない。モンスターがいないことだってたまにはある。たまたま上位種がいたからいなかったというだけだ。」

「キッドさん。・・・はい、ありがとうございます。」

「今日はこれで切り上げることにするよ。討伐確認を頼む。」

「はい、少々お待ちください。」


エリーが確認している間、俺達は椅子に腰かけて待っていた。すると、扉が勢いよく開き、男が倒れこみながら入ってきた。

「た、大変だ!ユ、ユーグ村に、モ、モンスターが出た。そ、それも、デ、デスファルコンだ!」

「た、大変!ギルド長!大変です。」

入ってきた男がデスファルコンというモンスターの名前を言うと、ギルド職員は急いでギルド長を呼びに行った。


side ギルド長マーキス

「何!本当なのか、本当にデスファルコンだと、そう言ったのか!」

俺は部下が上げてきた報告を聞き、何度も聞き返した。


個体名デスファルコン、通称死を告げる翼。全身が黒く、死神のような印象を与えるためそうつけられた。

全長は約2メートル、翼を広げた姿は5,6メートルに迫るほど大きく、硬い羽根で覆われた翼と岩をも貫く嘴を持つ。

過去に目撃例はあるが、討伐成果は片手で数えられるほどだ。

目撃することが出来て、生きて帰れる奴はいる。俺も生きて帰ってこれたクチだ。

でも、討伐できなかった。なぜなら、デスファルコンは天空を駆ける翼を持つ。

地上から迎撃する術は無くはないが、恐ろしく速く、縦横無尽に飛ぶため、矢や魔法を当てることが出来ない。

奴は人間を好んで食べる。人間の心臓をだ。

過去にも、どこかの村の周辺で目撃され、討伐隊が編成された。結果は・・・全滅だ。討伐隊だけじゃない。そのどこかの村も全滅だ。家は翼の羽ばたきで壊れ、人間の心臓を貫き食べられたそうだ。


今すぐにユーグ村の住民を避難させるしかない。

でも、その結果デスファルコンをこの都市ケルヴィオンに呼んでしまうかもしれない。

そうなれば、ユーグ村以上の被害を出してしまうかもしれない。

だが、放っておくこともできない。

ユーグ村は王都とこの都市を結ぶ交通の要所にある村だ。村の農作物は王都やこの都市に出荷されていた。そこが全滅すれば食糧難になる可能性だって否定できない。

俺の判断がこの都市を危険にさらす。しかし、ここで、ユーグ村を見捨てたとして、この都市に向かうこともある。ここで助けるか、見捨てるべきか・・・判断がつかない。

どうして俺は何時も、重要な判断が下せない。

兄貴ならどうしただろうな。きっと兄貴ならすぐに決められたのに・・・なんで俺が生き残ったんだ、なあ兄貴・・・


「ギルド長、一体どうした?」

思考の海に沈んでいた俺の部屋に入ってきたのはキッドだった。

「・・・なんだ。キッド。」

「入口に倒れこんだ男がデスファルコンが出たと言っていた。早く討伐に行きたい。許可をくれ。」

キッドはいつもの調子で言ってくる。デスファルコンのことを知らないんだろう。ブラッディーベアのことも知らなかったほどだ。仕方がない、教えておこう。

「キッドはデスファルコンは知っているか?」

「いいや。」

「デスファルコンはファルコン種のモンスターの突然変異だと言われている。全長2メートル、翼を広げた横幅は5,6メートルくらいだ。体は鉄以上の硬度を誇る羽根に覆われていて、嘴は鉄でも簡単に貫く。そして何より、空を飛ぶ。これが一番厄介だ。ホワイトバードはスタンピードのときに戦ったな。あんな高度ではない。空高く飛び、魔法や矢が届かない程だ。そんな相手とどう戦う。キッド、お前は強い。ブラッディーベアを倒した。だが、地上で戦うときは、だ。空を飛ぶ相手とどう戦う。」

「デスファルコンはどうやって戦う?」

「高高度から急降下して勢いを付けて嘴で攻撃する、もしくは翼で打ち払われる。」

「そうか、ギルド長。情報感謝する。では、デスファルコンを討伐してくる。許可をくれ。」

俺はキッドに説明したのにまるで分っていない様子に腹が立ち、怒りのままに拒否の姿勢を取った。

「キッド!今説明しただろうが!あいつは空を飛んでいるんだ!お前に何ができる!空飛べないだろうが!どうやって戦うつもりだ!」

「ギルド長、さっき言っていただろう。攻撃してくるときに俺を直接攻撃してくるんだろう。なら、俺の攻撃が当たる場所に来る。だったら問題ない。倒せる。」

「!!!」

俺には意味が分からなかった。キッドは攻撃してくるデスファルコンを迎え撃ち、打倒するつもりだ。

そんな馬鹿なことやった奴は聞いたことがない。でも、無理だ。

「キッド、お前はデスファルコンを見たことがないから、そんなことが言えるんだ。圧倒的なスピードだ。目でかろうじて捉えられる程度だ。お前が攻撃を構える暇なんてない。」

「なるほど。分かった。」

「そうか、分かってくれたか。」

俺は安堵した。

キッドはまだ若い。これからを担う有望な冒険者だ。

それをデスファルコンに対峙させれば、命を落としかねない。

酷な言い方だが、ユーグ村が滅んでも、俺が批判されるだけで済むだろう。

未来ある冒険者を守るのが俺の仕事だ。

ユーグ村に冒険者を向かわせないことを決めた。だが、

「ならば、現地で考える。行ってくるギルド長」

「!!俺は許可を出さんぞ!いいか、俺は冒険者をユーグ村に派遣しない。これはギルド長の決定だ。」

「ああ、ギルド長として正しい判断なんだろう。だが、」

「なんだ、キッド」

「好きな判断ではない。それだけだ。」

「!キッド!!」

「それに、冒険者が道中でモンスターに遭遇し、倒した場合、討伐確認が出来れば、報酬は支払われる。そうだな、ギルド長。」

「・・・それはそうだが。今のお前は以前とは違って金を稼ぐ理由はないだろう。」

「家族が増えた。ならもっと稼がなくてはな。ではな。」

そう言ってキッドは部屋から出て行った。


「好きな判断じゃない、か。なんでだよ。昔同じこと言って死んだ奴がいるんだぞ。なんでそんなこと言うんだよ。なあ、兄貴・・・」

何で俺は生き残ったんだろうな、兄貴。


ありがとうございました。

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