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放課後の教室に残っているのは、私とジュディ。
ユカの腕にすがりついて一緒にいてと頼んだけれど、ユカは委員長と帰りたいからと先に帰ってしまった。
どこまで薄情なの!
「ふんふふーん♪」
自分の席に腰かけて、鞄から取り出した鏡を見つめて鼻歌を歌うジュディ。
私は、そんなジュディの隣で10秒に1回のペースでため息をついていた。
「どうしたのデースカ?ヒヨリ。ため息すると、幸薄になるヨ」
幸薄って…。まぁ幸せが逃げるから幸薄になるか。
「私なんでもポジティブに考えるのが得意!ヒヨリも見習え!」
拳を握って力強く語るジュディを見て、またため息が漏れた。
「陽依?おるかー?」
藤井先輩の声だ。
振りかえってみると扉の所に藤井先輩が立っていた。
「え…?松田さんも一緒…?」
藤井先輩は困った顔で私を見る。
「“松田さん”ってよそよそしいデス!ユータ、ジュディって呼んでヨ」
「あの、えっとですね…」
私は、二人の間に入り、左右を見ながら言葉を探した。
「俺、陽依に話があるんやけど」
「そーね、そーね。待っていたヨ私」
藤井先輩の言葉をさえぎり、ジュディが満足そうに先輩の腕を掴む。
「へ?」
「OK!私も好きデス。お付き合いしマス!ふつつか者ですがなにとぞよろしゅう…」
「ちょちょちょっと待った!」
「ユータどうしたの?」
少し不満そうにジュディが藤井先輩を見つめる。
私はどうしたらいいのか分からなくて、何も言えずにただ立っているだけ。
「なんで俺が、松田さんとお付き合いすることになってん!」
「ユータ?…あっ!そういうことネ!ヒヨリが見ているから恥ずかしがってる!allright!」
納得したようにジュディが腕を組んでフムフムと首を縦に振った。
「恥ずかしがってるわけないやろ」
「ヒヨリ…?どうゆうことデスカ?」
意味が分からないといった表情で、ジュディは私を見つめてきた。
正直に答えなきゃ。
ちゃんと、ポジティブ思考のジュディに分かるように。
「あのね、朝、先輩が放課後残っててって言ったのは、私になの…。ジュディじゃなくって…言いだせなくてごめんね!」
そう言って頭を下げる。
怒るかな?ジュディ。
「なぁーんだ。そう言う事ね!私にサプライズ計画2人で立てようとしてたのね!」
…………はい?
一瞬めまいがした。
どうして…そうもポジティブでいられるのだろう。
ジュディは慌てて自分の鞄を持つと、
「楽しみにしてるヨー!とびっきりのサプライズ!!サンキュー!グッバイダーリン!」
嵐のように教室から出て行った。
ぽつーん。
茫然としたままの私と先輩が残る。
「…台風みたいなやつやな」
「は、はい」
しばらく2人とも無言だった。
「俺らも帰るか?帰りながら話そう」
「はい」
そういえば、先輩私に用事があるって言ってた。
なんだろう。
靴箱の場所が違うので、正面玄関で待ち合わせすることになった。
靴箱へ行くと、壁にもたれている人影がいた。
ユカだ。
「あれ?ユカ帰ったんじゃ…」
「あんたが心配だから戻ってきたの」
ユカ、訂正するよ。
ユカは薄情者ではありません。
恋愛を優先するけど、友情も捨てない素晴らしいお方!!
「ジュディに負けないようにがんばりなさい」
「ん?どういうこと?」
「……はぁ。あんたはつくづくおめでたいわね」
ユカ様、なにをおっしゃってるのでしょう。
「まだ気づいてないわけか…、まぁ、他人から教わるようなことじゃないし、言及はしないけど」
もたれていた体を起こして、私の方に向き直ったユカは、人さし指を私の額にくっつけた。
「ユカ?」
「ちょっとは自分の気持ち考えなさい」
「えっユカ?」
「じゃ私は、帰る」
ユカは校舎から出て行った。
なにが言いたかったのかな…。




