嫉妬
(どういうことだどういうことだどういうことだどういうことだどういうことだどういうことだどういうことだどういうことだ!!!)
レント・サタリューヤ城塞伯はフィリスと対話しながらも頭の片隅は極めて困惑していた。レント本人はフィリスが16歳になったら養女に向かい入れ、寂しい思いをさせないための行動を忌まわしい火事の後からずっとしていたのだ。だのにいきなり現れた異国の男に大事な姪を奪われてしまった。
見た目は若く見えるがこの国の人間に見られない浅黒い肌、自分よりも背があり、瞳は金色だが濁って見えるのは光の加減のせいだろう。
(聞くところによると南の大陸ディアスにはこの男のような肌を持つものが多いと聞くが、こんな長身見たことがないぞ?小巨人とのあいの子ではあるまいな?)
「伯父様、聞いてらっしゃいますか?」
「国王陛下への対処法だろ?陛下はああ見えてお前を心から心配しているんだ、心身共に戻ったのなら王宮に戻って来いと言うのが道理だろう。末妹でとても目をかけてもらっていただろう?」
「そうですが、私はこの方と約束をしたのです」
「先程のアレか?全てを捧げたと?」
「その言葉に嘘偽りはありません。祖霊に誓い、そして私の魂が煉獄の炎に焼き尽くされようと生涯を共にすると宣言したのです」
「しかもあの教会でしたのか・・・はぁ・・・よりにもよってあの教会で・・・」
「レント伯父様?」
「言ってなかったし聞かされてないはずだが、あの教会はメルフィスが、お前の母さんが国王と出会ったところなんだよ」
「そうだったんですか?!」
「今から18年前になるか・・・国王が国内を巡察したいと言いだしたんだ。物語にある転移魔法がない限りそんなことは無理だと言ったのだが聞かなくてな。仕方ないので助言をしたんだよ『王よ骨休みに我が故郷へ参りませんか?』とね。フンヌラーは何もないがそれがイイと言う人間もいる、だから来てみては?と言ったんだ。それがお前の母さんメルフィスと国王を巡り合わせることになるとは思いもしなかったがな!」
あの時は葛藤の毎日だった。
妹が国王の妻になる
年の離れた妹が嫁ぐ
あれほどまでに慕ってくれた妹が国中の晒されモノになる
最終的にはメルフィスと国王の熱意に根負けして結婚を心から認めた。葛藤したのは若さゆえの苦い経験だったと思っていた。
だが本当は違っていたのだろうなと思い返す。
村の自警団の男らも倒す程の腕前を持ったやんちゃな妹に稽古をつけたのも自分だ。両親に叱られ泣きついてきたこともあって慰めたこともあった。そんな可愛い妹を奪られるのが、嫌だったんだろう。
醜い兄の嫉妬
それがフィリスにも向けられているのが自分でも分かっているのだ。だが止められないこの想いをどうすればいいんだ?
ふとナイアという男が視界に入った。
コノ男サエ消セバ




