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ラクがしたい冒険者~誰か俺を養って~  作者: あさまえいじ
第一章
29/50

第28話

本日3話目です。よろしくお願いします。

孤児院に戻ってきた俺達は子供たちを寝かしていた。リオンは怪我をしているため、気を付けないといけないな。俺が子供たちを寝かし終えた後、ミレーユと二人で話をしている。今日も色々なことがあった。領主に会った。カタナを貰った。ダイクに出会った。テオが明日、この都市から王都に行くということを言われた。ブランド―商会にしていた孤児院の借金が完済したこと。そして、キアラ、姉さんに会ったこと。この都市に来てから、毎日何かがある。

でも、楽しい。俺はこの都市に来てよかった。心からそう思う。今日のことを振り返っているとミレーユから話しかけられた。


「キッドさん、今日は本当にありがとうございました。」

「ミレーユ、ああ、その感謝を受け入れる。」

「キッドさん。私は一週間前まで、こんなことになるなんて思っていませんでした。おじいちゃんが亡くなってから、私一人で何とかしないと、って、ずっと思って、いました。」

ミレーユは泣いている。ずっと一人だった。よく頑張ったと思う。でも大丈夫だ。俺がいる。

「ミレーユ、大丈夫だ。俺がいる。」

「はい、はい、はい。」

ミレーユの涙は止まらない。泣きたいときには泣いていいと思う。


泣いているミレーユを見て、俺はキアラのことを思い出した。泣いていた姉、強い姉が泣いていた。俺の愚痴を聞いてくれるだろうか。少し聞いてみるか。


side ミレーユ

「ミレーユ、少し話を聞いてもらえるか。」

「はい。何でも聞きます。」

キッドさんが話したいことがある。私はキッドさんの話であればどんなことでも聞きたい。あなたのことを教えてください。

「俺は、この都市からずっと東の方から来た。」

「東ですか?」

「ああ、俺がいたところは東の端、イーストエンドと呼ばれていた。そこのある一族、黒の一族と呼ばれていた、その一族の族長の息子が俺だった。」

「イーストエンド、黒の一族。」

私はあまり地理に詳しくない。ここケルヴィオンから、西には王都があるということは知っています。でも、東は確かいくつか国があります。でもイーストエンドは初めて聞きました。それに黒の一族とは・・・

キッドさんは話を続けました。

「俺の父親は一族の族長、母は知らない。生まれて、すぐに亡くなったのか、そうでないのかも知らない。俺は誰が面倒を見てくれていたのかはよくわからない。ただ、キアラが良く面倒を見てくれていたことは覚えている。俺が物心ついたときには戦い方を教えられていた。キアラが教えてくれていた。」

「キアラさんが・・・」

私はさっき会った印象を思い出した。とても怖かった。今にも殺されそうだと思った。でも、キッドさんを思う気持ちは本当の家族でした。

「俺が強くなり、キアラを越えたときから、戦いに駆り出された。俺が10の時だった。俺は初めての戦いに参加した。初めての戦いはとある村を襲ったことだった。目的は収穫を終えたばかりの食糧を奪うことだった。そして、邪魔者を殺すことだった。その戦いが終わった後に思った。なぜ彼らを、殺したのか、と。」

「殺し、た」

私にはキッドさんが言ったことが理解できなかった。キッドさんが人を殺めたといことを・・・

「俺が一族のものに疑問とぶつけると、弱肉強食だ、と言われた。弱いものを肉として強いものが食う。弱いことは罪であり、悪である、と言われた。だから強いものが弱いもの殺すことは自然の摂理、だと言われた。俺はそれを聞き、また疑問を抑えた。それからも仕事のたびに殺した、邪魔をするものを殺し続けた。時間が過ぎていき、初めての戦いから5年経ったある日、ある出来事があった。」


キッドさんは少し話しずらそうにしていた。でも、大きく息を吸って、吐いた。そして、続きを話し始めた。

「その日、また仕事として、とある村を襲うことになった。俺は村の様子を見るために、単独で偵察をしていた。モンスターを見つけて、倒していた。なぜ倒そうと思ったのか分からない。ただ何となくだった。その後に突然言われた。『ありがとう』の言葉だった。なんで言われたか、分からなかった。モンスターに襲われていた子供を俺が助けていたようだった。その子供はお礼に花をくれた。そして『ありがとう』と言って村に帰っていった。俺は心の底から湧き上がる何かを感じていた。でもそれが何か、分からなかった。」


キッドさんは一息入れた。そして、顔を下げて話を続けた。

「俺は心の底から湧き上がる何かを感じながら、集合場所に戻った。もうそこには誰もいなかった。もう仕事は始まっていた。俺は急いで村に走った。俺はなぜ急いでいたのか、分からなかった。俺は花をくれた子供にまた出会った。でもその子は、もう、動かなかった。大きな、穴が、開いていた。」

「!!」

私は何も言えなかった。なんと言っていいか分からない・・・


「俺は親父に聞いた。『なぜ一族は奪うのか』、この答えを親父は答えた。『ラクだから。苦労して育てる。苦労して運ぶ。苦労して売る。苦労したくないから、持っている奴から奪う。その方がラクだから。』俺はその答えを言った親父を殴った。俺と親父はそのまま戦いになると思っていた。だが、そうならなかった。俺が殴たとき、親父は俺に言った。『好きにしろ。』と言った。その時分かった。俺の一族は自分より強い奴とは戦わない。負けるから、だから自分より弱い奴としか戦わない。俺が殴ったとき親父は悟ったんだ。俺の方が強い、と、いうことを認めた。だから、好きにしろと言った。俺はそれが分かったとき、この一族はきっともう駄目だと思った。だから俺は一族を捨てた。」

「・・・」


私はキッドさんの言葉を待った。


「俺がこの都市に来たのは、ミレーユに最初に会ったときだった。俺はあのときの子供を思い出していた。だから俺は、奪う、のではなく、与える、でありたかった。この孤児院に来たのはあの時の罪滅ぼしがしたいからだ。だから寄付していたのは俺の、罪悪感だ。」

「キッドさん。」

私はキッドさんを抱きしめていました。大きな体。いつも私を守ってくれている体がとても小さく感じた。

「キッドさん、私はあなたに救われました。あなたがこの孤児院を守ってくれました。あなたがこの都市を守ってくれました。あなたが罪を背負うなら私にも背負わせてください。あなたがくれたものを少しは私たちに返させてください。」

「ミレーユ、俺を支えてくれるか。」

「はい。支えます。私はキッドさんを愛しています。」

「そうか・・・ありがとう。」

私は思いを告げた。

「すまない。ミレーユ。俺はミレーユの思いに応えることはできない。」

「!!!」

「キアラが言った、ミラという名。ミラは俺の婚約者だ。」

「婚約、者」

「俺はミラと区切りをつけなければならない。」

「わかりました。でも、忘れないでください。私はここで、何時でもキッドさんを待っています。」

私は変わらない思いをキッドさんに告げた。


side out


ありがとうございました。

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