第43話
よろしくお願いいたします。
side ミラ
「リオン、周りを見てください。」
「え、どうしたんですか?」
ミラは周りの異常を感じ、リオンにも周りの警戒を促した。
「・・・ウルフ、いませんね。」
昨日来た時にはたくさんいた。なのに・・・これはやはり、上位種の存在か。
「気を付けて、上位種のブルーウルフがいるかもしれない。」
「はい。」
ミラとリオンは辺りを探索し、見つけた。ブルーウルフだ。でも、
「三体いる。」
ブルーウルフはウルフの上位種で群れを作る性質を持っている。
「突然変異種ではなく、群れで移動してきたの?」
厄介だな。一体一体なら問題はない。でも、群れだと少しまずい。
ミラの武器はナイフだから、真っ向から戦うのは分が悪い。
風魔法を使うか、でも、索敵に使わないと群れだと背後からの奇襲には気づきにくい。
これは一度引いて、キッド様と合流するか、あまり無理をする必要もない。
リオンに声を掛けて一度引こう。そう思ってリオンを見ると、
「では、俺が前でミラさんは後衛をお願いします。」
リオンに声を掛ける前に双剣を抜き、ブルーウルフに斬りかかって行った。
「あ、待つです。リオン」
ミラの静止も聞かないリオン。
「・・・いけない。このままだとリオンが一人で戦うことになるです。何とかしないと。」
リオンの行動に呆気に取られていたミラは気を取り戻し、急いで周囲の索敵とリオンのサポートを行うことにした。でも、後で説教します、リオン。
side out
side リオン
俺は双剣を抜いて、ブルーウルフに斬りかかって行く。最初は一番手前の奴だ。
一気に距離を詰めて斬りかかると、ブルーウルフに躱された。
「コイツ、速い」
気を抜いていたわけではない。今までのウルフならこの一撃で倒せていた。
タフでも耐えれても少しはダメージが入ると思っていた。
でも躱されるとは思っていなかった。全くこっちを見ていなかったのに、どうして?
グルルルル
相手も俺を敵とみなしたようだ。
牙を剥き、距離を測っている。
いつ来るか、俺も備えるために体勢を低くし、構えた。
目の前にはウルフが・・・二体。二体?
もう一体はどこに?
「リオン後ろ!」
ミラさんから声が聞こえて、振り返ると攻撃を仕掛けてくる、もう一体のウルフが迫ってきていた。
「うわぁ!」
何とか躱して、ウルフに双剣で斬りつけると、
「リオン後ろ!」
また、ミラさんからの声を聞き振り返ると、また違うウルフが攻撃を仕掛けてきていた。
「く!」
今度は躱せなかったので、双剣で受け止めることになった。
でも、さっきかわしたブルーウルフが攻撃してきた。
「まずい!」
キャイィン!
ブルーウルフが弾き飛ばされた。
「リオン、距離を取りなさい。」
「は、はい。」
俺は何とかブルーウルフから距離を取り、包囲を脱した。
「リオン、耳だけ貸しなさい。」
「!」
「いいから、目線はブルーウルフを見ていなさい。」
「は、はい。」
「いいですか、ブルーウルフは三体の内一体が背後を取って攻撃してくるようです。前の二体が気を引き、背後から気を逸らした後に攻撃をしてくるです。背後からの攻撃を察して、後ろを向いて躱すと、前の二体の内どちらかが背後から攻撃をしてくる、これを繰り返して倒そうとしてくるです。」
「どうすればいいですか。」
「・・・リオン、そこから逃げるです。ミラがやります。」
「・・・俺では無理ですか」
「リオン、これは命がけです。一回失敗したら、リオンが死んでしまいます。そんなこと、キッド様にもミレーユにも言えません。ミラにそんなこと言わせないでください。」
「・・・・・・・・」
ミラさんが言うことも分かる。ハッキリわかった。ブルーウルフは俺よりも格上だ。それが三体だ。さっきも自分の力で乗り越えられなかった。ミラさんが風で飛ばしてくれて、何とか助かった。
前の二体を倒すまでの間、後ろを気にしなければ何とかなるかもしれない。
「ミラさん、撤退する前に一つ、やりたいことがあります。いいですか?」
「なに?」
「前の二体を倒すまで、後ろに来る一体を止めてくれませんか?」
「・・・リオン・・・やりますか?」
「はい!」
「はぁ、分かった。後ろはやる。前は任した。元々、前衛はリオン、後衛はミラだったからいい。でも・・・」
「でも?」
「帰ったらお説教。ミレーユからもお説教、後キアラ姉さんからも」
「うぇぇぇぇ!」
「無傷なら、ミラは黙ってる。だから傷作っちゃダメ。」
「はい!」
ミラさんからの協力がある。集中するのは目の前にいるのは二体だ、気を抜けない。
俺はまたブルーウルフに斬りかかったが、最初の一体は後ろに引いて距離を取る。
でも俺は、前に突っ込んで追撃することにした。
さっきと同じく、前に二体いる。おそらく後ろに一体いる。
でも更に前に突っ込み、近い方に斬りかかっていく。
キャイィン!
後ろの方から泣き声が聞こえる。ミラさんがやってくれているようだ。
なら、前だけ見据えて戦うだけだ。
「うぉぉぉ!」
俺は声を上げながら、スピードを上げて近い方のブルーウルフに左の双剣から繰り出した一撃を当てた。
ギャイン!!
一撃がクビに直撃し、血を流しながら倒れた。
よし、一体目だ。
俺はすぐに二体目に取り掛かろうとすると、目の前にブルーウルフの牙が迫っていた。
でも、見えていれば問題ない。俺は右手の双剣でブルーウルフの開いた口に剣を走らせた。
結果はクビまでざっくり斬れて絶命している。
後の三体目に目線を送ると、ミラさんがクビを刎ねていた。
あっちは終わった。ならこっちだ。
俺はそれを見て、一体目にトドメを刺すため、近づいた。
「これで終わり。」
双剣を振り下ろすと、
グワァァァ!!
最後の力を振り絞ったのか猛烈な勢いで牙を剥いてきた。
「最後まで気を抜くな。いつもキッドさんに言われていたことだ。」
俺はその攻撃を避けて、さっきと同じく口に剣を走らせ、頭と顎を切り離し、絶命させた。
「ミラさーん。」
俺はミラさんに声を掛けると、ミラさんがこっちに歩いてきた。
「お疲れ、リオン。」
「はい。ミラさん、三体目の対処、ありがとうございました。」
「ううん、ミラとリオンは前衛と後衛だから、後ろはミラに任せることは当たり前。」
「そうですね。俺とミラさんはチームですからね。」
「そうだね、チームだね。」
ミラさんは笑ってくれた。
後ろを完璧に守ってくれたから、ブルーウルフを倒すことが出来た。
俺一人なら無理だった。でも、誰かが一緒に戦ってくれるなら無理じゃない。
それに、誰かと一緒に成功するのは一人で成功するよりも何倍も嬉しいな。
今日はミラさんとだったけど、キッドさんやキールとも一緒に戦って成功したいな。
side out
side ミラ
「よく頑張りました。」
ミラは自然とそんな言葉が出て、リオンの頭を撫でていた。
本当によく頑張った。
まだ出会ってそれほど経っていない。
冒険者としては先輩だけどまだ年下のリオンを何処か守る存在だと思っていた。
でも、今日の前衛で戦う姿には、素直に先輩だと思った。
「すごかったですよ。先輩。」
「ミ、ミラさん」
「ちゃんと教えた、目線で情報を集めれていました。不意打ちもまだ息があることもちゃんと見えていました。怪我もしていない。これなら、お説教は許してあげます。」
「は、はい。良かった~」
「さぁ、一度ギルドに報告に行きましょう。先輩」
「あ、そうだ、なんで先輩なんですか?」
「リオンの方が冒険者の先輩だからです。今までは年下で弱いから、認めていなかったです。でも、認めます。リオン先輩、これからご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。」
私はリオンに頭を下げた。不満なんてない。今のリオンは先輩冒険者として相応しい働きを見せた。
「や、辞めてください。・・・おれもミラさんがいなければブルーウルフの一体も倒せずに死んでたと思います。だから、ありがとうございます。それから、これからも色々教えてください。戦いの先輩として。」
「はい、任せなさい。教えてあげます。ミラがリオンを強くしてあげます。誰よりも強くなるです。キッド様よりもずっと強くなるです。」
ミラが誰よりも強くするです。キアラ姉さんが教えてくれたように、今度はミラが教えていきます。
リオンがミラの生徒第一号です。だから、第一号はとりあえず世界一になってもらえないと。
「リオン、一度ギルドに報告に行きましょう。」
「はい。行きましょう。」
「リオン、ギルドに到着するまでまた目線の特訓をします。」
「うぇぇぇぇ!」
ありがとうございました。




