表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラクがしたい冒険者~誰か俺を養って~  作者: あさまえいじ
第二章
35/50

第34話

よろしくお願いします。

「キッドさん、少し、ミラさんと二人だけで話をさせてくれませんか。」

「大丈夫か?」

「大丈夫です。」

ミレーユは笑った。

俺は頷き、

「キアラ、外に出るぞ。ミレーユがミラと二人で話がしたいそうだ。」

「!?この状態のミラを一人にできるわけないだろう!」

「いいから来い。」

俺はキアラを連れ、外にでることにした。するとキアラに殴られた。

なんだ、いきなり、と思っていると、キアラが泣きだした。

「ミラのことが大切だから、ここに連れてきたのに、なんであんたはミラの変化に気づかない!」

「何か、変わったか?」

「!?この馬鹿!」

俺はまたもキアラに殴られた。


side ミレーユ

「初めまして、ミレーユと申します。」

「キッド様、どこ~。」

私はこの子の状態をよく見てきた。大切な存在、親を失った子供がこうなるところをよく見てきた。生きることを拒絶している、そんな状態だ。この子にとって、キッドさんがそういう存在だった。でも、この子からしたら、私はキッドさんを奪った存在に思えるんだろう。

私は、最近幸せです。疑う余地がないほどの幸せです。もう借金に追われることがなく、もうお腹が空いて苦しむことがなく、もう子供たちの泣き顔を見ることがない。そして、キッドさんがいる。

でもこの子は、この子には何があるんだろう。まずこの子のことを知りたい。私はそう思った。

「ミラさんは、キッドさんのことは好きですか。」

今まで私に興味がなかったのに、キッドさん、の名を出すと、興味を持ってもらえた。

「あなたはキッド様の何!」

「一緒に暮らしています。この孤児院で、子供たちと一緒に。大体二週間前から、です。」

「二週間前!キッド様が帰ってこなかった。なんで帰ってきてくれない。私待ってた。キッド様帰ってこない。私ずっと待ってた。ずっと・・・ずっと・・・」

ああ、この子にとって、キッドさんが中心なんだ。親は、家族は、何て聞くまでもなく、一番大切なのがキッドさん、なんだ。この子は私を睨んできている。でも、涙が出ていない。きっと出し尽くしたんだろう。帰ってこない、と理解したとき、ずっと泣いたんだろう。


私は、この子と、どうなりたいんだろう。キッドさんを取り合うライバル、友達、・・・ああきっとこれが一番正しい。

「私たちと一緒にここで暮らしませんか。」

ああ、きっと家族になりたいんだ。

「ここで、キッド様、帰ってくる。ここにいれば、キッド様、に会える。」

「はい。一緒に待ちましょ。一人じゃ寂しいですよね。」

私は自然に抱きしめていた。ミラさんは体が震えている。

「も、う、や、だ、ひ、と、り、やだ!、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「大丈夫です。一緒に暮らしましょ。ここにはキッドさんがいます。私がいます。子供たちもいます。だから一人じゃありません。」

ミラさんは震えている。落ち着くように、何時も泣く子を宥めるように、優しく、背を撫でた。


ミラさんの体から震えが治まった。私は抱きしめていた腕を放すと、幼い表情をした女の子がいました。

「私の名前はミレーユです。あなたのお名前は?」

「私はミラです。えへへ。」

初めの印象とは打って変わって、可愛らしい笑顔をした、女の子でした。

かわいくなり、抱きしめると

「ミレーユ、えへへ。」

本当に素直なかわいい子でした。


さっきまでは必死だったんだろう。キッドさんがいない、それは私も考えたくないことでした。たった二週間、その二週間で、いなくなる、と考えたくない程の気持ちになりました。それが、ずっと一緒にいたのに、突然いなくなった、この子のことを考えると、胸が締め付けられる。

だから、たくさん話をしよう。この子と家族になるんだから、隠し事はなしにしましょう。その代わり、ミラさん、いや、ミラの話も聞かせてください。


side out


中からミラの泣き声が聞こえた。

「ミラ!」

その声を聞き、キアラが中に入ろうとするので、

「キアラ、やめろ。」

押さえつけた。

「放せ!キッド、ミラが泣いているんだ!私はミラを守らないと、あんたが守らなくなった分だけあたしが・・・」

「ミレーユが二人で話がしたいと言った。」


俺とキアラがもみ合っていると、部屋の扉が開いた。

ミレーユとミラが出てきた。手を繋いで。

「ミラ!」

キアラが俺を弾き飛ばし、ミラの下に走った。

「キアラ姉さん。」

いつものミラに戻っていた。やっぱり何も変わっていないじゃないか。

「ミラ、ううう、よかった、よかった・・・」

「キアラ姉さん。ごめんなさい。待ってろ、て言われてたのに・・・」

「もういい、もういいよ。あんたが元に戻って本当に良かった。よかっだよ~・・・」

キアラが泣いている。本当に今日はよく泣くな。


キアラが一頻り泣いた後に、また四人で話をし始めた。なのだが、

「キアラ姉さん。ミラ、ここにいたいです。」

「ミラ?何言ってるんだい。あんたキッドを連れ戻すためにここまで来たんだろう。」

「はい。でもミラはキッド様と一緒にいられたらどこでもいいです。それにここにはミレーユがいます。優しいミレーユがいます。だからここで一緒がいいです。」

「ミラ・・・はぁ、複雑な心境だよ。ミラが元に戻って、これでキッドと一緒に連れ帰って、それで万々歳、て思ってたのになぁ・・・ねぇ、ミラは一族のことは好きかい?」

ミラは俯いて、答えた。

「ミラは嫌い、です。キッド様とキアラ姉さん、だけが好きです。」

「・・・そうか・・・あたしだけ、か」

キアラはひどく打ちのめされていた。でも、ミラも俺と同じか。

「ミラ、俺も聞きたい。」

「はい!なんですか、キッド様!」

何だか、テンションが高い。まあいいか。

「ミラはどうして、一族を嫌っていた。」

ミラは泣きそうな顔をして、ぽつぽつ、と話し出した。

「一族の人、キッド様に、あげる、花飾り、壊した。折角、綺麗にできたのに。だから嫌いです。」

「そうか。俺と一緒だな。」

俺は、ミラが俺と同じ気持ちだったことに気付かなかった。たった一人で残してしまった。

だから、詫びの気持ちを込めて、抱きしめ、謝った。

「ごめんな。ミラ、一人にして。」

「キッド様!・・・許してあげます。でもこれからはミラもここで一緒です。」

「いいか。ミレーユ。」

俺はミレーユに確認をとると、ミレーユは笑って、

「はい。今日からよろしくね。ミラ。」

ミラの頭を撫でた。


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ