飛行
フィリスをおんぶしようとしたら「そこはお姫様抱っこでしょ!?」と言われてしまった。そして急発進急上昇してみる。
「ナ!ナイアさん!絶対にこれ以上は揺らさないでね!ただでさえ」
「ごめんごめん、もうイジワルしないからさ」
時速40km程度での空中旅行、俺の腕の中には可愛く小ちゃい嫁が地上を見ないようにして震えながら俺に抱かれている。
(急降下したら漏らすかな)
「旦那様、今何か良くないことを考えたでしょ?」
「キノセイダヨー」
上空から見える樹海は広く樹々が高いため様子を伺うことは普通は困難だ。
「お、あそこにいるのは勇者(笑)のパロス君じゃないか。あの後放置したんだが運良く助けが来たのかな?なんかお仲間が増えてるし」
身体能力が人間のそれとはかけ離れているおかげで能力を使わなくてもそれくらいならハッキリと見えた。
「今勇者パロスと言いましたが、彼のことご存じなのですか?」
「この世界で初めてあった人間第一号だよ。もっとも会話が成立しそうになかったからサクっと気絶させて放置してきたんだよ。あ、勇者が持ってる聖槍って知ってる?」
「女神アイシアより賜ったという聖槍インポテンツマーラのことでしょうか?聞くところによると真夜中一人熱心に女神アイシアへの祈りを捧げていたところ女神が微笑みながら聖槍を託したそうです」
淀みなく恥かしがりもせずに答えるフィリス。
真夜中に女神アイシアに祈りを捧げるですか、きっと劣情を捧げてたに違いない。じゃなければあんなネーミングセンス皆無なモノをプレゼントしないだろう。それに微笑みながらってのもなんか怪しいんだよね。
しかしこんな可愛い嫁に【不能な息子】とか言われたら俺はもう色んな意味で自信をなくすだろう。
耳元で元いた世界での意味を教えてあげたら一瞬きょとんとした後にボッと耳ままで真っ赤にして俯いてしまった。




