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非リアから追放され、可愛い四姉妹とのドキドキハラハラな共同生活。ハーレムのようで、ざまあしかないんだけど  作者: ぴこたんすたー
第1章 自宅に女四人が揃ってもハーレムじゃない法則

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第3話 僕の弟という設定でこの場を乗りきるよ

****


『ピロピローン♪』


「いらっしゃいませ!」


 くくくっ、この日をどれだけ待ち望んでいたか。


 僕はあれから、ずっと耐えてきたんだ。

 掃除は率先してやれ、洗濯物は一緒に洗うな、風呂は最後に入れなどと、あの三姉妹による毎日による仕打ち……じゃない、イジメにも我慢しながら、この約束の日をやっと迎えたんだ。


 僕は眼鏡をかけた女店員の朗らかな挨拶を、柔らかなお辞儀で返し、人気が少ない通路の奥にある四段ラックのある場所へと進む。


 黒いラックに並べられたDVDケースに、様々な感性を彷彿させるタイトル。


 定期的に、こまめに清掃してるのかな。

 ホコリも被ってなく、目立った手垢もなしのケースたちを見ながらも、思わず感嘆しそうだ。


 そんな丁寧な状態で置いてる、DVDケースの一つを手に取ってみた。

『Picキ○ロットへようこそDX5』と、デカデカと刻まれた丸字のタイトルに胸が熱くなる。


「へえ。これブレステ5の最新タイトルじゃんか。いつの間に新作を出したんだよ」


 僕は休日を利用して、町内にある唯一のゲームショップ『アカサカファミコンショップ』に一人で来ている。

 その店内の奥の突き当たりにある、ギャルゲーコーナーだけが至福の時だったんだ。


「やっぱり持つべきものはギャルゲーだよな」


 棚の四方に敷き詰められた美少女ゲームを目で追い、目的のゲームに手を伸ばした瞬間だった。


「……あっ」


「へっ?」


 隣から急に白い手が伸びて、僕が買おうとしたゲームを奪われたんだ。

 そりゃ、応対にも戸惑うよ。


「……あっ、どうぞどうぞ」


「いや、そんなに気にしなくてもいいよ。早いもの勝ちだから」


 青い野球帽を深く被り、白い使い捨てマスクを着用し、大きな丸眼鏡をかけた、いかにもオタクそうな男の子。


 短パンのジーンズに、ラフな白い半袖シャツ。

 当然、男だから胸はないが、くびれはがっつりとある。

 マスク越しでも分かる整った綺麗な顔つきは、女の子にも見えるくらいに美しい。

 その少年が、一度手にしたゲームを棚に戻す。


 僕に、()()ゲームを譲る気か。

 最近の若者にしては、謙遜的だな。


「関心だな。十二歳以下は購入禁止の美少女ゲームだから当然だよね」


「……ボク、中学生」


「あっ、ごめんね。小学生かと」


「……むすー」


 男の子は頬を膨らませ、不機嫌そうにこっちを睨んでくるが、年下になめられっぱなしはあまり好きじゃない。


「しかしモテそうな美少年のわりには、こんなゲームをプレイするんだね。世の中は理不尽というか……」


「……そう言うお兄さんもカッコいい」


「あははっ、ありがとう。いつも可愛いって言われるから心外だよ」


 理由として、前髪で顔を隠してる所が可愛いとかね。

 女子の恋愛脳って、謎だよね。

 女心は秋の空とか言うけど、いつも何考えてるんだろう。


「……お兄さんもギャルゲー好きなの?」


「うーん、単純に言うとストーリーが好きなんだよね。他のジャンルと違って泣ける作品も多いし、何より小説感覚でいつでもセーブ可能だしね」


「……それ、わかりみ」


 同じゲームで共感する者がいれば、これほどまで会話がスムーズに進むんだ。

 生まれて初めて学ぶ、人生の勝利者の感触。

 オタクでも、人間らしく誇っていいんだね。


「でもさ、社会から批判されるジャンルでもあるんだよね。下手に先入観を持たず、実際にプレイしてみてから文句言えみたいな」


「……確かにイタい」


 男の子はうんうんと納得しながら、僕の話を聞き入っている。

 子供なりにワガママを貫く意見を言うと思いきや、案外聞き手上手なんだな。


「おっと、初対面相手に熱く語ってしまった。この話は忘却の彼方にでも封印してね」


「……宝玉のかなだ?」


「その反応だと大丈夫そうだね」


 男の子のボケを自然な対応で返す。

 宝玉とか呟く辺り、RPGも好むのか?

 ゲーマーとしての素質を感じた。


「じゃあ、このゲームありがたく貰ってくね。店員さんには再入荷するように僕から伝えておくから」


「……ありがと」


 僕は譲って貰ったギャルゲーを手にし、早々に会計を済ますことにした。

 レジが女の人だけど、いい加減免疫も付いたし、何てことはない。

 それよりも新しい出会いを求めて、早くプレイしたい一心だった。


****


「いらっしゃいませーい‼」


 店のレジには、さっきまでの眼鏡をかけた女店員ではなく、見知った爽やかな笑顔のヤツがレジを担当していた。

 何で同じクラスの賢司(けんじ)が、ここにいるんだよ!?


「くっ、しょうがない。プランBでいくか」


 長財布の小遣いを用心深くチェックし、安売りセールの三本の中古ソフトをレジカゴに適当に入れ、戦場(レジ)へと突き進む。


 変に意識してるせいか、心臓の鼓動が聞こえてくるさまだ。


 落ち着け、平常心を保て僕。

 あの関所を抜けたら、自由の身なんだ。

 プランB計画は万全、後はなるようになれだ。


「あれ? 志貴野(しきの)じゃねえか?」


「よお、賢司、奇遇だなあ。こんな所でどうしたの?」


「ああ、今日からここで短期バイトでさ。大学の入学金とかを少しでも稼ぐためにさ」


「そっ、そおなんだね!?」


「ああ、いつまでも親に頼りっぱなしじゃ、ばつが悪いじゃん。大学も色々と金かかるしさ……って、言うかさ?」


 賢司がバーコードリーダーを持つ手を止めて、僕の顔をマジマジと見つめる。


 ヤベエ、逆に悟られたか?

 勘のいいヤツめ。


「何でしょう? 名探偵姫君!?」


「お前、さっきから喋り方が変だぜ?」


「気のせいじゃないれしょーか‼」


「そうか?」


 商品のバーコードを読み取る鈍感な賢司?  に悟られないよう、言葉を選んで話しても限界がある。

 考えるんだ、どこかに判断材料はないのかー‼


「しかし、あの成績優秀な志貴野がテレビゲームに夢中とはねえ」


「好きなん? 純愛ホラーファンタジー?」


「えーと、まあまあ普通かなあー(裏声)」


 たまたまカゴに入れたのが、そんな異質なジャンルだったとは。

 なるほど、だからワゴンセールに出されていたのか。


「……で、このきゃるるんなゲームは何だ?」


 来たな、第2関門。

 このお喋り九官鳥賢司にギャルゲー好きと知れたら、明日から真っ当な学生生活は送れなくなるんだ。

 陽キャの代表格のようなイケメン相手に悩み、慎重に思いを紡ぐ。


「弟がさ、こんな感じのゲームにハマっててさあ」


「へえー、お前に弟がいたとか初耳だぜ」


「腹違いの弟でさ、僕も最近知ったんだ」


「ふーん。志貴野の弟だけに想像つかねえな。今度、俺にも会わせてくれないか?」


「ああ、でもここにいるからね」


 偶然、僕の後ろに並んでいた男の子の肩に腕をかけながら、仲の良いアピールをする。


「……ちょ、ちょっとボクは!?」


「いいから話を合わせるんだ。君の名前は?」


「……みんなはハルって呼んでる」


「んじゃあ、ハル。僕の弟という設定でこの場を乗りきるよ」


 僕はあれこれとハルに相談しながら、プランCを決行するために、話の筋を通す。


「……お前ら、お互いに肩を寄り添ってヒソヒソ話かよ。ほんと仲がいいんだな」


「ま、まあ、兄弟だしー!!」


「当然よね、お兄ちゃん!」


 気のせいか、ハルの顔が赤いように見える。

 多分、僕の気のせいかな。


****


「はあ、なんとか地獄の関所をやり過ごしたな。疲れたー‼」


 賢司の拷問からどうにか脱出し、無事に帰宅し、自室のベッドに頭から突っ込む。

 人間魚雷にでもなった気分だよ。


「ねえ、志貴野くん。まだ起きてる?」


「うん、半分死んでるけど」


「じゃあさ、ちょっと居間まで顔を出してよ。志貴野くんに紹介したいの」


 秋星(あきほ)の声に反応しながらも、目覚まし時計の針は、とっくに夜の八時を指している。

 ご飯も食べたし、ゆっくりしたいのに、こんな時間に何の用だろう。

 渋々、重い身体を起こしながら居間へと移動する。


「……ったく、休みすらも、ろくにとれないのかよ」


 愚痴をこぼしながら訪れた場所は、いつも以上に賑やかだった……。

 何か、夏希(なつき)がジャンプ蹴りをして、いつもよりテンション高めだし、一人見知った女の子も加わってるような?

 ヤベエ、幻覚が見えるほど疲れてるのか。


「なあ、秋星。疲れてるからさ、用件なら手短に済ませて……あっ?」


「……初めまして、志貴野お兄ちゃん♪」


「なっ、なあっ!?」


 あの子はさっき知り合ったばかりの……と言うことは?


「じゃあ手短に紹介するわね。四女の春子(はるこ)よ」


「……はい、はーい!」


「私たちはハルって呼んでるわ。これからもよろしくね」


 赤毛のショートボブのハルが、実に楽しそうに両手を上げる。

 あれ、こんなチャラくて軽そうなキャラだったか……って、春子?


「……お兄ちゃん、やっぱりハルの運命の相手だったんだ。ぽっ」


「き、君、女の子だったのかあああー!?」


「……うん。ハルの初めてを奪った責任とってよね」


 偶然にも肩を並べた相手が女の子で、しかも嘘の弟から本物の妹になるとは。

 何だ、この僕の空間だけ、ラノベという成分でできてるのか?


「ふーん、ラノ弁当にも飽きたらず、早速(さっそく)、こんな幼子にも手を出したんだ。このキモオタロリコン」


 怪訝そうに腕組みをした美冬(みふゆ)が、冷たい眼差しをこっちに向ける。

 あのさ、ラノベは弁当じゃなく、小説のジャンルだよ?


「ち、違う。ハル、誤解を招くだろー‼」


 僕はキャイキャイとはしゃぐ春子を追いかけながら、美冬に弁解する。

 例え、ロリコンでも、犯罪に手を染めた覚えはないよー‼



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