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インキュバス 一 【観察者を追え、???】(7)

外とは違い、その通路は静かで冷たかった。


暗い通路に足を踏み入れると、体が震えた。


闘技場の内側通路はそれを取り囲むように続いていた。そこへ通じる扉は側面にわずかしかなかった。あいつは遠くにはいないはずだった。


遠くで、重い足音が石壁に反響するのが聞こえた。


走り出すと、冷たい空気が肺に流れ込み、内側から焼いた。


時折、席を立って競技者の名前を叫んだり歓声を上げたりする観客のこだまが通路に流れ込んできた。


人影の足音はどんどん遠ざかっていくように思えたので、さらに速度を上げた。


通路の冷たさにもかかわらず、額に汗がにじみ始めた。


足音はまだ前方で響いていた。


ゆっくりと、一定の調子で。


まるでその主はまったく急ぐ必要がないかのように。


歯を食いしばった。


俺がほぼ全力で走っているのに、なぜあいつはあんなに落ち着いて歩いていられるのか。


通路はわずかに右へ曲がっていた。


角を曲がると、ついにその姿を捉えた。


黒い人影。


俺の五十メートルほど前を歩いていた。長い黒い外套が石の床に触れていた。白い仮面がまだ顔を覆っていた。


俺は速度を落とした。


何かがおかしかった。


追跡を始めてからずっと、相手が速度を上げるか、消えようとするかを予想していた。


だが彼はどちらもしなかった。


ただ歩き続けた。


まるで追われることを望んでいるかのように。


まるで俺を待っているかのように。


その考えに、俺はさらに速度を落とした。


リーン……


[ええ]


お前もこれが変だと思うか。


[どの部分が?]


逃げようとしていないことだ。


[ええ、そうね……]


それでも知りたい。


俺は先へ進んだ。


体のあらゆる繊維が何かがおかしいと告げていた。


それでも脚は前へ動き続けた。


答えが欲しかったからだ。


塔に着いてからずっと、この人影はあちこちに現れていた。


広間に。


観客席に。


そして今ここに。


通路は突然、これまで見てきたものとはまったく違う広大な円形の部屋へと開けた。


俺は急に立ち止まり、息を整えようとした。


部屋は、中央に微動だにせず立つ人影を除けば空だった。


彫像のように。


数秒間、どちらも動かなかった。


それからリーンの声が頭の中に響いた。


[カエル]


……


[私、ここ嫌い。離れましょう]


彼女の言いたいことは分かった。


でも知る必要があった。


突然、人影が動いた。


不意を突かれ、帯に手を伸ばしたが、闘技場にいたときのように剣を帯びていないことに気づいた。


人影から目を離さずに見つめながら、筋肉が緊張した。


彼はゆっくりと手を上げた。


そして仮面を外した。


その下に見えたものに、俺は凍りついた。


三十代ほどの、黒い髪と灰色の目の男だった。


まったく平凡な顔立ち。


それなのに、その視線の何かが即座に背筋を冷たくさせた。


そこには感情がなかった。


怒りもなかった。


憎しみもなかった。


軽蔑すらなかった。


虫を見る男の目だった。


彼にとって、俺はただの物体でしかなかった。


やがて偽りの笑みが彼の唇に浮かんだ。


「正直、驚いたよ」


彼の声は落ち着いていた。


ほとんど優しく。


ほとんど聞いていて心地よいほどだった。


「本当に俺の後をつけてくるとは思わなかった」


俺は片手を前に上げたままだった。


「あんたは誰だ?」


男はわずかに首を傾げた。


「もっともな質問だ」


彼の笑みは広がった。


「だが残念ながら、無意味な質問だ」


奇妙な圧力が突然部屋を満たした。


全身が緊張した。


アルドリックに会ったときのように。


森でのように。


あの怪物と向き合ったときのように。


しかしもっと悪かった。


はるかに悪かった。


自分の重みで脚が折れそうになった。


立ったままでいるために歯を食いしばらなければならなかった。


男は俺の反応に気づいたようだった。


「面白い」


彼の目がわずかに細められた。


「思ったより抵抗するな」


冷や汗が背中を伝った。


この男は誰なのか。


いや。


本当の問いは別のものだった。


こいつは何なのか。


この部屋のすべてが、彼が普通ではないと叫んでいたからだ。


彼の周りの空気すら重く感じられた。


まるで現実そのものが彼の存在を拒んでいるかのようだった。


何かが目の前に現れた。


チン。


システムの窓。


[極度の危険を検出しました。]


[生存確率:0.3%]


血が凍った。


0.3%?


男はその窓を見た。


それから笑みを広げた。


「ああ」


彼は面白がっているようだった。


「君にもそれが見えるのか」


心臓が一瞬止まった。


彼は窓を直接見ていた。


まるで彼にもそれが見えるかのように。


[カ、カエル……]


彼女の声は震えていた。


彼女を知ってから初めてだった。


[カエル]


……


[に……]


彼女は文を最後まで言わなかった。


何かが彼女を遮ったかのように。


男は俺の方へ一歩踏み出した。


すると即座に、五感すべてが最高警戒に入った。


[インキュバスがあなたに興味を持ちました。]


男は止まった。


彼の笑みは即座に消えた。


初めて、彼の顔に感情が走った。


彼は笑い出した。


まるで世界で一番面白い冗談を聞いたかのように。


「信じられない」


彼の灰色の目が俺を捉えた。


「本当に信じられない」


本能的に、俺は一歩後退した。


男は手を上げた。


ただそれだけだった。


詠唱もなかった。


特別な動きもなかった。


俺の後ろの壁が爆発した。


ドン!


爆風が俺を数メートル先まで吹き飛ばした。


土煙の中で床を転がった。


耳が鳴り、腕が痛みで脈打った。


必死に頭を上げようとした。


男は動いていなかった。


相変わらず落ち着いたままだった。


あの壁を吹き飛ばすことがまったく努力を要さなかったかのように。


原始的な恐怖が俺を捉えた。


男はわずかに首を傾げた。


「お前は存在すべきではない、カエル」

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