二人と二人5
昼休み。
「で、あんたはなんでここにいるの?」
「えっ?…なっなんでって…」
「だから、なんでここで呑気にお昼ごはん食べようとしてんのよ」
「………」
私は鞄からお弁当箱を出そうとした手を止める。
ユカは私の席に弁当を広げて、おいしそうなおかずを橋でつつきながら、イライラしていた。
「oh~!ユカ私も一緒にお弁当食べる言ってたじゃないデスかぁ~。今机くっつけるデスヨ~」
ジュディは昼休みになった瞬間、愛しのレオの元にお弁当を持って行っていたようで、いま戻ってきたらしい。
「……はぁ」
いいなぁ。2人はラブラブで。
……私は、いまだ、先輩のもとに行けてない。
「どうしたデスカ?陽依、元気ないノ?」
「元気だ…よ?」
「もぉ…イライラする~」
カチャンっ、とユカは箸を置いた。
「ユカ、そんな眉間にしわ寄せてたら、眉間に縦にとっても大きなシワができちゃうヨ!」
「ジュディは黙ってて」
「ハイ」
「あのさぁ、陽依。あたしにはあれだけ言っといてさ、自分は何もしないつもりなの?」
ユカの言いたいことはすごく、すっごくよくわかる。
痛いほどよく、分かる。
「女の子は素直が一番って言ってくれたのあんただよ?」
「…うん」
「今、素直?陽依は」
全然、素直じゃない。
私は力なく首を横に振った。
ユカはすごいよ。
委員長に素直になれて。
私だってできるってあの時はそう思った。
でも、でもね。
いざってなった時、急に怖くなったんだ。
委員長とユカみたいに、ジュディとレオ君みたいに、あんな風に元に戻れるのかなって。
私と先輩は、まだ付き合いはじめたばかりで、先輩のこと分かったつもりでいたけれど、でもユカやジュディほど、相手のことを知らない。
ユカやジュディみたいに、あんなに距離近くないし……。
前、ユカやジュディに「中学生かっ」て言われたの思い出して…私と先輩の距離感はまだまだ遠いのかもとか…いろいろ考えて。
そしたら、ユカ達みたいに元に戻れるかも不安になってしまった。
頭の中ぐちゃくちゃで…考えれば考えるほど意味不明で。
……私がもし、本音を口にしちゃって、また先輩との距離が遠くなったら…。
それが怖くて、たまらなく怖くて、先輩に会えない。
「…私はね、陽依、あんたの言葉があったから、貴光に素直になることができたの。あんたのおかげ。だから、あんたも、自信もって素直になりな!」
ユカ…。
「あの藤井バカ太にドーンとぶつかっていきなさいな。大丈夫、あいつはあんたのことが一番好きだから。それは私が保証する!さったまご焼きあげるからバカ太のところに行きなよ」
「私もミートボールあげるデス!」
2人とも。
うだうだ考えても仕方がない。
ユカの言葉で決心がついた。
嫌われてもいい、いいもん!!
どっかの本に、開き直った女は強いって書いてあった。
うん、今まさに私はそれだ。
急いでたまご焼きとミートボールを口に放りこむと、2年生の教室がある階へ向かった。
「やっと行ったわね。まったく…世話が焼けるわ」
「……あのー私、どゆことか分かりマセーン」
「いいの、ジュディは知らなくっても」
頑張んなさいよ、あんたなら大丈夫だからね。




