結果
「残存魔力は空穴だが、ミール!反応はあるか?!」
分隊長は気力で立ち上がり確認を急がせる。周囲に立ち込めていた異臭は聖撃によって浄化され今は元よりも清浄になっているが土煙は舞い続けていた。
「反応ありません、消滅しました!!」
思わず膝をつく分隊長だったが表情は厳しいままだった。
「ジョージは防壁を維持、ミールは周辺に探知を続行!来訪者は未だ姿を見せていないんだ、気を引き締めなおせ!」
そう言うと分隊長は胸ポケットから小さな布袋を出した。中身は魔力補充錠剤だった。
魔力が注入されていて飲み込んで数十秒で溶け出し全身に行き渡り失った魔力を補充させる。だが唯一の欠点があった。
「がっぁああああぁあ!!!まっずぃ!!!」
酷く不味い。
非常時以外ではまず飲みたくないモノとして兵団が錠剤を採用して以降、不人気堂々ぶっちぎり第一位だ。
味は個々人違うらしく形容しがたいとのこと。
恐らく調合し魔力充填をした魔法薬師の魔力と飲む本人の魔力が相反しているのではないかと一部では言われている。
「ザムド、他の部隊員と共に大穴へ近づき状況確認!」
ザムドは斥候任務に長けている小柄な男だ。命令を聞くや否や飛び出して行ってしまった。駆け足なら誰にも負けないと豪語しているだけはある俊足っぷりである。
「残ってる奴は索敵準備だ!来訪者をとらえ」
「ああっぁああああっぁあああああ!!!」
「ななんなんだなんなあんだコイツ!!?」
「あ足がっ俺の足があっぁぁあああ!!!」
次々と聞こえる悲鳴
土煙が晴れてきて大穴付近が見えてきた
そこにいるのは這いつくばった男たち
普段は温厚な司祭として時に厳しく時に優しく信者と共に祈りを捧げている信奉者。
訓練時はどんなに厳しい訓練でも弱音や愚痴も吐かず全ては神のため。
「まってまてまてまあぁあああぁあああ」
「いでぇぇえぇいでえぇええよぉお!!!」
それすらも霞んでいるかのように泣き叫ぶ武装司祭たち。その叫びは他の武装司祭たちをも恐怖の底に連れ込みつつあった。
「何が起きた!ザムド!ザムド!!無事ならば応えろ!!!」
大穴に向かった斥候たちの姿がハッキリと見えた。が、斥候たちは転げ回り血反吐を吐き散らしながら絶叫を続けている。
小柄な男がよろよろとこちらに向かって歩いて来ていた。ザムドは無事だったのだ。
「ザムド、他の連中はどうしたんだ、一体何が起きた!?」
「フらガ、分たイ長、逃げロ」
ギチギチギチギチと聞いたことがある音がザムドから聞こえて来た。
それは肉が引き裂ける音
犯罪者や神を冒涜した愚か者に素直に話してもらうための段階で何度も聞いたし、実行したこともあって耳について離れなかった時期もある。
「あっがアがガががッガギぃげドォお」
ザムドの体がグズグズと一気に崩れ去り、そこにはドス黒いナニかが佇んでいた。




