恐慌
「なんだよ声も出せないか?」
「おいこないだ譲ったんだから今日突っ込むのは俺が先だからな!」
「その服随分と仕立てが良いじゃねーか兄ちゃんには勿体無いぜ」
「鞄の中には何が入ってるのか見せろ」
なんというかここまで型通りの盗賊だと呆れを通り越して感心してしまうほどだ。盗賊は男色が普通なのか後ろのほうで順番で揉めているようだ。
「そういう訳だ兄ちゃん、大人しく捕まったほうが体は綺麗に帰れるかもしれないぜ」
「中までは約束できねぇけどな!!」
(なるほどこう煽りつつ他の仲間が背後に回り込んで完全に逃げ道を塞ぐわけか)
周囲に盗賊仲間が配置され徐々に範囲を狭めて来ている。手慣れた感じで余裕の笑みを浮かべている。
【精神汚染】+【畏怖】
合わせ技をしたらどうなるのか、確認するには丁度良い相手たちなので最低レベルから段階的に上げて行くことにする。
反応が顕著だったのは一番近い農夫姿の盗賊だった。
一瞬身震いをした後に周囲をギョロギョロと見回す。見るからに血の気が引いていき顔色は土気色までなって冷や汗が止まらないようで、手に持っていた農具は既に足元に転がっていて水溜りが出来ていたし異臭が漂い始めた。瞳孔は一切落ち着きがなく奥歯と言わずカチカチと歯全体で鳴り響き、目口鼻からは汁が垂れ流しになっている。髪は白髪に変色し所々抜け出し始めている。
周囲の盗賊も概ね農夫姿と同じ状態に陥っている様子だ。
(これって声かけたら死ぬんじゃないか)




