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ラクがしたい冒険者~誰か俺を養って~  作者: あさまえいじ
第二章
37/50

第36話

よろしくお願いします。

俺とミレーユが話していると、買い物が終わったのか、ミラが出てきた。

「キッド様、ミレーユ、終わりました。」

「持つぞ。」

ミラが小さな体で荷物を思っていたので、俺が持つことにした。

「えへへ。ありがとうございます。キッド様。」

うれしそうにミラは笑っていた。

孤児院への帰り道、ミラとミレーユは話をしている。

「たくさん買えましたか。」

「はい。ありがとうございます。でも、お金をお借りしてしまって・・・」

「元々、キッドさんが寄付してくださったお金です。お礼ならキッドさんに言ってくださいね。」

「はい。キッド様、ありがとうございます。」

「金は孤児院に寄付したものだ。礼なら、ミレーユに言え。」

「はい。ミレーユ、ありがとうございます。」

ミラはとても楽しそうだ。初めて見た気がする。


「でも、お金を稼ぐなら私も働きます。」

ミラが金を稼ぎたいようだ。どうせなら、冒険者はどうだろうか。

「ミラ、冒険者にならないか。」

「冒険者?」

「ああ、冒険者というのは、ギルドからクエスト、依頼を受けて、働く。その働きの対価として報酬をもらうことになる。クエストには、モンスターの討伐や薬草の採取などがある。」

「ミラにも、出来ますか。」

「ああ、俺が教えてやる。」

「はい、よろしくお願いします。キッド様。」

ミラは強い。俺よりもだ。きっといい、冒険者になる。


俺達は孤児院に帰ってくると庭にリオンと、何故かキアラがいた。

「何をしている。キアラ。」

「キアラ姉さん、何をしているの。」


side リオン

「ハァ!、セイ!、タァ!」

俺とキールは自主練をしていた。

俺とキールはキッドさんが一緒のときのみ、冒険者をしていい、とミレーユ姉ちゃんと約束している。

今日は新しい家族、ミラさんの準備のため、キッドさんは冒険者活動を休みことになった。

「もっと、強くなりたい。もっと、もっと・・・」


俺は時間を忘れ、振り続けていた。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、・・・」

腕が重くなってきた。もう少し、もう少し、振れる。


「あ~、もう無理するんじゃないよ!」

「うわぁ!」

俺は突然の声に驚き、こけそうになっていた。


「全く!なんでそんな無茶な振りしてるんだい。」

俺はこけていなかった。女の人に抱えられている。

「え、誰?」

「あたしはキアラ、キッドの姉だ。」

「キッドさんの姉!」


俺はキアラさんの腕からゆっくり地面に下ろされた。

「で、さっきの質問だけど、なんでそんなに無茶な振りをしているんだい。」

「えっと、強くなりたくて・・・今日は冒険者活動していないから。体力があるから・・・」

「なんで、冒険者活動していないんだい。」

「俺とキールはキッドさんがいるときじゃないと冒険者活動してはだめなんです。ミレーユ姉ちゃんとそう約束したから。」

「はぁ~、キッドがいないのはこっちの事情だから、あたしにも責任の一端があるし、よし!構えな!あたしが戦い方を教えてやる。」

「え、でも、俺はキッドさんに・・・」

「あたしはそのキッドに戦い方を教えた、師匠なんだよ。」

「よろしくお願いします!」

俺はキッドさんに戦い方を教えた、キアラさんに習うことにした。


俺は今の持てる力を全てぶつけた。

「遅い、遅い、動きじゃないよ、判断が遅いんだ。もっと広く視野を持ちな!」

「はい!」


自信のある技をぶつけた。

「ほら、躱されたからって、動きを止めるな!」

「はい!」


足さばきで攻撃を躱そうとした。

「攻撃するのか、避けようとしているのかハッキリしな!」

「はい!」


・・・


「とりあえず、まとめ。動きはいいけど、判断が遅い。技に自信があるが、躱されると思考停止する。優柔不断。実戦に一人で行くには不安だね。」

キアラさんの判定は正しい。俺自身ではやれると思っていた。でも、素手のキアラさんに攻撃は当たらず、攻撃を食らい続け、避けてるのか、攻撃しているのか分からなくなっていた。こんな俺が一人でモンスターを討伐できるわけがない。


「でも、太刀筋は凄く綺麗だった。」

「えっ」

「天性の才、て、奴なのかねぇ。時々、ヒヤッとするようなキレがあった。でも、まだ体が追いついていない感じだったよ。」

俺は自分の剣が褒められたことがなかった。だから、キッドさんに当たらないから、まだ駄目なんだと思っていた。初めてだ。褒めてくれた。なんだろう。胸が熱い。


「だから、せっかくの才を自分で濁らせたら、駄目さ。」

「あ、ありがとうございます!」

「よし、まだやるかい。」

「はい!よろしくお願いします!」


俺がキアラさんに指導してもらっていると、キッドさん達が帰ってきた。


side out


「俺、キアラさんに鍛えてもらっていたんです。」

「キアラに、か。」

「キアラ姉さんは教えるの上手いです。」

「そうか。キアラ、リオンを鍛えてくれて、感謝する。」

「な、何だい!そ、そんな大したことなんか教えてやってないからさ!そ、そんな感謝されても・・・ほ、ほらリオン、続きするよ、続き。」

「はい!キアラさんお願いします。」

キアラとリオンの鍛錬を眺めていた。


昔、キアラに鍛えられたことを思い出した。ミラと俺はキアラがいつも鍛えてくれた。

何時の間にか、俺が方がキアラより強くなった。でも、ミラは俺よりも強くなった。

そして、・・・キアラが一番弱くなった。

でも、キアラは俺達が強くなったことを本当に喜んでくれた。

でも、キアラも悔しかったのだろう。俺達の鍛錬を見てくれた後に、一人で鍛えていることを俺は知っている。強くなりたい気持ちは一番よく分かる人だ。だから、リオンを強くしてくれる。


キアラとリオンの鍛錬は続いていた。時間は夕飯時になった。

「みんな、ご飯よ~」

ミレーユの声が聞こえて、みんなが食事に向かった。

「ありがとうございました!」

「ふん!よくできた!」

言葉遣いは粗いがリオンの頑張りを嬉しそうに褒めていた。リオンもキアラに褒められて嬉しそうだ。


俺とリオンが食事に向かおうとしていると、キアラは俺達に背を向け、去ろうとしていた。

「キアラさん!一緒にご飯食べませんか!」

リオンが元気にキアラを食事に誘っていた。

「い、いや、あの、ね、その、・・・」

「キアラ、食っていけ。」

「で、でも・・・」

「いいから来い。」

俺はキアラがもじもじしていたから、連れていくことにした。


「いっただきまーす。」

子供たちが食べ始めたのを見て、俺も食べ始めた。

「い、いただきます。」

キアラがおずおずと食べ始めた。

「うま!」

キアラが食べる速度が上がっていく。

「キアラさん、はいこれ、おいしいよ。」

「おう、サンキュ。」

キアラの横で、リオンがキアラにおかずをとっていた。

キアラもリオンがとってきたおかずを食べ続けた。


「はぁ~、食った食った。」

「はい、キアラさん。」

「おう、サンキュ。」

キアラはリオンが持ってきた飲み物を飲みながら、リオンの頭を撫でた。

「あんまり、人の世話ばっか、焼いてんじゃないよ、半人前のくせに。」

「・・・」

「リオン?」

「・・・zzz」

「あらま、寝ちまったか。」

「俺が運ぶ。」

「ああ、頼んだ。」

俺はリオンを背負い、リオンの部屋まで運び、寝かせてやった。


side キアラ

キッドがリオンを部屋まで運んでいった。

大きくなった。昔はあたしの方が大きかった。強かった。

何時の間にか背でも強さでもかなわなくなっていった。悔しかった、な。

でもあたしは姉ちゃんだから、精一杯笑って祝福してやった、と思う。

違うな。間違いなく祝福したやった。でも、悔しかったから、強くなるため一人でこっそり鍛錬した。きっと鈍感なキッドのことだ。気づいてるわけない。

今日は久しぶりに誰かに教えた。うまくできたかな。あたしはキッドとミラにしか教えていない。他の奴はあたしに教わろうとはしなかった。あたしは女だから、男が女に教わることを屈辱だと思うような奴ばかりだった。だからキッドがあたしから教わっていたとき、キッドに絡んだ馬鹿がいた。『女に教わるような奴に負けるわけがない。』そう言った奴を片っ端からボコボコにした。挙句の果てに『女に教わることを馬鹿にする奴に負けるわけがない。』そう言って、周りから恐れられだした。あたしはキッドの強さが誇りだった。ミラの強さが誇りだった。あたしの教え子の強さが誇りだった。でもその、誇りが、強さが、キッドとミラに居場所を作らなかった。一族は弱肉強食を謳う。でも強すぎる者は排除した、拒んだ。あたしは居場所があった。それはあたしが弱いから。キッドより、ミラより、・・・だから、あたしは勘違いした。今日、ミラが説得して、キッドと一緒に帰る、そういう未来を夢見た。

・・・どこに?キッドにもミラにも居場所がなかった。あたしが連れ帰ったら、また二人は苦しむ。あたしは一族が大事なのか、キッドとミラが大事なのか、考え、あっさり答えが出た。

キッドとミラはあたしの弟と妹だ。だから、二人が幸せならそれでいい。一族なんてクソくらえ、だ。


「少し、いいかい、ミレーユ、さん」

あたしは、過去の負い目がある彼女、ミレーユに話しかけた。

「はい。なんですか、キアラさん」


ああ、優しい子だ。あたしはこの子を怖がらせた。キッドを呼ぶために誘拐した。殺意までぶつけた。この子はあたしを怖がっていいのに・・・なんで、そんな穏やかな笑顔で受けてくれるんだい。


「あたしはこの都市を出る。キッドとミラは一族が追ってくることはない。だからあの二人をここにおいてあげてください。お願いします。」

あたしにできる精一杯の願いだった。キッドを苦しめた。ミラを苦しめた。罪深いあたしには精一杯の願いだ。

「そんなの困ります。」

「!」

そうだ、ムシのいい話だ。この子にも、この孤児院の子供を怖がらせた奴の願いを聞くことなんて、

「キアラさんの分がありませんよ。」

「えっ」

「キアラさんも含めた三人をここにおきます。いつまでもいてくださいね。家族、何ですから。」

「!!」

なんだい、この子。ほんと、底抜けのお人好し何だろうね。危ないね、この子。しょうがない。あたしが守ってやんなきゃね。

「よろしくお願いします。」

「はい。承りました。」

私は、私たち姉弟はこの子に救われた。

キッドがここにいる理由がわかるよ。


side out




ありがとうございました。

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