緊急
「通信士を呼べ、緊急通信だ」
1時間の仮眠後にレント・サタリューヤ城塞伯は自らの職務を果たすべく行動を開始した。
通信手が目の前で術式を唱え魔力を全身に充満させ集中、合図が出たので始める。
「こちら城塞都市アベルクライン レント・サタリューヤ城塞伯。アイゼンドラフト王国に緊急通信」
本来なら飢饉や災害、魔物の大量発生などの緊急事態にしか使われない緊急通信
「アイゼンドラフト王国王位継承第二十六位、フィリス・リターニャ・アイゼンドラフト王女が【来訪者】らしき人物によってフンヌラー村から連れ出され城塞都市アベルクライン城門前にて保護された」
通信士の顔を見ると血管を浮かべながら必死に職務を果たしている。緊急通信は普段の魔力の3倍近く精神を消耗するらしい。
「王女の体は健康体に戻っており【来訪者】の力だと述べ、王女はその者の妻になると宣言」
【来訪者】という言葉を聞いてから通信士は信じられないといった表情を浮かべていた。
「その後【来訪者】の未知の能力によって私の体の自由を奪い能力によって逃走。捜索しているが結果は芳しくない」
通信士は適正も大事だが何よりも知識がないとまず就けない役職であり【来訪者】のことも、規格外な能力を所持していることも知っている。だが規格外と言っても持てる能力は多くても2つ、それが今回は3つ持っており異常性を即座に理解していた。
「2人はアイゼンドラフト王国に向かっていると思われ、ただちに警戒網を張り対魔導部隊および特殊兵科に緊急対応を」
対魔導部隊は魔法特化型兵士で構成された部隊であり白兵戦にも長けている。
特殊兵科は国王直属秘密部隊のことを指す。
つまり国王の身辺警護を最大級にと言っている。
「【来訪者】だが私の記憶にはない。後程七大聖天教会にも問い合わせる。私感だが【来訪者】以上にヒトとは思えないナニかを感じた。以上、通信終わる」
通信が終わるや否や通信士は跪き顔面蒼白になっていた。すぐさま医務室に運び処置を受けさせる。
「七大聖天教会に使いの者を出せ!」




