インキュバス 一 【観察者を追え、???】(11)
熱が体を満たした。
筋肉が緊張した。感覚のない体をエーテルが駆け巡るのを感じた。
前に踏み込み、斬りかかった。
アイザックは受け流した。
しかし今度は、俺の一撃で彼はわずかによろめいた。
たった一歩だったが、それでも意味はあった。
彼は微笑んでから再び突進してきた。
「前からお前に隠し玉があると思っていた」
彼の攻撃を剣で容易く受け流しながら、思わず笑みがこぼれた。
打ち合いは一度ごとに激しさを増した。
受け流した。
かわした。
斬りかかった。
だが、技量にもかかわらず、俺は依然として常に彼より一歩遅れていた。
負けていた。
少しずつ。
呼吸はどんどん荒くなっていった。
脚は震えていた。
体の中の熱は消えかけていた。
今度はアイザックが横に踏み出して俺の剣を避け、体を密着させて耳元でささやいた。
「俺は昔から相手を読む才能があってな。今のお前が終わっているのが分かる!」
彼の足が激しく俺の腹に叩き込まれ、一瞬で息が止まった。
痛みは想像を絶するものだった。血を吐き始め、地面にうずくまるように倒れ込んだ。
群衆は静まり返っていた。
アイザックは再び俺に身をかがめて話しかけた。
「終わりだ、カエル。棄権しろ」
彼は剣の先を俺の腹、つい今しがた彼が打ち込んだ場所に当てた。
「お前は辺鄙なところにある自分の穴に這い戻り、なぜここに参加するなどという過ちを犯して、家族に恥をかかせたのかを説明するんだな」
「ぐああっ!」
剣の先が俺の腹部に数センチ突き刺さった。
痛みが限界を超え、地面に倒れ伏した。
アイザックもしゃがみ込むのが感じられた。
目を上げて彼と向き合った。
彼は首を傾げ、嘲るように俺を見ていた。
「俺がウルク皇帝として最初に出す勅令が何か知りたいか? ああ? お前の哀れな国を属州に格下げし、お前とお前の民を追放刑にして、二度と俺の領土でお前を見なくて済むようにすることだ」
彼の拳が顔に飛んでくるのを目にする間もなく、すべてが完全に暗くなった。
「カエル……」
遠い声が届いた。
手足の感覚はもうなく、なぜうつ伏せに倒れているのか。
ああ、そうだ、トーナメント。
負けたのか。
いや、アイザックに気絶させられた。
「カエル!」
何だ? どれくらい気を失っていた?
「立て!」
目がゆっくりと開いた。
アイザックはまだ俺を見ていた。
気を失ってからほんの数秒しか経っていないに違いない。
小さな男の子が……
彼らは俺の名前を叫んでいた。
静まり返った群衆の中、男の声が響き、小さな男の子の叫びにこだました。
「立て!」
数秒の沈黙が続いた。
それから別の人が加わった。
「カエル!」
そしてまた別の人が。
「カエル!」
そしてまた。
「立て!」
見知らぬ人々。
「立て! 立て! 立て!」
何千人もの見知らぬ人々。
彼らは俺を信じていた。
心の奥底で何かが変わるのを感じた。
[非常に多くの人々があなたを信じています。]
[あなたの君主の威厳が増加します。]
[条件を満たしました!]
熱が突然戻ってきた。まるで最初からそこにあったかのように。
長い夜の眠りから目覚めたばかりのように、筋肉が引き締まるのを感じた。
疲労はすべて消え去っていた。
心臓が軍鼓のように全速で鼓動するのを感じた。
一度。
二度。
ドン。
熱の波が体を駆け抜けた。
亀裂が両腕に現れた。今まで以上に顕著に。
それらは燃えていたが、痛みはなかった。
まるで内側で何かが目覚めたかのようだった。
アイザックは止まった。
彼の笑みは消えた。
「何だ……」
俺は地面を全力で蹴り、空中へと飛び上がった。
慣れていないせいで、力を入れすぎたかもしれない。
両足で重く着地し、わずかによろめいた。
アイザックに向かって剣を上げた。
脚は軽く感じた。
体は違って感じた。
より速く。
より強く。
群衆の声が聞こえた。
すべての声。
すべての叫び。
すべての拍手。
それらは一つになっていた。
一つの巨大な意志。
俺はもう一人ではなかった。
一歩また一歩と、アイザックに近づいた。
彼は攻撃してきた。
受け流した。
彼の刃を押しのけた。
そして斬りかかった。
アイザックはかろうじてかわした。
軸足を返した。
俺の刃が彼の顔の数センチを通過した。
彼は後退した。
一歩。
二歩。
三歩。
群衆が吠えた。
「カエル!」
もう何も考えていなかった。
計算もしていなかった。
体が勝手に動いていた。
生まれ持った才能に駆り立てられるかのように。
何千人もの人々が俺の名前を叫んでいた。
アイザックが再び突進してきた。
彼の疲労がほとんど感じ取れた。
剣を上げた。
刃と刃が衝突し、アイザックの剣は結晶のような音を立てて粉々に砕け散った。
突然、競技場に静寂が降りた。
俺は微動だにしなかった。
彼の刃の破片が地面に落ちた。
カラン。
アイザックは折れた剣を見た。
それから、今や首元から数センチしか離れていない俺の剣へと目を上げた。
彼はぎこちない笑みを浮かべた。
「……お、お前の勝ちだ」
審判は数秒沈黙した。
それからゆっくりと腕を上げた。
「カエルの勝利!」
競技場が爆発した。
もう何も聞こえなかった。
ただ観客席に立つ何千人もの人々が見えた。
彼らは叫んでいた。
拍手していた。
俺の名前を唱えていた。
「カエル!」
「カエル!」
「カエル!」
突然、脚が震えるのを感じた。
久しぶりに……
俺は何かに勝ったのだ。
勝ちたいと思っていた。
まさにその瞬間、警戒を解いたその瞬間、景色は白黒になり、時間が止まったように思えた。
途方もない気配がどこからともなく現れた。
振り返ってそれと向き合うと、背筋に震えが走った。
そこ、闘技場の片隅に……
巨大な角を持つ牡鹿が静かに俺を見つめていた。
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