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藤井先輩と私。  作者: 寿音
XV:夕陽の私と夕陽の先輩。
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「ギャハハハハハッ」

朝のHR前の教室で、おなかを抱えて笑っているのは、ユカ様。

「柚果…そんなに笑っちゃ可哀そうだよ」

「そうデース。ヒヨリが泣きそうになってるヨ」

「だぁっておっかしいんだもの…あははっ…おなかいたい」

私の今朝の夢の話をしたら、ユカの爆笑が止まらなくなった。

これが正夢になったらどうしようってみんなにそうだんしたのに、これじゃぁ言わなきゃよかったよ。

ジュディがユカの背中をさする。

本気で笑いすぎておなかが痛いらしい。

委員長はというと、あきれて苦笑い。

やっとユカの笑いが落ち着くと、私の方に向き直って

「そんな漫画みたいなことありえないでしょ。夢は所詮夢なんだから」

と言った。

「そうデス!ユカの言うとおりヨ!考えすぎで夢にまで出てきちゃったノヨ」

「気にしないほうがいいよ。それより今日頑張ってね。俺も柚果もジュディも橋宮さんの味方だし」

「fight!」

「あたしたちが応援してるんだから大丈夫!」

みんな。ありがとう。

なんだかんだ言って、みんな優しくて励ましてくれて…ありがとう。

心がじーんとして、目頭が熱くなった。

それからHRが始まり、1時間目、2時間目と授業を受けてたけど、内容はほとんど頭に入って来なかった。

頭の中は藤井先輩のことでいっぱいで、歴史や数学の公式が頭に入る余裕なんてなかった。

そして昼休み。

ユカとジュディがお弁当と椅子を持って私の席にやってきた。

「今日は陽依のところでランチ」

毎回3人の机のどれかに集まって食べるようにしている。

「あと3時間後ぐらいじゃない?陽依の告白タイムまで」

「Wow!なんだか胸がドキドキしてきたデース」

なんか二人とも面白がってない?

「ヒヨリ、私のサンドイッチ食べる?そのくらいのご飯じゃおなか空いて放課後まで元気が持たないデショ」

私の弁当箱にジュディは自分のサンドイッチを入れる。

えぇっ。

「そんな…それじゃぁジュディがおなかすくじゃん!」

「私も、ミートボールあげる」

ユカもミートボールを私のお弁当箱の隙間に無理矢理詰めた。

「ユカ!?」

「陽依、告白は気合いと根性よ。元気がなきゃ絶対うまくいかないんだから。どうせ朝ごはんもあんまり食べてなかったんでしょ?」

なんでわかっちゃうの。

朝は夢のことがショックで、食欲なくて食べてこなかった。

「ヒヨリ、人の好意は素直に受けとるベシ!ね!」

「ありがとう…二人とも」

キーンコーンカーンコーン………

ついに、放課後のチャイムが鳴ってしまった。

チャイムと同時に、ほとんどの生徒が教室を出て行って、今教室にいるのは、私、ユカ、ジュディ、委員長の4人だけ。

「陽依、どうしたの?行かないの?」

私はというと、自分の席から微動だにせず、ずっと黒板をみていた。

「行きたいんだけど…体が動かなくて…腰抜かしちゃったみたい…」

立とうとするんだけど、うまく体に力が入らなくて動かない。

「ジュディ、手伝って!」

ユカとジュディは私の両側に立つと、両腕を掴んで立たせようとふんばる。

「せーのっ!」

二人がかりでやっと、私は立ちあがることはできたけれど、足は重いまま。

「怖くて…やっぱり…無理」

足や手が小刻みに震えて、心の中が不安いっぱいになる。

「今さら何言ってるのよ!ここまで来て…」

「でも…怖いの!先輩に気持ち伝えてそれで…何かが変わっちゃうのが…」

「ヒヨリ…」

「橋宮さん…」

私だって、今さらこんなに怖くなるんだろうって思ってる。

ちゃんと昨日決意はかたまったはずなのにって。

でも、言葉に言い表せない不安が心のなかに渦巻いて…足がすくんでしまう。

「陽依」

「なに?」

パシーン!!

「…え?」

一瞬なにが起こったかわからなかった。

頬が熱い。

「陽依、いきなり殴ってごめんね?でもこうでもしないと陽依の目が覚めないと思って」

「私は陽依に後悔してほしくないのよ。今行かなきゃ、今言わなきゃ絶対後悔するよ」

ユカは真剣な顔つきで、私を見つめた。

「陽依、私たちがついてる…だから行っておいで」

そうだ。

ユカの言う通り。

私には強い味方がついてる。

何も怖がる必要なんてなかった。

「ユカ…ありがとう。目覚めた。行ってくる!」

みんなもありがとう。

私はカバンを持って教室を勢いよく飛び出した。

早く行かなきゃ。

「陽依!あわてるとコケるわよ!」

夢の中のユカと同じセリフに驚いて振り返ると、教室からユカが顔をだして笑ってた。

もう!ユカ!

…でも、あわてたらホントにコケるかも。

それから先の廊下は慎重に走った。

ペンキ塗りたての壁やバナナの皮も廊下には落ちていなくて、やっぱりあれは夢だったんだなって思う。

はやる気持ちを抑えて校舎裏手前でいったん止まり、深呼吸。

空を見上げると、雲ひとつない空に夕焼けが綺麗に映えていて、空でさえも私のことを応援してくれてるような気持ちになった。

がんばる、がんばれる、私、がんばっちゃう!

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