5
翌日学校へ行くと、廊下のところでギャル達がテンションの低い声で「今日、藤井先輩休みだってぇー超さびしぃし」とぼやいていた。
教室に入ると、昨日とは打って変わって静か。
女の子たちの黄色い声は聞こえてこない。
委員長まだ来てないのかな。
そう思って委員長の席を見ると、机の上に筆箱があるから、学校には来ているようだった。
「どこ行ったんだろう」
教室を見まわすと、「あっ」 委員長を見つけた。
ユカの席に委員長が余っている椅子をくっつけて座っている。
その席の前には、ユカが座ってて、二人の間には花が舞っていた。
それをずっと見ていると、私の席の近くの情報通の関根さんが聞いてもいないのに、
「委員長と本原さん付き合い始めたらしくって、昨日の群がってた女子達諦めたんだってさ。本原さん美人だし叶わないっておもったんだろーね」
と教えてくれた。
「ねぇ、なんで2人が付き合い始めたって知ってるの?」
と私が聞き返すときには、もう関根さんは違う女の子にこの話をしているようで、私の隣は誰もいなくなっていた。
ユカのとこ行こう。
ずんずんと進んで、花が舞い踊るユカの席にたどり着く。
「ユカ!」
話しかけると、意外にユカは普通に「なによ陽依」と返事をしてくれた。
あんなに花を舞わせてたから、もうトロントロンの甘々のユカに変貌してると思ったけど、違ったみたい。
「あっ、橋宮さんここ座る?」
委員長は、自分が座っていた席から立ち、私に席を譲ろうとした。
「いいよ。いいよ。それより2人に話があるし」
委員長もいてくれなきゃ困る。
「話って?」
昨日廊下でこっそり見てたけどさ、声とか聞こえなかったし実際どうなって付き合ったのか知りたかった。
「どうして2人付き合うことになったの?」
私が2人の顔を見て尋ねると、2人とも急に顔を赤くした。
「もう、黙ってないで答えて!ユカ私、2人が仲直りできるように手伝ってあげたんだからね!知る権利はあるよ!」
んもう!じれったいなぁ。
早く答えてよ。知りたい知りたい知りたぁい!
「俺が好きだっていったんだよ」
委員長から?意外!!
「本当はずっと前から本原のこと憧れててさ、言いたいことはっきり言って、堂々としてる姿が凛々しくて、俺もああなりたいって思ってたんだ。それでずっと…本原のこと意識してたら…れ…恋愛感情がうまれて」
委員長は、小さいけれどしっかりした声で話していた。
「おととい美容院でたあとさ、本原に好きだって伝えようと思ったんだ。外見が変わったことで、なんか自分に自信が持てたっていうか勇気がわいたっていうか、いまなら伝えられるって思って」
ユカは恥ずかしそうにうつむいてる。
「言おうと思ったら、本原走って帰っちゃうし…。朝も話しかけようとか思ったけど、いろいろ邪魔が入って言えなくてさ。放課後橋宮が俺と本原を2人きりにさせてくれただろ?その時に、本原が俺に……」
そこで委員長は黙ってしまった。え?続きは?おーーーーい。
ユカが委員長になにしたの?
「委員長?」
今度は委員長が恥ずかしそうにうつむいた。
「続きは私が言うわ」
そう言ってユカは自分の両手で頬をぱちぱち叩くと、大きく息をすって吐いた。
「放課後2人きりになって、委員長に謝ろうと思って…、ごめんなさいって言おうとしたのよ。でも私…」
「でも私?」
「他の子見ちゃヤダって……すごい子供っぽいこと言っちゃった」
ツンデレユカ様、デレの方降臨いたしました!
「それで俺、思わず本原のこと抱きしめてしまって…そのまま想いを告げた」
なるほど、それで抱きしめあってたんだね。
「もういいでしょ!ほれ席戻りなさい、陽依」
「えー」
「HR始まるわ」
「ほいほい」
「貴光も。あんた委員長でしょ?」
「あぁ、じゃまた」
委員長と私は自分の席に戻った。
最後のユカの口からでた委員長の下の名前を聞いて、私はユカと委員長が付き合い始めたことを改めて実感する。
やっぱり付き合ったら、下の名前で呼ぶのかな?
そう言えば、藤井先輩の彼女も、先輩のこと名前で呼んでたっけ。
なんで先輩が出てくんのさ。




