第41話
よろしくお願いします。
side キール
キッドさんにはお願いした場所に待機してもらっている。
レッドボアを倒す算段は付いている。後は僕が手順通りに出来れば、後はキッドさんが簡単に倒してくれる。
「行くぞ!レッドボア!」
いつも練習してきた氷の槍をレッドボアに突き刺さった。
ブモォォォォ!!
レッドボアは突然の衝撃と痛みに苦痛の叫びをあげた。
レッドボアは僕を見つけたようで、こちらに突進してきた。
よし、予定通りだ。
僕はカバンから水を取り出そうとすると、
ブモォォォォ!!
「う、うわぁ」
僕の想像以上の速度で突進してきたレッドボアに驚いたが、何とか転がり避けることが出来た。
「あ、危なかった。」
僕はレッドボアの標的にされている。背中に氷の槍が刺さっているのに、まるで気にした様子はない。
怖い、でもここで逃げることはできない。
キッドさんに指示を出して待機してもらっている。
少しでも、僕が強くなったところを見てもらうんだ。
ミラさんに言われたけど、ここはまだ、僕の臆病が発揮されるときじゃない。
「こい。レッドボア!」
ブモォォォォ!!
レッドボアは突進してくる、直線上にいる僕に向かって。
僕は必死で避けた。何度も避けた。
「ハァハァ・・・」
凄いな、僕。こんなに避けれるとは思ってなかったな。
でも、一回でも当たれば死んじゃうしな。
臆病者な僕だから、相手の些細な動作が見える。
相手の目、動き、どんなものでもいい、情報を集めるんだ。
急がないと折角の状況が台無しになる。
後一つ、必ず成功させる。
ブモォォォォ!!
レッドボアは大分じれている。僕に避けられていることが悔しいようだ。
でも、僕の後ろにキッドさんが隠れている岩がある。
これでいい、さあこい、僕はここにいる。
side out
キールの奴、いつの間にあんなにたくましくなった。
俺はキールの後ろ姿に感動さえ覚えている。
前衛で戦う俺やリオンとは違って、後衛のキールが真っ向から戦うことはない。
最初に会ったときはオドオドしていた、でも、今は違う。
強敵に立ち向かう勇気に満ちた背中だ。
いつまでも見ていたくなる背中だ。
・・・でも、何時までも見ているわけにはいかない。
キールは指示した場所にレッドボアを追い込んでいる。
後は俺の出番だ。だけどもう少し見せてくれ、キール。お前の戦いを。
side キール
レッドボアの突進に僕は備えた。
ブモォォォォ!!
レッドボアは僕に向かって突進してくる。
一歩一歩、大地を震わせるように力強い音が響いてくる。
いまだ!
僕は水が入った入れ物をレッドボアに向かって投げつけた。
そして、僕はそれを目がけて氷の槍を打ち込んだ。
ブモォォォォ??!
レッドボアに水が直撃した結果、水浸しになり、更に目に水が入ったのか、突進を止めた。
動物もモンスターも水気を払うために体を震わせることがある。
でもそれをされると整えた状況が振り出しに戻される。
でもこの状況を作れば、僕の勝ちだ。
僕は両手を頭上で構え呪文を詠唱しだした。
「雷よ、わが頭上に集い、我が敵に裁きを堕とせ!」
『雷の槍』
これが僕の新魔法『雷の槍』
頭上に雷を集め、敵に打ち込む。
『氷の槍』とは違い実体を持たないため、物理的な損傷はない。
でも、『雷の槍』は圧倒的な速さがある。そして、水を通す性質を持っている。
レッドボアは水浸し、そして背中の『氷の槍』は溶け始めている。
この状態なら全身に雷が走るだろう、そして体内にも・・・
ブモォォォォ!!!ブモォォォォ!!!ブモォォォォオオオオオオオ!!!
僕の雷はまだ威力は大きくない。普通に撃ったんじゃ、ボアを倒すには至らない。ましてレッドボアにダメージは与えられるかどうかという威力だ。とてもレッドボアのような相手に効くわけがない。
でも、全身を水浸しにしてある、その上、背中に『氷の槍』が刺さっているし、溶けて水が傷口に覆った状態だ。これなら、体内に流れていく。外と内からの雷の同時攻撃、これ以外に僕にレッドボアを倒せないと思った。だからこんな回りくどいことをしたんだ。
レッドボア、存分に食らってよ!
side out
凄い。素直にそう思った。キールのことを軽んじていたわけではない。
しかし、まだ小さい。10歳だ。俺が守らないといけないと思っていた。
でも、レッドボアと戦う、その背がとても大きく感じた。
でもなキール、戦いは最後の最後まで気を抜いてはいけないぞ。
ブモォォォォ!
「ええええ?!」
レッドボアが戦うことをあきらめず、キールに攻撃しようとしている。
キールは驚き、回避ができないようだ。
でも、大丈夫だ。お前たちは俺が守る。
俺は『カタナ』を引き抜き、キールが指定していた岩を一気に飛び降り、レッドボアに一太刀を与え、トドメを刺した。
「キール、お前の指示通りだ。でも、最後の最後でミスをしたな。でも、それ以外は十分すぎるほどの成果だ。」
俺にはこんな戦い方はできない。以前にブラッディーベアと戦ったとき、殆ど即興でやっただけで、テオやロイに後を任せて全力で戦っただけだった。
だから素直にすごいと思った。
初めて見るレッドボアを相手に、完全に戦況を支配して見せた。
戦力が劣っていても、知恵と勇気で打倒して見せた。
「だからなキール、誇れ。このレッドボアは紛れもなくお前の戦果だ。俺は最後におこぼれに預かったに過ぎない。」
「・・・キッドさん。はい。・・・でも次は必ず・・・僕が倒します。」
「ああ。次もお前に任せる。立てるか、キール」
「・・・はい。」
これで、ボアも集まってくるだろう。
だがその前にエリーに報告に行こう。
レッドボアの討伐と現状のボア生息地の状況を伝えに。
しかし、こっちがこの状況だとミラとリオンも同じだろうな。
これだと、まともな稼ぎも出せそうにないし、今日は一度出直そう。
ミラとの話もしておく必要があるしな。
ありがとうございました。




