城門
「そういえば城塞都市アベルクラインに入るのって通行証とか必要?」
「検問はあったはずですが通行証はなかったと思います。と言っても私の場合は末席ですが王族、しかもレント叔父様の妹である母様と一緒に来たので詳しくは分かりかねます」
「それなら俺は従者みたいにしてれば問題ないかな」
「はい、それで良いかと。しかし身長がコレだけ高い人は滅多にどころか見た事すらないんですが、そこだけが心配です」
中性的な顔立ちで浅黒い肌、髪は腰まで伸びている高身長の商人風を装った従者、元の姿だとただの三十路に入ったオッサンが推定幼女を連れている事案にしか思えないんだからまだマシだろう。たとえ容姿がヤツだとしても今回は許す。
「せめて元の姿に戻れたらイイんだけどなー」
「旦那様の元の姿ですか?」
何故か元の姿に戻れないのだ。姿は辛うじてしかも薄ボンヤリ程度で思い出せるがいざ【形態変化】をしようとすると不発してしまう。今後とも繰り返して元に戻ろうと試してみるが邪神の呪いがそう簡単に解けるとは思っていない。
「ここまで身長も高くなかったしそんじょそこらのモブ顔だよ、転移してまだ一日も経ってないから違和感しかないけどさ、すぐに慣れるさ」
「あ、旦那様、アベルクラインの城門が見えてきましたよ!」
上空から見た時も立派な門だったが近くで見ると迫力が違う。
外敵を萎縮させるために城壁もここまで巨大化させ、安易に人間や魔物が乗り越えられないようにしているんだろう。城壁には等間隔に兵士が配置されており周囲への警戒をしているようだ。
「高層ビルとかは夢のまた夢かもな。あ、自分で作ればイイか」
「なんですか、その、コーソービルとは?」
門前では荷物検査と身体検査が行われているらしく、仕方ないので待機列に並んで待つことになったのだがその間に元居た世界のことやオレの事をフィリスは根掘り葉掘り聞いてくる。
「それで旦那様はあちらではどんなことをしていたのですか?」
「どんなことって普通の雇われ」
「次の二人、前に!」




