騎士団の騎士 一 【王の責務、五】(3)
私はこの任務に、多少なりとも自分の意思に反して引きずり込まれた。そして、もう後戻りはできなかった。
たとえ、そうしたいと思っていたとしても。
私はいつも、この瞬間が嫌いだった。
たった一つの家族のもとを離れる、その瞬間が。
かつては、この瞬間が訪れることへの恐怖に体がすくんでいた。
だが、不思議なことに、今回はそうではなかった。
私は何の恐怖もなく受け入れていた。
私にとってはあまりにも珍しいことだったため、その日の残りの時間を上機嫌で過ごし、そのまま眠りについた。
翌日、私たちは夜明けとともに出発した。
ほとんど実戦経験のない護衛が数名、動員されていた。
叔父に引き取られて以来、私の身の回りの世話をしてくれているメイドのリゼもそこにいた。
彼女はいつも私のそばにいてくれた。
馬車に乗り込む前、私たちの目が合った。
なぜなのかは分からなかったが、彼女は輝くような笑顔を浮かべていて、今にも泣き出しそうに見えた。
私は彼女のそばで足を止めた。
「だ、大丈夫なのか、リゼ?」
彼女はかすかに微笑んだ。
「はい……若様。大丈夫です。」
私はなんとか彼女の目をじっと見ようとしたが、その表情を読み取ることができないまま、馬車へ乗り込んだ。
リゼもその後に続いて乗り込み、私の向かいに座った。
外から鋭い鞭の音が響き、馬車はゆっくりと動き始めた。
窓から、私は屋敷が遠ざかっていくのを眺めた。
大きな黒い門が金属の軋む音を立てながら開き、馬たちが正門前の広場を出ていく。
セバスチャンは屋敷の階段のそばに立ち、腕を組んでいた。
出発のとき、彼は何も言わなかった。
ただ、何かを気にしているのに、それをどう表現すればいいのか分からないときに時々見せる、あの無言の表情を浮かべていた。
その隣では、叔父がわずかに手を上げて別れを告げていた。
私も同じように手を上げた。
彼から本当に見えているのかは分からなかったが、そのまま馬車が曲がると、屋敷は木々の向こうへと消えていった。
静寂が訪れた。
車輪が道の石を踏む、かすかな軋みだけが聞こえる。
リゼは膝の上で両手を組んでいた。
いつものように黒と白の制服は完璧にアイロンがかけられていたが、何かが彼女の姿勢をいつもとは違うものにしていた。
私は窓の外へ視線を逸らした。
リゼがわずかに顔を上げた。
「何かおっしゃいましたか、若様?」
「いや。」
「……あ。」
すぐに沈黙が戻った。
私は心の中でため息をついた。
馬車の窓から、景色がゆっくりと流れていく。
屋敷の近くにあった舗装された道はすぐに荒れた土の道へと変わった。
進めば進むほど、木々は密集していき、長く伸びた枝が時折、空を完全に覆い隠していた。
屋敷から遠く離れると、空気は冷たく感じられた。
それに、重かった。
私は何気なく剣の柄頭に手を置いた。
[何か感じる?]
ああ。
どう説明すればいいのか分からなかった。
あの事件以来、時々こういう嫌な感覚を覚えることがあった。
まるで、頭で理解するより先に皮膚が反応しているかのような感覚。
本能に近いものだった。
馬車が木の根を踏み越えてわずかに揺れ、リゼがほとんど気づかないほど小さく身を震わせた。
私の視線が彼女へ向いた。
「本当に大丈夫なのか?」
彼女は無理に笑顔を作った。
「はい、ル……若様。少し……緊張しているだけです。」
「緊張?」
「こんなに長い間、屋敷を出るのは初めてですから。」
私はゆっくりとうなずいた。
それなら納得できる。
彼女の声に何かおかしなものを感じたとしても。
彼女は目を伏せた。
旅はその後も数時間続いた。
騎馬の護衛たちは馬車を取り囲んでいたが、互いにほとんど言葉を交わさなかった。
本当に若かった。
何人かはおそらく私と同い年か、少し年上という程度だった。
その動きから、彼らの緊張が伝わってきた。
絶えず森を確認する仕草。
武器のすぐそばに手を置き続ける姿。
彼らも恐れていた。
太陽がゆっくりと沈み始めた頃、隊列は白い石に縁取られた小さな川の近くで止まった。
馬車の車輪の一つが、危険なほど軋み始めていた。
護衛隊の隊長であるドランという名の騎士が馬から降り、馬車の扉へ近づいてきた。
彼はガラス窓を叩き、リゼが窓を開けた。
彼は私に声をかけた。
「少し休憩を取ります、若様。」
私はうなずき、馬車を降りるために立ち上がった。
冷たい空気がすぐに顔を打った。
水の流れる音が心地よかった。
何時間も馬車の中に閉じ込められていた後、ようやく自由に動けることが信じられないほど気持ちよかった。
私はしばらく大きく伸びをした。
そのとき、何かが私の注意を引いた。
森が静かだった。
鳥の声もない。
虫の音もない。
葉が擦れる音すらない。
風さえも消えているようだった。
背筋に悪寒が走った。
[カエル。]
分かってる。
おそらく私の表情に気づいたのだろう。
ドランが心配そうな顔でこちらへ歩いてきた。
「どうかしましたか、若様?」
私は木々の間へ視線を走らせた。
「この森……静かすぎると思わないか?」
騎士は眉をひそめ、森へ振り向いた。
「静か?」
彼の視線がゆっくりと木々の群れへ向けられたままになるにつれ、その表情もわずかに変化した。
他の護衛たちも、おそらく空気の変化を感じ取ったのだろう。
周囲を見回し始める。
見えない緊張が一行の間に広がっていった。
右手から軋むような音が聞こえた。
リゼも馬車から降りてきていた。
「何が起きているんですか?」
すぐには誰も答えなかった。
その瞬間、森の中から枝が折れる音が響いた。
そして、もう一度。
まるで何か重いものの下で、枝がゆっくりと押し潰されているかのようだった。
若い護衛たちはすぐさま剣を抜き、怯えた目で森を見つめた。
ドランは手を上げ、力強く大きな声で命じた。
「馬車を中心に陣形を組め!」
彼は若かった。
だが、この場にいる誰よりも経験があった。
音が近づいてくる。
ゆっくりと。
確実に。
バキッ。
バキッ。
バキッ。
筋肉が強張り、喉が締めつけられるのを感じた。
[人間じゃない。]
ありがとう。
それはもう分かっていた。
そして突然、その音がぴたりと止まった。
再び森に静寂が落ちた。
護衛の一人が大きく唾を飲み込んだ。
私は彼のほうを向いた。
彼の手は震えていた。
彼は木々の間にある何かを見つめているようだった。
「ド、ドラン卿……」
何かが動いた。
巨大な影が、ゆっくりと木々の間から姿を現した。
細長い体躯。
そして、堂々とした巨体。
四本の長く力強い脚。
息が喉に詰まった。
鹿だった。
いや……
かつて鹿だったはずの何か。
その体は鹿にしてはあまりにも巨大だった。
皮膚は最も分厚い鎧よりもさらに厚く見えた。
長い赤い亀裂が首から腹部にかけて走っている。
まるで死んだ肉の下で、残り火が燻っているかのようだった。
傷口からは黒く粘ついた液体が流れ出していた。
そして、その目は……
その目は、空虚な白い光を放っていた。
馬の一頭が恐怖に満ちた嘶きを上げた。
[カエル……下がって。]
怪物はゆっくりとこちらへ頭を向けた。
そして、口を開いた。
おぞましい叫び声が森を引き裂いた。
動物の叫びではなかった。
人間の叫びだった。
護衛たちはすぐにパニックに陥った。
「なんだ、あの化け物は!?」
「来るぞ!」
「若様を守れ!」
鹿は突然、こちらへ飛びかかった。
誰も反応できないほど速かった。
黒い塊が一瞬で距離を詰め、そのまま護衛の一人へ激突した。
骨が砕ける音が空気に響いた。
若い男の体は凄まじい勢いで木へ叩きつけられ、血が幹に飛び散った。
世界が私の周囲でゆっくりになったように感じた。
叫び声。
馬。
剣。
恐怖。
すべてがぼやけていく。
脚が震えていた。
もうまともに息をすることすらできなかった。
怪物が私へ振り向いた。
白い目が、まっすぐ私の目を捉えた。
まるで私の存在の奥底を探ろうとしているかのように。
そいつが私の記憶へ入り込んでくるのを感じた。
恐怖へ。
欲望へ。
そして……
頭の中で声が囁いた。
[燃やせ。]
私は凍りついた。
……何?
[燃やせ。]
突然、激しい熱が右腕を駆け抜けた。
私は視線を落とした。
赤い線がゆっくりと皮膚の下に浮かび上がっていた。
生きているかのように脈動している。
まるで、光を放つ亀裂のようだった。
怪物の視線が、一瞬だけ変化したように見えた。
そして、怪物は視線を逸らした。
ドランが何かを叫んでいる。
だが、その声はすぐには届かなかった。
アドレナリンの奔流の中で、ほとんど何も聞こえない。
チンッ!
目の前に光るウィンドウが現れた。
[条件達成。]
[一時的な権限が付与されました。]
[部分解放:MONARCH'S FLAME]




