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藤井先輩と私。  作者: 寿音
Ⅺ:あの日と動揺。
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放課後の教室に残っているのは、私とジュディ。

ユカの腕にすがりついて一緒にいてと頼んだけれど、ユカは委員長と帰りたいからと先に帰ってしまった。

どこまで薄情なの!

「ふんふふーん♪」

自分の席に腰かけて、鞄から取り出した鏡を見つめて鼻歌を歌うジュディ。

私は、そんなジュディの隣で10秒に1回のペースでため息をついていた。

「どうしたのデースカ?ヒヨリ。ため息すると、幸薄になるヨ」

幸薄って…。まぁ幸せが逃げるから幸薄になるか。

「私なんでもポジティブに考えるのが得意!ヒヨリも見習え!」

拳を握って力強く語るジュディを見て、またため息が漏れた。


「陽依?おるかー?」

藤井先輩の声だ。

振りかえってみると扉の所に藤井先輩が立っていた。

「え…?松田さんも一緒…?」

藤井先輩は困った顔で私を見る。

「“松田さん”ってよそよそしいデス!ユータ、ジュディって呼んでヨ」

「あの、えっとですね…」

私は、二人の間に入り、左右を見ながら言葉を探した。

「俺、陽依に話があるんやけど」

「そーね、そーね。待っていたヨ私」

藤井先輩の言葉をさえぎり、ジュディが満足そうに先輩の腕を掴む。

「へ?」

「OK!私も好きデス。お付き合いしマス!ふつつか者ですがなにとぞよろしゅう…」

「ちょちょちょっと待った!」

「ユータどうしたの?」

少し不満そうにジュディが藤井先輩を見つめる。

私はどうしたらいいのか分からなくて、何も言えずにただ立っているだけ。

「なんで俺が、松田さんとお付き合いすることになってん!」

「ユータ?…あっ!そういうことネ!ヒヨリが見ているから恥ずかしがってる!allright!」

納得したようにジュディが腕を組んでフムフムと首を縦に振った。

「恥ずかしがってるわけないやろ」

「ヒヨリ…?どうゆうことデスカ?」

意味が分からないといった表情で、ジュディは私を見つめてきた。

正直に答えなきゃ。

ちゃんと、ポジティブ思考のジュディに分かるように。

「あのね、朝、先輩が放課後残っててって言ったのは、私になの…。ジュディじゃなくって…言いだせなくてごめんね!」

そう言って頭を下げる。

怒るかな?ジュディ。

「なぁーんだ。そう言う事ね!私にサプライズ計画2人で立てようとしてたのね!」

…………はい?

一瞬めまいがした。

どうして…そうもポジティブでいられるのだろう。

ジュディは慌てて自分の鞄を持つと、

「楽しみにしてるヨー!とびっきりのサプライズ!!サンキュー!グッバイダーリン!」

嵐のように教室から出て行った。


ぽつーん。

茫然としたままの私と先輩が残る。

「…台風みたいなやつやな」

「は、はい」

しばらく2人とも無言だった。

「俺らも帰るか?帰りながら話そう」

「はい」

そういえば、先輩私に用事があるって言ってた。

なんだろう。

靴箱の場所が違うので、正面玄関で待ち合わせすることになった。

靴箱へ行くと、壁にもたれている人影がいた。

ユカだ。

「あれ?ユカ帰ったんじゃ…」

「あんたが心配だから戻ってきたの」

ユカ、訂正するよ。

ユカは薄情者ではありません。

恋愛を優先するけど、友情も捨てない素晴らしいお方!!

「ジュディに負けないようにがんばりなさい」

「ん?どういうこと?」

「……はぁ。あんたはつくづくおめでたいわね」

ユカ様、なにをおっしゃってるのでしょう。

「まだ気づいてないわけか…、まぁ、他人から教わるようなことじゃないし、言及はしないけど」

もたれていた体を起こして、私の方に向き直ったユカは、人さし指を私の額にくっつけた。

「ユカ?」

「ちょっとは自分の気持ち考えなさい」

「えっユカ?」

「じゃ私は、帰る」

ユカは校舎から出て行った。

なにが言いたかったのかな…。


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