露呈
「伯父様が私に亡き母様を重ねているのには薄々ですが気付いていました。はっきりと分かったのはつい先程ですけどね」
寂しいような困った微笑みをレント氏に向けるフィリスは続けてこう言った。
「伯父様の奥様とお子様が不慮の事故で亡くなったのは私が生まれる前の年だったと母に聞いたことがありました、それ以降職務に没頭し城塞伯まで上り詰めたとも聞いております」
【過去視】で確認したが城塞都市内部でいざこざが起こった際に荷馬車が余波で暴走し二人はそれに巻き込まれそのまま帰らぬ人になったようだった。
「伯父様が私を大事に思ってくれている、私はそれだけでとても嬉しかったんです。あのような身になっても誕生日や季節の変わり目には必ず贈り物や物資を支援して頂いたおかげで私はあの村で、教会で、生きていけたのですから」
過去をちゃんと見ていると奥さんはメルフィスに面立ちが似ておっとりした可愛らしい少女だった。
(オッサン、まさか妹が結婚した寂しさを紛らわせる為に妹に似た同い年の娘を嫁にしたのか?でも表情だけ見るなら幸せそうなんだよな二人ともさ)
「本当に感謝してるのです。あの物資があればこそ私は村で酷い目にあわずに済ました。ですが私は私なんです。伯父様にとって私は誰かの代わりなんですか?」
「フィリス、な何を言ってるんだ、私の可愛いフィリス、オマエはお前だ、そうだろ?」
(あー完全に痛いとこ突かれたね。本人としてはフィリス一個人として見ていたはずが本質は三人の面影を追っていた、ってことなんだろうな。それでも良いとか言っちゃうフィリスは器がデカイと言うかお人好しと言うか)
「伯父様、私たちは挨拶をしに来たのです。王宮に戻り亡き母様の無念を晴らすためクーパー伯父上の悪行を暴き罪を償っていただきます」
「クーパー卿を断罪すると?私ですら手を焼いている奴に罪を認めさせる?フィリス、オマエに出来るはずがないだろ、国王とて対処に困る相手をどうやって?それにクーパー卿だけじゃなく派閥に属する貴族どもが許すわけがない」
「確かに、私一人では無理です。ですが私には旦那様がいます!」
「体躯は立派だが、それだけじゃクーパー卿に力不足だぞ」
ようやく話が回ってきたようなので邪神っぽく少し演技をしつつ雰囲気も作って会話に入ってみるとしよう。




