二人と二人 1
番外編最終話です。陽依と先輩、柚香と委員長がメインのお話になってます。
「ねぇ、陽依。まだ着かないの?」
「うーん。まだあと次の次のバス停だから…」
「そのスイーツのお店って本当においしいの?」
「ゆ…柚香…」
「おいしいよ!この雑誌見てよ!写真だけでもおいしさが伝わってくるでしょ!?」
「陽依一押しの、イチゴショートはよ食べたいなぁ」
はい。
どうもお久しぶりです。
橋宮陽依です。
えっと、今日は、私、ユカ、委員長、藤井先輩の4人でバスに揺られて、“ベル”へ向かっております。
日曜日ということもあり、道は混んでいて、バスもカメのようなペース。
ふつうはそんなに時間がかからない道のりも、倍近くかかってる。
なんで、私たちが一緒に洋菓子店“ベル”へ向かっているかというと…。
金曜日、お昼休み。
いつものように、ジュディと私とユカと三人でお昼ご飯を食べていると、ジュディからの視線を感じた。
「どうしたの?」
「えっ?」
「ずっとこっち見てたから」
ジュディは、ちょっと言いにくそうに困った顔をした。
「何言うのためらってんのよ。相手は陽依なんだから遠慮はしないでちゃんと言いなさいよ」
ユカ、なんかその言い方…トゲがあるような。
「あの…このごろ思ってたノヨ。ヒヨリ」
「うん」
「ワタシとユカは、よくダーリンの話をするでショ?ラブラブーなstory。ユカは週末彼氏とお散歩デートしたって喜んでたじゃなイカ?」
そういえば、月曜日うれしそうにユカ言ってたっけ。
「ワタシもレオの好きなところをこうして昼休みに語るじゃない?」
「うん」
ジュディは、何がいいたんだろう。
「陽依はないノ?」
…えっと?
「私もって…何が?」
きょとんと、ジュディを見つめると、ユカがあきれたようにこっちを見た。
「だぁからぁ、陽依も藤井のノロケ話ないのかって聞いてんのよ」
「そうデス。いつもワタシとユカばっかり、彼氏のこと語ってて、陽依いつも相槌打って笑ってるだけヨ」
「…そういわれても…ノロケ話なんて…」
先輩のことを考えると、ほっぺたがあつくなった。
そんな私の様子を見てユカは、「まさか……」とつぶやく。
「あんた…まさか、藤井と付き合ってもう3週間は経つのに、まったく進展してないんじゃない?」
信じられないといった表情で私を見る。
「進展してるよ!毎日メールするもん」
「「中学生か!!」」
ユカとジュディの声がハモる。
「あぁ…私忘れてたわ。あんたが激ニブってこと」
ユカは頭に手を当ててアチャーっとジェスチャーする。
「も、もしかして。手もつないでないとか」
「手?っててて手なんてつなげないよぉ!!ドキドキしちゃうもん!」
「ユータがなんだかかわいそうになってきたヨ」
「よし、決めたわ」
ユカはそう言うと、私をまっすぐ見つめて
「Wデートしましょ」
「Oh!ユカそれはグッドな考えネ!」
「え…ちょっと待ってよぉ!デートなんて、まだ早いよ!」
「どこが早いっていうのよ!デートぐらい小学生でもしてるわよ」
「そ、そうなの?」
いまどきの小学生はおませさんなんだねー。っと関心していると、ユカはどんどん眉間にしわを寄せる。
「ジュディは日曜日は用事があるらしいし一緒にいけないけど…、私と貴光とデート一緒に行くわよ!」
「えー…」
「そこで手ぐらいつなぎな!」
手つなぐなんて…。私にできるかな。
「あんた、ずっと友達みたいな付き合い方でいいと思ってるの?」
「ユカの言うとおりデス!」
私と先輩って友達みたいな付き合い方してるの?
そういえば、考えたことなかった。
私、一度も付き合ったりしたことないし、初恋は先輩だし。
漫画とかでは恋人同士ってどういうものかわかっているつもりでいたけど、漫画は所詮漫画でしょ?実際がどうなのかよくわかんないし…。
このままじゃ、いけないの?
というわけで、私たちは、今、バスに揺られてベルグレフィンへと向かっているのです。
「あ、陽依、あのバス停で降りるんじゃないの?」
ユカが前方を指さす。
私は通路側に身を乗り出して、バス停を確認した。
あっ、あれだ。
ボタン押さなきゃ。
今度は窓の近くに手を伸ばす。
「あっ」
ボタンには、すでに先輩の手がのっていた。
≪ピーンポーン、次止まります≫
機械的な音声がバス内に響く。
「押したん、俺」
得意げに笑う先輩。
私もつられて笑う。
「ガキか」
ユカは飽きれたように笑った。
私の隣には、先輩が座ってる。
いまさらだけど、その近さに緊張してきた。
ほんとにいまさらだけど。
バス停についてバスを降りると、すぐ近くにホームセンターが見えた。
「「あっ」」
私と先輩の声が重なる。
「もしかして、陽依も同じこと考えてた?」
先輩が驚いたように、こっちをみていた。
「あの日のことですよね!?」
「えっ?なによ!!あの日って!!私聞いてないわよ~」
ユカが腰に手を当てて、私と先輩の間に入ってきた。
「別にユカにいちいち話さなくてもええやん」
ちょっといじけたように、藤井先輩がつぶやいた。
「なぁにぃいいいい?」
ユカ様お怒りのご様子。
「ちょっと、柚果、大声出すのは…ちょっと」
「貴光Shut up」
ジュディの影響かな。
「はい」
委員長はしゅんとして、後ろに下がった。
「藤井バカ太。私の名前を呼び捨てにいつしていいと許可した!?あぁ言ってみろ、いつ言ったかぁ!?あぁん?」
やんキー並みのメンチを切りながら、まくし立てるユカ。こ、こわい。
「言ってません…ユカ…さん」
「それでいいんだよ!」
勝ち誇った笑顔で藤井先輩から、私の方に顔を向ける。
「で、“あの日”ってなに?」
「そっ、それはねっ」
私は、ホームセンターで藤井先輩に会ったことを順を追ってはなすことになった。
話が終わるころには、テンションの下がっていた先輩も委員長も元に戻っていて、安心。
でも、時計を見てみたら結構時間が経っていて、ベルって有名なお店だから行列できてるんじゃないかなって、ちょっぴり心配になった。




