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非リアから追放され、可愛い四姉妹とのドキドキハラハラな共同生活。ハーレムのようで、ざまあしかないんだけど  作者: ぴこたんすたー
第2章 四人の花に囲まれても得られるものは不幸せ

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第9話 可愛いのは認めるけど、どう考えても問題児しかいないよね?

「ふふふーん♪」


「おかしい。何もかも狂ってるよ」


 白い夏物のセーラー服を着た春子はるここと、ハルのご機嫌な鼻歌。

 決して上手いとは言えないメロディは、誰もが知るアニソンだったけど、僕の心はそんなに悠長じゃない。

 この女の子は音程もだけど、常識も外れて、どこか変だよ。


「ちょっと志貴野しきのお兄ちゃん。そんなこと思ったらハルに対して失礼だよ」


「それに何も趣向を選ばなくても、この空間が好きでいる人もいるんだし」


「まあ、それも一理あるけど……」


「どうしてお見合いデートの場所がここなんだよ?」


 僕とハルは、町内で唯一ある店舗のゲーム販売店『アカサカファミコンショップ』に、学校の帰りがてらに寄っていた。


 花も恥らわない赤毛のショートボブ、見た目、美少女な中学生と、夕日を背に一緒にね……だよ。

 周りの野郎たちがリア充め、爆発しろとかほざいてるが、僕は自爆テロでもないし、リア充の関係でもないからね!


「えっ? お兄ちゃんも好きでしょ。大勢の女の子に囲まれて」


「だからって、普通ゲームショップなんかをデート場所にするかい? しかもギャルゲーコーナーに足を踏み入れて?」


 隣でイケイケな美少女イラストのゲームソフトを握っていた、眼鏡オタクが手を滑らせて、そのソフトを床に落とす。

 ソフトが乾いた音を立てて転がる中、何で、そんなの嘘だろ……みたいな表情をして固まっていた。


 そうだよね、現実の女の子に振り向いてもらえず、だったら架空の女の子から相手にでも……と求めてたのに、本物の美少女が目の前にいて、いけ好かない冴えない男を連れて、ギャルゲーを選んでるんだから……。


 何だよ、恋人いるなら、このコーナーにいなくてもいいだろうとか、小声にしてるけど、別に好きで、こうしてるわけじゃないんだよ。


「好きな人のことなら、何でも知っておきたいんだ。それに主導権を握っていいって言い出したのは、お兄ちゃんの方なんだからね」


「……はい。仰る通りです」


 どうして、こんなことになったのか。

 話は数時間前に戻る──。


◇◆◇◆


「はあー、何言ってるのさー!?」


「おい、そんなに叫ぶな。見事に熟したイケメンの鼓膜が割れてしまう」


「いや、熟すも鼓膜も関係ないんじゃ?」


 学校の昼休み、ランチの合間に賢司けんじがとんでもない発案をする中、僕は賢司の前で混乱し、思わず大声を発してしまう。

 あの陰キャが何やら騒いでるぜ、何だ、アニメかゲームのサブカル話で盛り上がってんの? と、ざわめき出す教室内の他のみんなみたいな。

 僕は見せ物のオタクじゃないんだよ。


「志貴野が気にしなくても、俺にはありなんだよ!!」


「それでどうして、僕が四女の春子と、お見合いデートしないといけないんだよ?」


 納得がいかず、机を叩こうとして我に返る。

 いけない、学校ではオタクだけど、普段は真面目で通ってるキャラなんだ。

 下手に腹の内を探られるわけにはいかないよね。


「うーん。お前の所の父ちゃんが色々とうるさくてさ。俺に交渉を持ちかけたのさ」


 賢司がオーバーに手を振りながらも、自慢げな表情で事の成り行きを話す。

 その余裕は、どこから来てるんだろう。


「実際に三重咲みえさき姉妹と仲良くして、誰か一人とカップリングしたかってな」


 はい、色恋の盛んなイケメンから、カップル発言出ましたが、あの姉妹で選べる相手なんかいるのかな?

 可愛いのは認めるけど、どう考えても問題児しかいないよね?


 どうせ美少女なんて、皮一枚だけの生き物なんだ。 

 外面が良いに越しても内面が駄目なら、お互いの関係は長続きしないでしょ。


「それで証拠としてLI○Eで写真を送って来てくれとさ。通話では誤魔化されるし、仕事が忙しくて、電話をする時間もないみたいだからな」


「それなら普通に僕に……」


 話してくれても……と言いかけて口籠る。

 僕に撮影は下手くそ過ぎて、写真や画像をいい風に加工する技術がまるでない。

 そこを狙って、僕をターゲットから外したのかな……。


「いいや、口下手の息子に訊いても曖昧にされるだけだろ。こういうのは第三者からの意見が大事なのさ」


「イケメンで適応力もピカイチとか。天は万物を二つもお与えになるのか……」


 神という者は時に悪い運命を、悪さで固めるという手腕が好きらしい。

 あの宗教人もこう思いながら、信者を集めたのかな。


「何、十字に胸を切ってるんだよ?」


「ギリスト教にすがりたくなるよ……」


「そうなのか? 俺には冬もまだなのに、クリスマスケーキを五等分に切る練習をしてたのかと。ちょうど五人になるからさ……って、俺は部外者なのか?」


 そう、君は邪魔なんだ。

 僕にも自由を得る権利はあるはず。


「賢司、多少おかしな思考でも、イケメンなら許されると思うから……」


「……たっ、多分(小声)」


「励まされてるわりには、何か煮えきれない反応だな……」


 今、イケメンを前にし、僕の心境は複雑な感情が入り混じっていた。

 コーヒーに入れるのは、ウィンナーではなく、生クリームみたいに⋯⋯。


****


 ──というわけで、急に四女とのお見合いデートが始まったんだけど、その場所がゲームショップで、しかもいかがわしいコーナーを物色だなんて、僕の両親に知られたら、どう思われるか分かったもんじゃない。


「ねえ、このメモリーズオンなんて、面白そうだよね」


「いや、そのゲームは面白いなんてもんじゃないよ」


「えっ?」


「何せ、想いを寄せていた初恋の相手が、すでにこの世にいないからね」


「へえー、異世界転生しちゃうんだね」


 誰がいつ、主人公を転生させると言った?

 会話が変な方向に絡んでいく。

 ヲタクあるあるな会話に、同じオタクとして、同じく頭を悩まされる。


「まさにハンカチ無くては語れない号泣もののゲームだから、迂闊うかつにはお勧めできないよ」


 パンに挟んでる食材が卵じゃなくて、マスタードソースだったという、見た目に惑わされる内容だ。


「へえー、お兄ちゃんって、ゲームに詳しいんだね」


「まあな。大抵のジャンルはプレイしたからね。それよりもどうせなら、新作のゲームもチェックしていかない?」


「うん、いいよ。スベラトーンの新作が出たんだよね」


「おおっ、あのペンキ塗りつぶしゲームと来たか。中々の食らいつきだね。ゲーマーとして悪くない反応だよ」


 そういえば今日は、この場所に賢司は現れないんだな。

 まあ、ハルとはゲームを通じて、仲良くなれそうだし、この方が気楽かもね。


****


「……俺ならいるけどなー!! 駆け抜けてー♪」


 スマホを激しく高速タップする賢司は、志貴野らに絡むことも、その情景を片手にLI○Eに画像を送ることも忘れ、話題の新作アプリ、女学園ア○ドルマスターのリズムゲームに夢中だった……。




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