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非リアから追放され、可愛い四姉妹とのドキドキハラハラな共同生活。ハーレムのようで、ざまあしかないんだけど  作者: ぴこたんすたー
第1章 自宅に女四人が揃ってもハーレムじゃない法則

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第2話 ウチで一緒に暮らせだと?

****


「──いかないで」


 誰かが叫んでる声がする。

 でも、音信不通だった母親のわりには声が若い。


 声のした先には光の玉があり、僕の周りをぐるぐると回っている。


「──安心して大丈夫だよ。僕はどこにもいかないから」


 僕はその光の玉を両腕で抱き寄せ、しっかりと掴んだ──。


****


「──大丈夫だよ、僕が……」


「だからいい加減止めな。近いってばこの変態!」


「ふぐぉ!?」


 美冬(みふゆ)の強烈な右ストレートを、まともに顔面に受けて悶絶する僕。


 鼻がめっちゃ痛い。

 神経が()()()()なりそうだ。


「人が折角(せっかく)看病してんのに、その態度は何だ? いっぺんシメんぞ?」


 美冬よ、魚をシメてどうするんだ。

 涙目の僕には魚屋のおばちゃんではなく、啖呵(たんか)を切るレディースの総長にも見えた。


 そうか、これは夢なんだ。 

 ほっぺを勢いよく引っ張って、真相を確かめる。


「いででで……!!」


 いや、駄目だ、頑張っても痛いもんは痛い。

 お金にもならない、その頑張りは何なんだ? という疑問すらも浮かぶ。


「どうかしたの? 美冬?」


「あー、秋星(あきほ)。コイツ駄目やわ。女なら見境もなしに襲ってくるから」


 美冬たち姉妹が何の危機管理もなく、寄ってきたんだよね?

 男は大人しくても紳士的でも、下心丸出しの野獣なんだってば。

 それが人と人を繋げる、種の保存なんだから。


「もしそうなったら、夏希(なつき)がフルボッコでやっつけてあげる!」


 指の関節を鳴らしながら、僕と美冬との間に乱入する格闘家夏希。

 口元には濃い髭を生やしていて……いや、よく見たら油性マジックか。


「二人とも止めなさい。病人に失礼でしょ」


「でもさ、この病人さ、秋星の胸に思いっきり顔を埋めたんだよね。謝りもしないし、クソ生意気そうだし、一回シメるくらいならさ」


「うー、だからあれは、忘れ物を取りに戻った時の、不幸中の事故だったんだよ!!」


 あの柔らかい感触は、秋星のたわわだったのか。

 わりと大きめだったし、勢いよくぶつかっても、クッションみたいな感じで、心地よかったよな……。


「不幸のわりにはコイツの顔、思いっきり昇天してたわよ」


「何なら夏希も、かかと落とし食らわして昇天させたーい!!」


 そんな技、食らったら今度こそ死んじゃう。

 僕のライフポイントも精神力も瀕死になってる。

 誰か、回復呪文のホ○ミをかけ続けてくれ……。


「だから誤解だってばっ!」


 秋星が真っ赤になって否定しても、その慌てぶりじゃ説得力がない。

 病人を前にして、ギャンギャンと犬コロみたいにうるさいよ。 

 全く騒がしい姉妹だよね。


「あれ、ここは僕の部屋だよな?」


「アンタが突然倒れるから、お父様に頼んで、車で家まで送ったのよ」


 白を貴重とした殺風景な僕の部屋、兼寝室。

 こんな押し入れの中以外に何の飾りっけがない、むさい男の部屋に来て、何のようだ?


 しかも脳卒中か知らないけど、それほど重症だったのか。

 父親を様付けなんて、どんだけファザコンなんだろうと思ったが、そんな美冬がいつにもなくデレて、僕の背中を平手で叩く。


「脳卒中って、バカじゃないの。ジジイかよ!」


「あいたたた!?」


 あのさあ、手加減というものを知らないの?

 冗談抜きで痛いよ。


「美冬、すごく動転してたよね」


「別にしてないし、それ秋星だけじゃん!」


 マジな顔つきで、その時の様子を再現してるけど、お披露目会でもないし、今やる必要なくね?


「はいはい。照れなくていいからね」


「美冬ちゃんバブバブ」


「子供扱いすな‼」


 姉妹の言い分にキレた美冬が、側にあった枕を夏希の顔面に投げつけるが、夏希は何とも言わない顔つきでそれを避ける。


「なに、今の残像?」


「ふふふっ、その程度の攻撃では、夏希には指一本も触れられない」


 その余裕の微笑み、パネェ。

 戦闘力100万か、ただの肉まんか知らないが、予測できない動作で相手を撹乱させたな。

 僕の着ていたのは学ランじゃなく、いつもの青い縞模様のパジャマだったけど……。


 一体、誰が着替えさせたんだ?

 ツンデレ次女からは想像できないし、三女なら強引に着せられ、服が破けていそうだし……だったら大事な体も見られて、あまりにも立派だから、一夜を共にしたいとか言われても困る。


 僕は綺麗な花畑に囲まれて、本当に好きな娘にファーストキスを奪われたいんだ。

 こんな僕に、好きな女性なんてできるかなって思うけど。


「今日は夏希の好きなカレーだよ」


「はいはい。拙者、どこまでも美冬お嬢について行きやす」


 美冬にひとさし指を突きつけられて、カレーという黄金の料理に、甘い吐息を弾ませる夏希。

 それはそれで、色々とヤベエな。


「ちなみにレトルトだから」


「レトルトでもオッケー!」


 オッケーじゃないよ。

 その場の空気に飲まれ過ぎだよ。


「それで、お父様から直々に話があるんだけどいい?」


 美冬が苦々しい顔つきで、僕にスマホを差し出す。

 何だろう、あれほど僕を嫌っていたのに、フリフリなLI○Eのお誘いか?


「LI○Eじゃなくて直通よ。ひとりごとはいいから、早く電話に出てよ。アンタのお父様だって、年中暇人じゃないでしょ?」


「はあっ、僕の親父が? 君たちと何の関連があるんだよ?」


 難儀な会話の流れについていけない僕は、ベッドから下りて、大きく伸びをする。

 ベッド際の勉強机の目覚まし時計は、朝の六時を指していた。


 ああ、今日は祝日で学校は休みか。

 学生服を着てる姉妹は、部活でもあるのかな?


 あー、気絶か、そのまま疲れて、眠りに陥ったのか分からないけど、寝足りないな。

 少々値が張るけど、安眠枕でも欲しいな。

 だったら親の仕送りだけじゃなく、バイトも探さないとね。


「はー、このナマケモノのねぼすけは、本当に何も知らないのか……」


 美冬が呆れた口振りで、ピンクとアクセでデコった、痛々しいスマホを僕の顔に押しつける。

 尖った部品が、まともに刺さって痛いよ。


「ほらっ、とっとと電話に出な。親子だからこそのコミュニケーションも大事よ」


 あー、この女の子には、理屈が通用しないな。

 僕は多少、不満げになりつつも、そのスマホの通話に聞き入る。


『……もしもし、志貴野(しきの)かい?』


「あっ、親父? 何のつもりだよ?」


 驚くのも無理はない。

 通話先の相手は間違いなく、僕の親父の声だった。


『ああ、ごめんな。仕事で中々抜けられなくて、志貴野に報告するのを忘れてたよ』


 海外の記者の仕事も大変だなと思いながら、黙って話を聞く。

 僕は頑張って稼いでる親父のお陰で、この不自由ない一軒家での生活を送れてるんだから。


『父さん、向こうのハワイで再婚したのさ』


「それは唐突だね。でもおめでとう」


 親父の微かな笑い声に、幸せそうな感じが伝わってくる。


『ありがとう』


『それでな、再婚した母さんには年頃の娘がいてね。三重咲(みえさき)という名字なんだけど』


「えっ、三重咲って、今、僕の目の前にもいるんだけど?」


 三重咲という言葉に反応した秋星が可愛く舌を出し、美冬が膨れっ面で腕組みし、夏希に至っては、その場で回し蹴りを始めた。

 ここで回し蹴りはアブねーつーの。


『ああ。新しい母さんも父さんと同じ、忙しい仕事の身でさ、中々、日本に帰省できなくてね』


「何だよ、それって、まさかの?」


『そう。どうせなら、三重咲姉妹も一緒に暮らそうという話になったのさ』


「おい、僕抜きで勝手に話を進めるな……」


『どうした? 志貴野? もしもしー?』


「……ぐぬぬ」


 苛立ちを含んだ沈黙のまま、親父の返答を聞かずして、スマホを美冬に返す。


 編入して間もなく、ただでさえ女の子に不馴れなのに、その女の子たちと、しかも美少女の群れに加わって、ウチで一緒に暮らせだと?

 親父、冗談も大概にしてくれよー‼



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