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冬眠

「旦那様、先程の」


「ん?あの蛙かい?」


フィリスがモジモジと聞きたそうな素振りをしていたので検討が付いていたことを口にして見たら正解だったらしいのだが、少しばかり口を尖らせジト目を頂戴してしまった。


「先程の巨大なアレを蛙と呼ぶのは、絶対に旦那様しかいませんよ」


「蛙を基本構造にしてどんどん追加していくのが楽しくってさ!男の子だもん、仕方ないよね!」


「仕方なくないですよ!レント伯父様にプレゼントした馬鳥のほうがまだ良かったですよ?!話を進めますが、先程の蛙さんが口にした司祭様たちはどうなってしまうのですか?」


心根は優しい娘であるだけに喰われた人々が気になってしまったようだ。だが現実は非情である。


「多分もう消化済みじゃないかな?」


「消化済み、ですか」


「骨も残さず溶けたと思うよ。後ろの連中も食べると思ったんだけどお腹が膨れたらしいね」


「蛙さんは今どこにいるんですか?」


「大穴あいたでしょ?あそこの更に地中奥深くで自分の住処を作ってるんだと思うよ?司祭たちを食べて知恵もついただろうしね」


「知恵?」


「アイツにはちょっとした能力があるんだだ。食べた対象が得た知識は全て自分に還元するっていうね。いくら頭が良くなっても創造した俺の言うことは聞くように組み込んでるから叛逆はしないから大丈夫だよ」


ただ図体がデカいだけではダメ、手足舌が伸びようが避けられるかもしれない。それならば知恵を与えれば良いという結論だった。


ただ俺の知識を丸々与えても面白くないので、食べた獲物の脳を吸収し蛙の脳を発達させるように造ってみた。


今回吸収した武装司祭たちのおかげで蛙は非常に成長出来たと思う。この蛙が食べた脳を足し算ではなく掛け算して蓄積して成長するからで、既に俺より頭が良いのは明らかだろう。


「でも頭が良くなっても問題もあるんだよね」


「叛逆しないんですよね、何が問題なんですか?」


「睡眠状態になる」


「・・・はい?」


「一応生物なんだけど生殖能力はなくて、三大欲求の内の1つが欠けて食欲と睡眠欲が優先されてるんだ。今回でそこそこ腹も膨れただろうからしばらくは地中でぐっすり眠ってるんじゃないかな」


「旦那様はあのようなモノを無尽蔵に造れるのですか?」


「造ろうと思えば造れるけどちょっと疲れるんだよね。それに今回はコッチにちょっかい出してきた彼らが悪いんだから仕方ないよ」


正直言えばフィリスを怖がらせた時点で武装司祭たちを生かす気はさらさらなかったのだが、今回は他の実験兼ねていた。


【正邪物創造】を使ってフィリスにお守りを作ってあげた。効果は俺以外の物理・魔法全反射、狂気耐性、成長促進、健康維持、美肌効果などなどフィリスの安全第一を念頭に置いたイヤリングを作ってみた。


あの惨劇を見たにも関わらず一切動じずに終始見届けた。ときたま見当外れな攻撃魔法や矢が飛んで来たが1m手前で霧散していたので概ね効果は発揮しているようだ。この調子でどんどん良い女になって行って欲しいと思う。


「旦那様?」


「ん、フィリスは可愛いなーと思ってただけだよ。今日はあそこで宿を借りようか、野宿も愉しいがベッドで寝たいからね」


「は、ハイ!」

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