第29話
よろしくお願いします。
俺は昨日の夜、ミレーユに俺のことを話した。ミレーユは俺を受け入れてくれた。後は、俺がミラと話をつけることができれば、ここにいることができる。
でもどうするか。ミラのところに出向くか、それとも向こうから何かしてくるのを待つか、キアラが来たところをみると、こちらに来ること自体は難しくない。俺が使った、密航でも来ることはできる。帰ることはできないがな。
さて、今日はテオが王都に帰るので、見送りをしないとな。
本当に色々世話になった、双剣の指導、ブラッディーベアとの戦い、ダイクを紹介してくれたことに、ブランド―商会にも行ってくれた。一緒に王都に行かないかと誘われた。世話になりっぱなしの大恩人だ。俺は戦友と思っているけど、テオはどう思っているだろう。俺のこと、戦友だと思っていてくれていると嬉しいな。
孤児院の扉がノックされた。一体誰だこんな朝早くから。
「私が出ますね。」
ミレーユがそう言って扉に向かおうとするが俺が止めた。
「いやミレーユ俺が行く。」
俺は扉に向かった。
「だれだ。ん、あんたは」
「おはようございます。キッド様。」
扉をノックしていたのはケルヴィンの執事だった。
「おはよう、キッド。」
「ケルヴィン辺境伯。早いな、昨日の今日だというのに。」
「いや、時間を置くわけにいかない。昨日も訪ねたのだが、留守だったようでね。」
「昨日の夕方あたりか。」
「ああ。そうだ。」
「それはすまなかった。昨日の夕方はブランドー商会に攫われたミレーユを助けに行ったのでな。」
「な、誘拐!そんなことが起こっていたのか。」
「まあ、もう済んだことだし、それより中へ、」
「ああ。失礼するよ。」
俺はケルヴィンを孤児院に招いた。
「ミレーユ、客だ。」
「失礼する。」
「領主様!!」
ミレーユは驚き、食べていたパンを落としてしまった。
「お見苦しいところをお見せしました。」
「いやいや、こちらこそ急な訪問大変失礼した。それに、これまでの非礼を詫びさせてほしい。」
ケルヴィンは姿勢を正し、頭を下げた。
「領主様!!」
「孤児院への援助を打ち切ったこと、大変申し訳なかった。すまなかった。」
ケルヴィンは真摯に謝罪をしていた。
「頭をお上げください。領主様。」
ケルヴィンはゆっくりと頭を上げた。
「昨日キッドさんから事情をお聞きいたしました。私はあなたを恨んでいません。だから領主様、自分を許してあげてください。私は今日、謝罪に来てくれたことが嬉しいんです。祖父もあなたが自分を苦しめることは悲しいと思います。」
「ああ、ありがとう。」
ケルヴィンは涙をこらえて、笑みを浮かべた。
ケルヴィンは援助金を置いていった。
まだ、他にも謝罪に行かなければならないようだ。
「本当に、キッドさんが来てからずっといいことが続いていますね。」
「ミレーユが頑張ってきたからだ。俺もそんなミレーユを支えているだけだ。」
「はい。」
「では、俺はギルドに行く。テオの見送りに送れるわけにはいかない。」
「はい。キッドさん、行ってらっしゃい。」
「ああ、行ってくる。」
俺はミレーユに見送られ、ギルドに足を進めた。
俺はギルドに着くと、テオを探した。
いない。まだ、来ていないのか?
「エリー。少しいいか。」
「あ、キッドさん、おはようございます。どうしましたか?」
「テオは来ているだろうか。」
「いいえ、まだ来ておりません。今日の10時に都市を出るという話ですが、まだ9時前ですし、もう少ししたらお見えになると思いますよ。」
「そうか。感謝する。」
俺は時間を潰すことにしたて、少しギルド内を見渡した。
ロイ達は来ていない。あとは知らない奴しかいないか。俺、ギルドの知り合いってエリー、ギルド長、テオ、ロイ、アラン、イザーク、ウィルの7人しかいない。それに今日、テオがいなくなったら、6人か。もう少し交友関係を広げるか。
俺がそんなことを考えていると、テオがやってきた。
「テオ。おはよう。」
「キッド。おはよう。来てくれてうれしいよ。」
「テオ、本当に世話になった。双剣の指導とブラッディーベアの討伐、他にもたくさんのことをテオに助けてもらった。ありがとう。」
「いや、実を言うと私はキッドに謝ることがある。」
「謝ること?」
「ああ、キッドが冒険者登録をした日に、孤児院に行くキッドを尾行した。あの時はすまなかった。」
「いや、もう済んだことだ。謝られても困る。まあ、謝罪を受けよう。そうしないと引いてくれそうにないからな。」
「ああ、そうだな、受けてくれるまで引く気はなかったからな。」
俺はテオの考えが分かってきたように、テオも俺の考えが分かってきたようだ。
「テオ、俺を王都へ一緒に行くという話だが。」
「ああ、どうするキッド今なら間に合うが。」
「申し訳ない。借金のことは解決した。本来であれば俺もテオに恩を返すために行くべきなのかもしれないが・・・」
「昨日のキッドのお姉さんのこと、か。」
「ああ。そうだ。まだ、この都市にいるだろう。それにミラのことも・・・」
「ミラ、キッドは昨日この名前で足を止めていたが、大切な人なのかい。」
「ミラは俺の婚約者だ。」
「こ、婚約者!」
「一族を継いだ時に祝言をあげることになっていた。だが、俺が一族を抜け、その話は無くなった、と思う。」
「そうか。キッドいつか、話を聞かせてほしい。」
テオは俺を見据え、そう告げた。
「ああ、俺もいつか聞いてほしい。」
「キッド、そろそろ時間だ。私は行くよ。」
「そうか、テオ、今まで本当に助けられてきた。感謝する。」
俺はテオに頭を下げた。
「困ったことがあれば、いつでも助けに行く。ではな戦友。」
「ああ、助けてくれよ。戦友。」
俺とテオは互いに握手をした。
side ???
あの方がいなくなってどれほど経ちましたでしょうか。あの方を連れ戻すと言って、キアラ姉さんが行かれて、ずっと待っていました。ですが、もう、キアラ姉さんを待っているなんてできません。早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、御逢いしたいです。キッド様。
side out
1章を終わりにします。
次話から2章とさせていただきます。
よろしくお願いします。




