インキュバス 一 【王の責務、五】(6)
コロシアムの中央通路は、参加者と観客と役人で混雑していた。
第一段階の試合はまだ闘技場で続いており、ロデリックに勝ったという噂は、試合を直接見ていない者たちの間にも野火のように広がっていた。
「見ろ、あいつだ」
「ブリテン家のあの男……」
「ロデリックの剣を折ったんだ。一撃で」
「ありえない。ロデリックは塔で二十本の指に入る剣士だったはずだ」
ささやきが俺を取り囲んだ。称賛を含むものもあれば、疑いを含むものもあった。俺は頭を高く保ち、視線をまっすぐ前に固定した。リーズは俺の左側を無言で歩いていた。彼女の存在が俺を安心させた。
塔の心臓部に到着してから、彼女はほとんど俺の側を離れたことがなかった。
彼女が何も言わなくても、その存在だけで心の中で荒れ狂う混乱の一部が静まることが多かった。
しかし今日は、それさえあまり効果がないようだった。視線を感じた。どこにでもあった。
まるで俺の勝利が突然、俺の名前を何か興味深いものに変えてしまったかのようだった。
通路を進めば進むほど、俺たちが通ると会話が止まった。
貴族の一団が振り返った。
参加者たちはわずかに道を開けた。
衛兵でさえ、以前よりも注意深く俺を観察しているようだった。
すべてはたった一つの試合のせいだった。俺はロデリックのことを考えた。
彼の刃が砕けた瞬間を。
彼の顔を横切った信じられないという表情を。
体を満たした熱を。
俺は無意識に拳を握りしめた。
あの試合は紙一重で勝ち、結局負傷した。
叔父の役に立ち、我が家の価値を証明できるほど長く持ちこたえるには、もっと上手くやる必要があった。ずっと上手く。
その日の残りは、正午まで闘技場での試合で区切られながら続いた。
太陽が頂点に達すると、暑さが増してきた。
分厚い赤い天蓋が観客の上に張られ、日差しから彼らを守った。闘技場で戦う競技者だけが、燃えるような日差しの下にさらされたままだった。
大きな赤い布が風でゆっくりと揺れ、観客の上に動く影を落としていた。
俺は額に手をやった。日陰でも、暑さは耐え難かった。
訓練の日々の間に蓄積された疲労は消えていなかった。
「これ」
俺は顔を向けた。リーズが水の瓶を差し出していた。
受け取った。
「ありがとう」
彼女は数秒間俺を見た。
俺は冷たい水を長く一口飲んだ。不思議なほど冷たかった。
わずかに眉をひそめた。
「この暑さでどうして冷たいままなんだ?」
リーズは視線をそらした。
「ちょっとした付与魔法よ」
「いつからそんなことができるんだ?」
「あなたが知らないことはたくさんあるわ」
「は?」
彼女はまばたきした。
それからわずかに首を振った。
「つまり……誰かに教えてもらったの」
声が競技場に響いた。
「次の試合!」
光る板が変わった。
いくつかの名前が消え、別の名前が現れた。俺の視線はすぐにその一つに止まった。
カエル[ブリテン] 対 エレナ・ヴォス[ヴァロリア]
観客席に軽いざわめきが広がった。俺は立ち上がった。
リーズはすぐに俺を見た。
「気をつけて」
俺は微笑んだ。
「そうする」
「もっと本気で」
俺は笑い声を漏らしてから闘技場へ向かった。
今度の相手は女だった。長い三つ編みにした赤毛の若い女だった。二十代に見えた。俺よりずっと年上だった。
唾を飲み込んだ。
短剣が腰に下がっていた。しかし俺の注意を引いたのはそれではなかった。彼女の背中の後ろに浮かぶ三つの金属の輪だった。
それらは彼女の周りをゆっくりと回転していた。惑星を周回する衛星のように。
彼女が闘技場に足を踏み入れると、数人が拍手した。
観客の反応からすると、群衆はすでに彼女の名を知っているようだった。
審判が手を上げた。
「位置につけ」
俺はエレナから妥当な距離で立ち止まった。
彼女は俺に微笑んだ。
一見温かかったが、その笑みには本当の感情が何もないように見えた。
「ロデリックを倒した少年はあなたね?」
俺は頷いた。
「そして君は最初の試合で壁を吹き飛ばした人だ」
彼女は笑った。
「私の評判は私より先に広まっているのね」
審判はため息をついた。
「会話は試合後に取っておけ」
俺たちは従い、無言で互いの目を見つめた。
審判が合図した。
「始め!」
エレナの背後の輪はすぐに光り、彼女の背後から前方へと移動して浮かんだ。
青みがかったフィラメントが表面に現れた。
俺は即座に危険を感じた。
本能的に横へ飛んだ。
ドン!
一瞬前に立っていた場所で爆発が起きた。
闘技場を構成する石が衝撃の力で砕け散った。
群衆は息を呑んだ。
俺は地面を激しく転がってから立ち上がり、すぐに再び横へ跳んだ。
第二の爆発が起きた。
そして第三の。
彼女は俺に息をつく暇を与えなかった。飛び道具は降り注ぎ続けた。
エレナはゆっくりと俺の方へ歩き続け、彼女の輪が彼女のためにすべての仕事をしていた。まるで何十もの見えない手を持っているかのようだった。
俺は走り、跳んだ。
また。
また。
爆発のたびに闘技場が揺れ、観客が吠えた。
彼女に近づくことすらできなかった。俺にできる唯一のことは、彼女の輪を最後の瞬間にかわすことだけだった。
爆発が突然止み、息を整える機会ができた。
俺は疲れ切っていた。
「かわすのが上手いのね」
俺は息の合間に答えた。「ありがとう!」
「返事が来るとは思わなかった」
彼女の唇に笑みが浮かび、輪が再び俺に向かって放たれた。
それから彼女は手を上げた。
三つの輪はますます速く回転し始めた。
俺の本能は即座に叫んだ。
[危険]
俺は後方へ跳んだ。
巨大なエーテルの槍が、俺が立っていた空間を貫いた。飛び道具はそのまま進み、頭上にある競技場の障壁に当たった。
魔法の防御が衝撃で震えた。
群衆は静まり返った。
エレナは俺に微笑んでいた。彼女も俺と同じくらい、あの攻撃が当たっていたら戦いはもう終わっていたと分かっていた。
彼女が捕食者で、俺が獲物だった。その序列に疑いはなかった。
[カエル]
分かっている。
俺は深く息を吸った。
それからゆっくりと手を前に上げ、あの慣れ親しんだ温もりを心の中に形作ろうとした。
あの炎を。
俺の奥深くに。
魂の内側に埋もれたものを。
何日も成長し続けてきたものを。
[スキル『君主の炎』(Lv.5)が発動されました。]
熱の波が体を満たした。
黒い亀裂が皮膚の下に現れた。
筋肉が引き締まり、硬くなった。
世界が周りで遅くなったように見えた。
体を満たす温もりに比べれば、すべてが遠く感じられた。
目を開けると、エレナが俺を見つめていた。
彼女の目は見開かれた。
「何……あなたの気配!?」
地面が俺の足下で爆発した。俺は彼女に向かって飛び出し、俺たちの間の距離を一秒で横切った。
戦いが始まって以来初めて、彼女の笑みが消えた。
彼女の輪は彼女の前に再配置された。
俺の剣が先に打ち込まれた。
金属の輪にひびが入った。
俺は片足をしっかりと地面に踏みしめ、エーテルの一部を剣から支えの脚へと移した。
全力で押し込んだ。
エレナは輪の間隔を狭めた。「何が……」
剣の金属にまとわりつくエーテルが、圧力の変化をすべて感じ取らせてくれた。彼女の輪がますますひび割れていくのを感じた。
残りのエーテルを脚に移し、さらに強く押した。
パキッ!
輪が砕けた。
不意を突かれ、エレナはバランスを立て直せずに後方へ倒れた。
熱が血管の中で轟き、まるで何かが深くで笑っているかのようだった。
エレナの顔は青ざめていた。
「あなたは何なの……」
俺は彼女に最後まで言わせなかった。
倒れる彼女に剣が追いつき、喉元の数センチ手前で止まった。
静寂が競技場に降りた。
審判が手を上げた。
「勝利はカエル!」
拍手が爆発した。俺はすぐに後退した。
熱はすでに消え始めていた。
力が体から抜けていくと、脚が震え始めた。
俺は体調を隠すために最善を尽くした。立ち上がるエレナの方を見た。
彼女は俺の脚をじっと見つめていた。
彼女は数秒間俺を見た。それから微笑んだ。
「あなた、気を失うわよ」
「そうならないことを願うよ……」
「本気よ」
俺は微笑み、自信を持って答えた。
「俺も本気だ」
二人とも吹き出した。
エレナは闘技場を去る前に俺に敬礼した。
観客席の下に戻ると、壁にもたれかかった。
脚が重く感じられた。
窓が目の前に現れた。
[条件を満たしました。]
[君主の威厳 +1]
俺は眉をひそめた。
またあの威厳か。
深く考える前に、別の窓が現れた。今度は赤かった。
[隠しクエストを検出しました。]
[観察者を観察せよ。]
[受諾。]
「は?」
窓は即座に消えた。
横から何かが俺を見ているのを感じた。
顔を上げ、その光景に眉をひそめた。
通路の突き当たりで、黒い服を着た動かない人影が俺を見ていた。
心臓が一瞬止まった。
到着したときと同じように。
また。
しかし今度は、その人影はじっとしていなかった。
それはゆっくりと手を上げた。それから背を向け、歩き去り始めた。
[隠しクエストを受諾しました。]
「は?!」
[観察者を追跡せよ。]
「受諾した覚えはない!」
[他の選択肢はありません。]
……
[幸運を祈ります。]
おまけに皮肉なシステムまで。
通路の突き当たりでは、仮面の人影はすでに角の向こうに消えていた。そして頭の中で警鐘が鳴り響いているにもかかわらず……
俺はそれを追い始めた。




