インキュバス 一 【王の責務、五】(5)
コロシアムの診療所は長いアーチ型の廊下で、冷たく静かで、闘技場の熱狂から遠く離れていた。
石壁が群衆の遠い叫びを吸収し、それは遠くの岸に打ち寄せる波音のような、くぐもったこだまに過ぎなくなっていた。
リーズは俺を壁に沿って並べられた間に合わせの寝台の一つに座らせ、インクと霊薬で指を染めた老医師が、無言で俺の前腕を調べていた。
彼の眉は、まだ肌に走る亀裂の上に手のひらをかざしたとき、ひそめられた。
「これは……珍しい」彼は、俺たちにというよりも、自分自身に向けてつぶやいた。
俺は答えなかった。
痛みはまだ腕に脈打っていたが、耐えられる程度だった。
システムは、発動中に受けたダメージは一部が残存する力へと変換されると言っていた。それが正確に何を意味するのか疑問だった。骨が以前より強く再構築されているのか? それとも炎が単に自分の力を燃やすために俺の肉体を食べているのか?
どちらの可能性も特に安心できるものではなかった。
「自分の顔を見るべきよ」
リーズは俺の向かいの壁にもたれかかり、腕を組んでいた。
俺は彼女を見上げた。彼女は叔父の屋敷に来てからずっと知っている、おなじみの曲がった笑みを浮かべていた。
気遣いを軽やかさの仮面の後ろに隠したいときに使う笑みだった。
「死に損ないの死体みたいよ」
「ありがとう。まさに聞きたかった言葉だ」
彼女は小さく笑ったが、その笑いはすぐに消えた。
彼女の指が腕を叩いていた。隠し切れない神経質な癖だった。
「ロデリックは手加減していなかったんでしょ? 戦いの始め。本当にあなたを殺すつもりだったように見えた」
俺はゆっくりと頷いた。
「手加減はしていなかった」
リーズの指が止まった。
「彼に別の意図があったと思う?」
「分からない。大貴族は普段、我が家のような小さい家など気にもかけない。単に楽しみたかっただけかもしれない……」
続いた沈黙は重かった。
治癒師は作業を続け、会話には無関心のようだったが、リーズの手がわずかに震えているのがはっきりと見えた。
「カエル」
彼女の声はより低く、ほとんどささやきだった。
「それが何を意味するか分かっているわよね?」
分かっていた。
もちろん分かっていた。
塔は単なる政治機関ではなかった。
そこは毒蛇の巣だった。
あらゆる貴族家が影響力を得ようと駒を動かす政治的なチェス盤だった。
ブリテン家は最も有力とは程遠かった。
古い血筋だった。
尊敬はされていた。
しかし衰退していた。
称号も相続権もない次男が誰かの注目を引くはずがなかった。
誰かがすでに知っているのでなければ。
俺が目覚めさせる前に、誰かが俺の中で眠っているものを感じ取っていたのでなければ。
「あそこで起きたことと関係があると思う?」
リーズは、今や消え始めている印が残る俺の腕へと曖昧に手振りで示した。
俺はすぐには答えなかった。
システム。
君主の炎。
群衆に、彼らの支持に、彼らの賞賛に反応するかのような威厳。
すべてが新しすぎた。
奇妙すぎた。
自分が何になろうとしているのか、まだ理解していなかった。
「分からない」俺はようやく言った。
「でもヴァレンは……」
「ヴァレンは危険よ」リーズは鋭く遮った。
「彼を過小評価しないで。彼はただの最高評議会の一員じゃない。収集家よ」
俺は眉をひそめた。
「収集家?」
「血筋の。家系の。秘密の」
彼女は腕を解き、部屋の中を歩き始めた。かかとが石の床を鳴らした。
「彼が古い貴族家を研究しているという噂があるわ。彼らの祖先を。眠れる才能を。もし彼があなたが何か特別なものを持っていると疑ったら……」
彼女は文を終える必要はなかった。
治癒師が注意を引くように咳をし、会話を終わらせた。
「表面的な裂傷は閉じましたが、少なくとも三日間は激しい活動を避けることを強く勧めます。内部組織は重度の熱衝撃を受けています。正直なところ、まだ手が残っているのは運が良かった」
運が良かった……
俺は礼を言い、寝台から立ち上がった。
脚はまだ弱かったが、体を支えていた。
それだけでも十分だった。
「リーズ」
彼女が出口へ向かうところで呼び止めた。
「なぜヴァレンに俺を『主』だと言ったんだ?」
彼女は即座に立ち止まった。
背中は俺に向けられていたが、彼女の肩が強張るのが見えた。
「分かっているでしょ」彼女は振り返らずに答えた。
「俺はお前の主じゃない。正式な後継者ですらない。お前はブリテン家の使用人だが、俺個人に誓いを立てたことは一度もない」
彼女はゆっくりと振り返った。
リーンのものと同じ色の青い目が、俺が思わず一歩下がりそうになるほどの強さで俺を見つめていた。
「あなたは好むと好まざるとにかかわらず、ブリテン家の後継者の一人よ」彼女は言った。
「そして、好むと好まざるとにかかわらず、私はあなたに従うと決めた。あなたに。家じゃない。叔父様やその息子でもない。塔でもない」
「リーズ……」
「闘技場であなたがしたことを見たわ」
彼女の声は震えていたが、目をそらさなかった。
「あなたのエーテルが性質を変えるのを見た。熱気は観客席まで届いていた。そして、ロデリックが自分の剣をあなたの剣に砕いたときの顔を見た。あれは決闘に負けたばかりの男の顔じゃなかった。自分の理解を完全に超えた何かに直面していると悟った者の顔だった」
彼女は一歩近づき、俺の肩に手を置いた。
「だから、あなたが私の主じゃないなんて言わないで。少なくとも、あなたは私が一番大切に思う人の一人なんだから」
俺は長い間沈黙していた。
彼女の言葉は俺の中で反響し、群衆の歓声の新しく鮮明な記憶、炎の温もり、ヴァレンの視線の重みと混ざり合った。
やがて、俺は彼女の肩に手を置いた。
何か伝えたいことがあるようだったが、口から言葉は出てこなかった。
俺は静かに手を引き、診療所の出口へ向かった。
敷居を越えた瞬間、システムの通知が再び目の前に現れた。
[忠誠を確認しました:ブリテン家のリーズ]
[同行者を登録しました]
[新しい称号を獲得しました:『灰の主』—— あなたの威厳は自身の体を超えて及ぶ。あなたに忠誠を誓う者は、あなたの火への耐性の一部を受け取り、あなたのエーテルの変動を知覚できるようになる]
背筋に寒気が走った。
システムは単に俺を強くしているのではなかった。
俺の周りに何かを築いていた。
宮廷を。
軍を。
王国を。
そして、それがどこまで進むのか知りたいとは思えなかった。




