管理者権限付与 一 【王の責務、五】(3)
頭上に。
光るウィンドウがちらついた。
[条件達成!]
[スキル「MONARCH'S FLAME(Lv.1→2)」]
理由は分からなかったが、どうやら俺のスキルが一段階上がったようだった。
もしかすると、使い続けるだけでスキルは成長するのかもしれない。結局のところ、このシステムが論理の法則に従っているのなら、単純に鍛錬によって成長するということなのだろう。
[少数の人々があなたを信じ始めています!]
[あなたの「MONARCH'S AUTHORITY」が強化されています。]
ん?
俺は自分の身体が強くなったのを感じた。
なんなんだ、これ?
[どうやら、より多くの人があなたを信じれば信じるほど、あなたの力も強くなるみたいだね?]
そう思うか、レナ?
[分からないけど、そうみたい。前を見て。]
俺は顔を上げた。
兵士たちは互いに笑いながら、ドランと同じように、俺の攻撃のかわし方を真似しようとしていた。
初めて、誇らしいと思った。
「ドラン!」
彼がこちらを振り向いた。
「はい?」
「少し休んでこようと思う。あとでまた訓練を続けられるように、体を休めておきたい。」
「分かりました。ゆっくり休んでください、若様。」
ああ、「若様」に戻ったのか。
少しは彼らとの距離が近くなったとはいえ、彼らは依然として俺を自分たちより上の立場の人間だと考えている。
本当に強くなりたいのなら、彼らには俺を指揮官として見てもらう必要がある。
[まだやるべきことはあるね……]
俺は痣だらけになった腕を見つめ、呟いた。
「そうだな。」
俺は建物の中へ戻り、部屋へ戻るために階段へ向かった。
「お腹は空いていませんか?」
俺は振り返り、階段の下にいたリゼを見た。
「いや、あとで食べるよ……午後も訓練を続けられるように、今は休みたい。」
「あ……そうですか。」
少し残念そうに見えた。
それが申し訳なく感じた。
「訓練に戻る前に、ちゃんと少し食べに来るから!」
彼女の笑顔が少しだけ戻った。
「ゆっくり休んでください。」
「ありがとう。」
部屋に入ると、俺は扉に鍵をかけ、ベッドに腰を下ろした。
戦いの出来事が頭の中を駆け巡っていた。
実のところ、そこまで疲れてはいなかった。
少なくとも、昼寝をするほどではない。
俺には理解したいことがあった。
戦いの間に起きたことを、一つ一つ思い返した。
ドランの蹴り。
ギリギリのところでかわした攻撃。
そして、これ。
俺はあの瞬間に感じた感覚へ意識を集中させようとした。
もう一度、あの温かさを感じる必要があった。
あの高揚感を……。
[システムがあなたの決意に反応しています。]
[スキル「MONARCH'S FLAME(Lv.2)」が発動しました。]
直後、猛烈な熱が身体の隅々まで広がっていくのを感じた。
俺はその感覚に顔をしかめた。
痛いわけではない。
だが、身体の内側から焼かれているような感覚だった。
本当に焼かれたことなんてなかった。
それでも、ただ想像するだけで身体がすくんでしまうほどだった。
[ゆっくりでいいよ、カエル。]
「分かってる……」
黒い亀裂が次々と腕に浮かび上がっていった。
おそらく、身体の他の部分にも現れているのだろう。
額から汗が大量に流れ始めた。
俺はベッドの木製の縁を手で掴み、力いっぱい握りしめた。
まるで力を与えられたと思った瞬間、それをすぐに奪われているようだった。
ひどく不快だった。
俺はスキルを解除した。
突然、システムの拘束から解放され、俺は激しく息を吸った。
俺は部屋の窓へ駆け寄り、大きく開け放つと、外から入ってくる新鮮な空気を何度も胸いっぱいに吸い込んだ。
[大丈夫?]
これよりひどくはない。
呼吸が落ち着くと、俺は再びベッドに座り、もう一度始めた。
この過程を二時間繰り返した。
残念ながら、スキルには何の成長も見られなかった。
変わったように思えたのは、問題なくスキルを発動したり解除したりできるようになったことだけだった。
また、その感覚も以前より不快ではなくなっていた。
おそらく、時間とともに慣れてきたのだろう。
午後二時を少し過ぎた頃だった。
暑くなりすぎて脱いでいたシャツを再び着ると、俺は階下の厨房へ向かった。
部屋に入ると、リゼが振り返り、驚いたように俺を見た。
「まあ! さっきよりさらに疲れ切った顔をしているじゃないですか!?」
彼女はエプロンのポケットから布のハンカチを取り出し、俺のほうへ駆け寄ってきた。
俺は一歩後ずさったが、疲れすぎて彼女に抵抗する気力すらなかった。
彼女は俺の顔を掴むと、ハンカチで額を勢いよく擦った。
それから頬や顔まで拭いていく。
本当に、母親みたいだ。
「まったく、あなたは……」
彼女はため息をついた。
そして一皿の料理を指差した。
「あなたのために食事を残してあります。」
俺は彼女に笑いかけた。
「ありがとう。」
俺はテーブルに座り、食事を取った。
食べ終えると、俺は中庭へ向かい、ドランたちと訓練をするために戻った。
ドランは俺を自分や他の兵士たちと何度も決闘させた。
何度も。
何度も。
そのほとんどで俺は負けた。
あと少しで勝てそうなものもあったが、勝てたのはたった二回だけだった。
俺は疲れすぎていて、まともに攻撃をかわすことも、自分のスキルに頼ることもできなかった。
一方、ドランたちは戦いに慣れていた。
俺には、彼らが疲れることなどないように見えた。
そうして、訓練とドランの指導を繰り返すうちに、日々はあっという間に過ぎていった。
彼は正しい足運びを教えてくれた。
そして、戦闘中に剣だけに頼らないことも。
さらに、少しだけ魔法も教えてくれた。
兵士が魔法を使うことはほとんどないらしいが、ドランには占い師として働いている叔母がいるらしかった。
彼女から魔法の基礎を教わっており、それを今度は俺に教えてくれた。
理論としては知っていたものの、実際に使ったことは一度もなかった。
そこで彼は、剣にエーテルを纏わせて、より強く、より速くする方法を教えてくれた。
まるで空気に逆らって進むのではなく、剣が空気そのものをすり抜けていくようだった。
日が経つにつれ、俺たちの関係はさらに深まっていった。
そして彼は、俺を「若様」と呼ぶのをやめ、くだけた呼び方をするようになった。
絶え間ない訓練によって、俺のスキルもさらに一段階上がった。
スキルの制御もうまくなった。
今では、初心者としてはそれなりにまともな剣術と戦闘能力を身につけていた。
少なくとも、恥をかかずに済む程度には。
そして、試験の日がすぐにやってきた。
土曜日の朝、リゼが夜明けとともに全員を起こした。
俺たちは朝食すら取らずに、中層の中心部へ向かって出発した。
そこには巨大な塔がそびえ立っていた。
その外周は数キロメートルにも及び、まるで空そのものを貫いて上層階へ届いているかのようだった。
俺は独り言のように呟いた。
「ここが、塔の中心……」




