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ラクがしたい冒険者~誰か俺を養って~  作者: あさまえいじ
第二章
41/50

第40話

よろしくお願いします。

俺達はいつものように受付のエリーに話しかけた。

「エリー、おはよう。」

「おはようございます。キッドさん。今日の依頼は・・・」

「エリー、今日は俺とキール、ミラとリオンの二人組で依頼に取り掛かる。そのように分けてほしい。」

俺はエリーに今日の依頼を二組分にしてくれと伝えると、エリーは驚いていた。

「どうしたんですか!ミラさんが加入して、今日は多めに用意していたんですよ。」

「エリー、俺達は効率を考えて二組に分かれることにした。それに、リオンとキールに経験を積ませるためにも多くのモンスターと戦わせるべきだと判断した。」

エリーに事情を説明すると納得したようで、頷いた。

「そう言う理由ですか。分かりました。ではリオン君用とキール君用に分けたほうがいいですね。」

「ああ、そうしてくれ。ちなみに、俺はキールと、ミラがリオンと組む。それを考慮して分けてくれ。」

「はい、分かりました。」


エリーに依頼を用意してもらっている間、俺は手持無沙汰になっていた。

リオンとキール、そしてミラは何かを話し合っている。それに割り込むのは気が引ける。今日の討伐のことを考えてみよう。

今日はキールと共に戦うことを考えると、双剣よりカタナの方が良さそうだ。

腰からカタナを抜き今日の具合を確かめる。

いつもモンスター討伐が終わるとダイクに状態を見てもらっている。

他に代わりがないため、少しの不調を見逃すことが出来ない。

でも、ダイク曰く刃こぼれ一つなくいつも新品同然のようだ、と言われる。

ケルヴィン辺境伯からもらった時も元々は蔵の中に閉まっていただけで特に手入れをしていなかったそうだ。それでも、美しい刀身に陰りや傷も見えない。いつも使っているのか、と逆に聞かれるほどだ。

頑丈であり、切れ味抜群なので重宝するが頼り過ぎは良くない。だが使わな過ぎて、肝心な時に真価が発揮できないのも間違っている。

今日はキールの鍛錬のつもりだったが予定変更だ。俺もカタナの鍛錬にしよう。


俺が決意をしていると、エリーの準備が出来たようだ。キールと俺の鍛錬の始まりだ。


side キール

今日はキッドさんと組んで討伐する。いつもはリオン、最近はミラさんも増えて、だいぶ周りを警戒しなくてよかった。でも、きょうは二人だ。キッドさんの背中は僕が守る。キッドさんに頼られるようになるためにも、今日はいつも以上に頑張らないと。

僕が気合を入れるために両頬を叩くと、

「ど、どうした!いつもより気合入ってるじゃないか、キール」

「リオン・・・いや、いつも通りだ。」

僕は努めて冷静に振舞った。でも、幼馴染の目は誤魔化せなかった。

「なに言ってんだよ。キッドさんと組むんだ。キールが気合入るのは当然だ。・・・でも、お前の持ち味はそんな熱くなることじゃねぇだろ。いつも冷静、いや臆病でオドオドして、周りの顔色伺うのがお前だろう。」

「リオン・・・それ褒めてるの?」

「お前を表すのに一番ピッタリだろ。」

リオンに馬鹿にされたように言われていたら、ミラさんが会話に参加してきた。

「臆病、いいこと。」

「え?」

「臆病、戦いにおいて最も必要。命は一つ、危機は無限。臆病は武器、危機を乗り越える武器になる。」

「臆病は武器」

「キールは魔法使い、遠くから攻撃する必要がある。だから、離れて戦えばいい。近づくのはキッド様、リオン、ミラがやる。だから、キールは一番後ろで戦う。それが一番大事。それが一番苦しい。」

「苦しい?」

「今は一人で一番後ろ。だから、後ろは誰もいない。後ろからの攻撃に一番気を付けないといけない。だから、少しでも危ないと思ったら、前に行かないといけない。でも、それも危ない。前はキールの戦う場所じゃない。」

「・・・僕はどうすればいいですか?」

一番後ろの僕が後ろから攻撃されたとき、どこに行けばいいのか、まるで分らない。

「仲間に背を預ける。」

「え?」

「仲間の方に向かっていく、そして仲間と反対を向く。仲間と背を合わせて戦う。キールは仲間の背を守り、仲間がキールの背を守る。だから、その判断をしていいのはキールだけ。キールはいずれ、私たちの司令塔になる。」

「僕が・・・司令塔。」

「そう、キッド様、キールのこと期待している。キールの想像以上に期待している。リオンもミラもキールが指揮をすることを期待している。」

「・・・臆病な僕が司令塔ですか・・・」

「臆病だからいい。みんなが生きて帰れる。それ以上の成果は他にない。」

「・・・はい。」

「キール、今日もキッド様と一緒に生きて帰ってくる。今日、ミラはキッド様と約束がある。だから、ちゃんと帰ってきて。」

「はい!」

「うん。いい返事。」

僕はミラさんに頭を撫でられた。気持ちいい手、心配してくれる手、ミレーユお姉さんみたいだ。

必ず生きて帰ります。キッドさんと一緒に。


side out


「キッドさん、用意できました。」

エリーの呼ぶ声が聞こえた。

「さあ、行くぞ。」

俺の声でみんなが受付に足を向けた。


「はい、こちらが用意したクエストになります。ご要望は討伐クエストとのことでしたので、ウルフの討伐とボアの討伐に纏めました。」

エリーが用意したクエストを確認するため、キッドは依頼書を手に取った。すると、

「ん?これは?」

そこに書かれていたのはウルフの上位種ブルーウルフとボアの上位種レッドボアの討伐の依頼書だった。

「はい、実は先日、ウルフの生息地にブルーウルフが、ボアの生息地にレッドボアの目撃情報がありました。現在対応できそうなのがキッドさんくらいでしたのでぜひ一緒に討伐してください。」

「いままで、こういう上位種の討伐は来たことはなかったが・・・」

「今までは、というより先月まではテオさんが対応してくれていたんです。」

「そうか、テオが・・・分かった。ではその依頼引き受けた。ミラとリオン、ブルーウルフは任せた。」

「はい、キッドさん!任せてください!」

「リオン。調子に乗らない。キッド様、リオンの面倒とブルーウルフはミラに任せて。」

リオンが元気に答えたが、ミラに窘められていた。中々いいコンビだ。

「ああ、任せた。キール、俺達はレッドボアだ。頼むぞ。」

「はい、任せてください。キッドさん。」

キールは特に気負いもなく答えた。落ち着いているようだ。これなら、大丈夫だろう。

「では行くぞ、キール。ミラ、リオンではまた後で。」

「はい、キッド様も気を付けて。」

俺とキール、ミラとリオンは分かれてギルドから出て、それぞれの目的地に向かうことにした。



俺とキールはボアの生息地に到着した。いつもの草原にたどり着き周りを伺うと違和感を感じた。

「珍しいな、今日は全くボアが視界に入らない。・・・いや、さっきの依頼のレッドボアが原因か。」

「モンスターは同種の上位存在が来ると、下位存在が危険を察知して逃げ出すとは聞いていましたけど、まさか、こんなにいなくなるなんて・・・」

「折角、二手に分かれて実戦経験を積ませようとしたのに、その矢先にこんなことになるとは・・・よし、急いでレッドボアを倒そう。」

「はい、キッドさん。」

レッドボアを探して、俺とキールは周りを歩き回った。すると、足跡が見つかった。

「キッドさん。この足跡、普通のボアよりも大きいですね。」

「ああ、どうやらレッドボアの足跡のようだ。キール、こちらに向かっているようだ。行くぞ。」

「はい。」

俺とキールは足跡を辿っていく。


辿っていくと、草原の小高い丘に着き、見回してみると赤い影が見えた。

「あれがレッドボアか・・・どうするキール。」

「キッドさん。ここは僕に先制攻撃させてください。」

「ほう、どうする。」

「まず・・・で、・・・・します。なので、キッドさんは・・・・でお願いします。」

「分かった。では、用意しよう。」

俺はキールの指示に従い、指定された場所でレッドボアを待つことにした。

用意が完了したことをキールが確認すると、氷の槍を作り出し、レッドボアに攻撃の体勢を整えた。


「行くぞ!レッドボア!」

キールの掛け声とともに氷の槍が射出された。


ありがとうございました。

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